物語は二人称へ……
呪いの鉈を受け取ったあなたは、駅構内にいる老若男女に向かって、何の躊躇いもなくその鉈を振り回す。
……まるで、切れ味を試すかの様に……
「うわああぁぁ!! 何だあいつー!?」
「きゃあああ!!! こっち来ないでええぇぇ!!!」
突如現れた殺人鬼に、パニックになり逃げ惑う人々……
だが、あなたは恐ろしい速さで、確実に追い付き、逃げる人間共の背中をあり得ない腕力で引き裂く。
駅構内に入り交じるように響き渡る男女の悲鳴。広がる地獄絵図。
あなたは左を振り向き、とある食堂を目に捉えると、信じられない跳躍力でその食堂に飛び込み、扉を破壊する。
中からは、女性店長と女性アルバイトの悲鳴が木霊する。
「きゃああああぁぁぁぁっっっっ!!!!」
「な、何だ!? お前ーー!?」
あなたは、女性店長と女性アルバイトを目にすると、そうするが当然のというように、容赦なくふたりに襲いかかる。
だが、女性アルバイトは咄嗟の判断で女性店長の腕を掴み、強く引っ張る。
「店長、こっちです! 急いで!!」
「ひいぃぃ!! いいいい!!」
死に物狂いで奥の厨房へ駆け出す女性店長と女性アルバイト。しかし、あなたは物凄い速さでふたりの背中に迫って行く。
「店長! あそこから逃げましょう!!」
「う……うん……!!」
厨房の奥にある扉に指差し、後ろを振り向く女性アルバイト。しかしあなたは、無情にも女性店長の背中目掛けて、鉈を振り上げる。
「危ない!!」
「きゃあ!!」
紙一重の所で、女性店長を庇う女性アルバイト。その背中に、あなたの振り下ろした鉈が深々と突き刺さる。直後、入り交じるように木霊する断末魔と悲鳴。
なす統べなく、その場にうつ伏せに倒れる女性アルバイト。
「……て、店長……にげ…………」
「……あああ…………あああ……」
消え行く意識の中、女性店長に逃げるように促す女性アルバイト。しかし、女性店長は恐怖のあまり足がすくんで、その場から動けなくなってしまう。
あなたは、そんな女性店長の首元目掛けて、躊躇無く鉈を振り下ろす。
「……がっ……」
あなたの足元に、言葉も発すること無く倒れる女性店長。
あなたは、肉塊と化したふたりの女性を見届けると、今度は窓を破壊して店の外へ出ると、再び、殺戮を繰り返す。
「ぎゃあああぁぁぁぁ!!!! 助けてくれえええぇぇぇ!!!!」
「いやあああぁぁぁぁ!!! こっち来ないでえええぇぇぇ!!!」
東に逃げ惑う者あらば、追いかけその首を刈り取り、西に絶叫がすれば容赦なくその者を仕留める。
……そして大量殺戮を繰り返したあなたは、ふと思う……
自分は……この大惨事を一体何時まで続けるのだろう……と……
……それは勿論……
あなたの命果てるまで……