翼に魅了されなかった
よく物語では、トリカゴの中で制限を受けている少年少女が描かれる。
しかし、制限がなく、いつでも好きなことができる世界にいるのに、私はなにもしようとしない。
それは現状を変えることへの恐怖が強いからではない。
ただ何事にもやる気が起きないだけの自分が存在するのみであった。ぼんやりと過ごす日々に、きつくて辛いという感情は無縁だけれども、重く息苦しい。そんな灰色な世界を抗おうともせず彷徨っている。
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Chapter.1
私は、誰かに進む道が決められていることに憧れる。そうしなければならないと、選択肢が決まっている方が生きやすいのだと思ってしまう。
私には、他人の干渉が救いの手のようにみえる。自身に、人生の決める権利を与えられていることが重荷である。足枷である。呪いである。
そんなのは、デュルケームの言う「アノミー」のようだ。飽和状態に溺れている。自分自身にすら責任を持てない自分がいることに呆れる。
けれども、気づいたからには変わらなければならない。全くそのままでいることなんて不可能だ。
大嫌いな鏡の前に立ち、大嫌いな自分を見つめる。どんなに繕おうとしていても明かされる懈怠な生き物が眼前に映される。
時間をかける長さも対象も間違っていたが、対をなすものはなく、辿ることへの正解はわからない。ただ間違っていることを認識しただけで終わってはならず、これから藻掻いていく必要がある。
自分の意志すらないまま生活していても、楽しくはなかったのだろうか。
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Chapter.2
小・中学校の新学期が始まった8月下旬、バイト先での話の話題は飛び込み自殺についてだった。例年、季節の変わり目に自殺者が増える。だが、電車に飛び込むなんて相当な勇気がないとできない。
そんな会話をしていた。私も今まではそうだと思っていた。仮に、身を投げ出したところで、完全に死ねるのかわからない。少し身が残ってしまい、生き残るなんて中途半端で嫌だと感じる。さらに、運航ダイヤへの影響から他人に干渉することになるのは避けたいと思っていた。
しかし、ある日はそう思わなかった。
電車を待ちながら、ぼんやりと眺めた線路はなんとなく惹きつけた。私をどこか別の世界へ連れて行ってくれるみたいだった。
現状に不満を感じることすら許可されないほど空虚な生活を送っていたにも関わらず、私に齎された。太陽が照り付けるその道は、異様に眩しかった。それまで自分が考えていたホームで亡くなる要因とは別のものが浮かび上がった。
駅員のアナウンスも、五月蝿い蝉の声すら聞こえなくなった自分がそこにはいた。
当然、自己決定をしない私はそこで行動に移そうとはしなかった。ある意味、自分に変わりたい願望があったのだと驚いたぐらいだ。去年よりも全然忙しくない生活を送り、バイト先との往復しかしていなかった日々は、ノンストレスだと思っていた。
けれどもその時、なにもないことが窮屈なのだと初めてわかった。他人との関係が希薄になったからこそ、後先を考えることも薄れ、軽くなってしまったのだろう。ふわふわしているのに、じめじめとした感情。やってきた各駅停車に落胆した。この景色はおそらく、外出を全然しないこの夏の一番印象的なものとなるだろう。
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Chapter.3
ーー羽ばたけるはずなのに羽ばたこうとしない自分ーー
いや、この世界は人々に時間を与えたが、自分で探そうとしない人間にとっては虚しいだけの造られた自由であり、弄んでしまう。そして、私は大いに翻弄させられた。
早く変わらなければならない。
三月から出かけることを控え、友人と対面で話すことはなくなり、大学にも通わなくなった。バイトも全てなくなってしまった。そんな中で、今までは忙しくて隠れていた本性が直に露わになる。問われてしまった“生”について、私たちはどう答えを出していくのだろうか。
翼がない分、地に足をつけているはずなのに。波に漂う自分でいるのにも、長すぎてもう飽きた。外に出られなくても、行動することはできる。方法なんていくらでもあるはずだ。
人々を閉じ込めるトリカゴは誰にだってある。翼はそれぞれの捉え方によって生み出されるし、歩むことはできるだろう。
ーー自分で生きていたいと思える場所を創り出すーー
それが今の自分のすべきことであろう。
survive. の掲載が間に合わなかったので、ストックしてあったものの投稿です。*エタったわけではございません。
好きなことがなくなっていったら、他のものも自然と消していった自分です、、、
これは夏の話だけど、冬verもかきたいな、、
自粛期間長すぎて心境コロコロ変わりまくっているけど…
survive. や Twitter:@shiroiwisteria1もよろしくお願いいたします!




