トーンフォレスト-ぶつぶつ交換-
王都編の酒場もそうですけど、このサイドストーリー的な話は時系列を気にしていません。
滞在中にしたこと、ぐらいと思って読んで大丈夫です。
▪️▪️▪️トーンフォレスト にて▪️▪️▪️
「なぁ、お前たちは何か欲しいものとかないのか?」
ここの森は面白いものが多いから少しだけでも欲しい。
しかし、ただで貰うのは気が引けた。
どうしようと困っていたら、ぶつぶつ交換したらいいじゃないですか。とドナドナが提案してきた。
「ホウ。ウッホッホ(そうだな。困ったことなどないがな。しかしなぜ?)」
「ここの植物とか珍しそうだからな。少しばかりぶつぶつ交換して欲しいわけさ。」
「ウホウホ(おぬしにならただでやるぞ。)」
それは嬉しいがただは気が引けるんだよな〜。
それなら少し待てと言って、ボスがどこかに行ってしまったのでドナドナに欲しいものを聞いてみた。
「相棒はなんか欲しいものとかあるか?」
「ブルルル(それならツタツボの実とナナバナナの葉っぱが欲しいですね。)」
その二つは元からもらう予定だ。他にあるか聞いてみたら、
「ヒヒーン(楽器!楽器が欲しいですね。彼らの演奏を聞いていたら私もやってみたくなりました。)」
楽器か。手がないから吹く系しかできなさそうだし。
けど手を使わないでできる楽器?そんなもんあるか?
ドナドナからトーテムを叩いてみたとか、まだ育ちきっていないナナバナナ食べて怒られたとか、滞在中にしていたことを聞いていたら、ボスが帰ってきた。後ろに一匹いるが。
「何か決まった?」
「ウホウホ(一つだけな。我々には解決できないことがあってな。物売りのおぬしに頼むのも変かもしれないが。)」
そういうと後ろに立っていたコングが前に出てきた。
「ホウホウ(私のこどもの様子が変なのです。)」
そう言って背中の子供を見せてくれた。
見た目はただのこどものコング族だが、なぜか体の硬化ができないらしい。いや、一瞬ならできるが、維持できないらしい。
見た感じ魔力はたくさんある。同世代の中ではダントツにある。
それでも大人のコングの方が10倍近くあるが。
コング族として生まれもっての魔力があれば本能的に硬化ができ、解かれるはずがないのだ。
体を隅々まで観察したが異変は見当たらない。
そこでその子の魔力に問題があるのかと思って見てみて、
お〜。これは。
「この子が一人でいなくなったことあります?」
「ウホホ(一度だけ。夜に見失って明け方見つけたのです)」
明け方まで見つからなかったのか。
コング族のこどもが行方不明になれば群れ総出で探し出す。
どっかに隠れてたは絶対にありえない。すぐに見つかる。
「ずいぶん遠いところで見つかったんじゃないですか?」
「オッホウ(なぜ知ってるの?)」
子供が硬化できない理由は「パラシッター」がとりついているからだ。
「ホウ?(パラシッター?)」
パラシッターは他の生き物に取り憑いて一生生活する。
取り憑くと言っても本人の意識が乗っ取られるわけでもないし、寿命が減るわけでもない。
だがパラシッターに取り憑かれるといいことが一つある。
それは身体能力が上がることだ。しかも、結構上がる。
パラシッターが成長しても耐える体を作るため、強くさせるからだ。
パラシッターが成長すればするほど、どんどんどんどん強くなる。
だからパラシッターが取り憑いた子供が全力で逃げたら、親が探しながら追いかけると少し時間がかかる。
「ウホホ?(じゃあなぜ硬化できなくなってしまったの?)」
それは魔力が少ないから。
コング族は他の生物に比べて魔力が少ない。しかも子供だ。
パラシッターが取り憑いている時に使われる結構少ない魔力でも硬化が維持できないほどには。
ある程度成長したら魔力量も増えて解決できると伝えたら安心してくれた。
「オッホ、オッホ(助かったぞ。我々には全く分からなかったのでな。)」
「気にするな。ぶつぶつ交換だからな。」
「ホホウ(そう言ってもらうと助かる。それでおぬしは何が欲しいのだ?)」
ナナバナナとツボフタはすぐ用意できるそうだが楽器は少し待っていて欲しいと言われた。
一ヶ月後、ドナドナにハーモニカが渡された。頭に固定されており顔を動かして吹くタイプだった。
確かにそれなら演奏できるな。
一緒に夜遅くまで演奏に付き合った事もあった。
のちに『ハーモニカ吹きのドナドナ』が知れ渡る事となった。
今週来週がテストなので更新が少なかった(なると思う)。
試験開けたらいろいろ思いつくと思います。