表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/3

始まりは一人称……

 

 なあ……そこの君……


 そうだよ……そこの通りすがりの君だよ……


 ちょっと、俺の話を聞いていってもらえないかい?


 ……なあに……時間は取らせないよ……


 次の列車が来るまでには終わらせるからさ……


 そうさ……そうでなくちゃ……


 まあ……話と言っても、何て事はない……


 俺の……ちょっとした昔話さ……


 普段の俺は……そう……何処にでもいるしがないサラリーマンだった……


 朝早く起きては、この駅から列車に乗って、何時もの様に出勤しては、何時もの様にこの駅から帰って来る……


 ……そんな、特に変わりばえもしない毎日を送っていた……


 でもな……? そんな毎日でも、家に帰れば妻やふたりの子供が、俺を出迎えてくれて……とても幸せだったんだぜ?


 ……だけど……だけどな……そんな幸せな毎日が、突然変わったんだ……


 それはある日、俺が何時もの様にこの駅に向かって出勤している時だった……


 その人は、全身血だらけで、道端に倒れていた……


 普通なら、直ぐにも逃げ出しそうな光景だが、俺は、何故か吸い寄せられるように、その人に話かけた……


 ……大丈夫かってな……


 だが、その人は全然大丈夫じゃ無かった。今にも死にそうだった。俺はすぐに携帯電話を取り出して、救急車を呼ぼうとした。


 ……その時だった……その血だらけの人物が、突如、俺の手を抑えて話しかけて来たのは……


 俺は何故か……救急車を呼ぶのを止めて、その人の話を聞き入った……


 ……どんな話だったかって……? それはな……


「俺は、今まで沢山の人を殺して来た……それもこれも、全部この、呪いの鉈のせいだ」って言ったのさ……


 そして、そのあとこうも言ってたな……「この鉈は、持ち主が死ぬ間際に、選ばれた者を引き寄せて、そいつを新しい持ち主としてとり憑く」と……


 俺は、そいつからその鉈を受け取った後、何の躊躇いもなくそいつの首を切り落としたんだ……


 ……何の気持ちも湧かなかったなあ……



 なあ……ここまで言えばもう分かるだろ……? お前が、この呪いの鉈の新しい持ち主に選ばれたって事が……


 ……俺はもうすぐ死ぬ……さあ、その手を差し出してこの鉈を受け取ってくれ。


 まあ……どんなに嫌がっても、お前は必ずこの鉈を受けとるんだけどな……




 ……そうだ……それで良い……



 これでやっと……俺は……呪いから解放される……































 ……次の瞬間……男は、首が切断された状態で横たわっていた……


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ