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武道大会

■■■ 学園都市 ■■■


「なんだとこのタコ頭が!!」

「聞こえなかったのか!?イカ野郎が!」


「「上等だ!!!」」


大きな大きな赤いアフロの男子と髪の毛が真っ白で頭のてっぺんが尖っている男の子が喧嘩を始めた。

お互い、「骨なし」とか「フニャケ野郎」とか言いながら殴り合っている。

最近の若い子は頑丈なのか。結構本気で殴り合ってそうだけど怪我をしていない。


「ちょっと!あなたたち!!いい加減やめなさいよ!!クローネが疲れるでしょ!」

金髪で髪の長い女の子が声を荒げた。随分気の強そうな子だ。


クローネ?疲れる?周りを見渡すとひとりで魔法を唱えている子がいた。目に前髪がかかっているかなり地味な子だ。オドオドしながら治癒魔法をかけていた。


「大丈夫?クローネ。疲れたらすぐやめていいのよ」

「だ、大丈夫です。わ、私にはこれくらいしか取り柄が、な、ないので」

ふたりでイチャイチャし始めた。


「お、喧嘩か。もっとやれやれ!!」

「青春だ!!ガハハ!!」

いちごケーキを食べていた狼の獣人の青年とリーゼントの手入れをしていた男が囃し立てていた。が、喧嘩で飛んできたイスたちによってケーキとリーゼントが潰れてしまった。


「「何してくれてんだテメェ!!」」


喧嘩に巻き込まれた人たちがどんどん加わっていき、どんどん収拾がつかなくなってきた。



「あ、ウルいた」

喧嘩を避けるべく隅っこでちびちびとケーキを食べていた。

その正面には皇国の聖女の娘もいた。同じくケーキをちびちび食べていた。その横に大人と見間違うほどがっしりとしている生徒もいた。彼が皇国の騎士団の団長の息子だろう。立派な戦士の風格がすでに漂っている。

今みんな、10代後半だと思うけど子供かと思う人からもはや成人と思える人までいる。

楽しそうで何よりだ。



「あ・な・た・ち・・何してるの!!」

突然木の十字架が現れ、喧嘩をして暴れ回っている子達が押さえつけられた。


「何度言ったらわかるのかしら」

「ホッホッホッ。元気なことはいいことだ。それに意見をぶつけ合うことも大切な経験ですよ」

学園長と知らないおっちゃんが入ってきた。

「それはその通りですが理事長。この子達はその、しょぼいですよ?」

「大人から見たらくだらないと思っていても大切なことは沢山あります。椅子は壊れてもすぐに治りますしね」


知らないおっさんは理事長らしい。そしてそのおっさんが椅子を直した。正確に言うと壊れていた椅子のパーツになっていた木を成長させて椅子の形にした。


すげーな。どんな魔法だろうか。



「あら、アストラじゃないどうしたの?」

騒いでいた生徒達をしかったあと学園長は横に立っていた俺に気づいた。

「魔王領で大会があるからちょっと連れて行こうかと」

「どんな大会よ」

「拳がぶつかって、ドンパチする大会」


すごいため息をされた。

「あのねぇ、まだ子供よ?怪我をするような大会がいい訳ないでしょ」

「そりゃ全員出場するわけないでしょ。出れる人は限られてるよ?」

「そうことを言いたいんじゃない!」


子供全員のだとか他の地域に行くことの大変さをクドクドと説明された。

「わかった!?」

「見聞を広めるためだよ・・」

「そんな後から、いい訳・・」

「確かに他の地域に行くことは見聞を広めることもできます。子供達にとってもいい刺激になるでしょう」


ここで予想外の味方が現れた。

「ですよね!!理事長さんもそう思いますよね!」

「あ、あの理事長??・・・まさか・・・」


勝った。理事長には逆らえないらしい。

学校に膨大な寄付をしてもらっている上、毎回ぶっ壊している椅子やテーブル。はては建物なども無償で直してもらっているからだ。

予想外の味方を得た俺は修学旅行という名目で魔王領へ生徒を連れ出すことができた。



ちなみに魔王領までは理事長が作り出した木の巨大ゴーレムに乗って移動した。

馬よりも遥かに早い速度だったか、それでも二日ほど掛かった。


ちょっと試してみたくてウルをゴーレムの後ろを走らせてみた。しっかり並走してきて少しびっくりした。


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