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ハーピーの集落

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ハーピー族

胴体と顔がヒトの姿、腕から先と下半身が鳥の姿をしている。

飛ぶこともできる種族

スカーレットとはハーピー族の女性の名前だ。

俺がこの世界で初めて好きだと思った女性でもある。



出会いは俺が異神との戦いで死にかけて山の中で倒れていたのをスカーレットが見つけて自宅で看病してくれたのがきっかけだ。

両足が壊れて動けなくなっていた俺をわざわざ彼女の自宅まで連れ帰って看病してくれた。


彼女は燃えるような赤色の髪と羽毛が特徴だ。少し鋭い吊り目で人との付き合いも悪そうな顔をしているが意外と面倒見のいい姉さんだった。子供からも好かれていて「姉さん」と子供が言えば彼女のことを指しているほどだ。



彼女のことは目を覚まして初めて顔を見た瞬間一目惚れして好きになってしまった。

まだ若かった頃の俺はスカーレットにちょっかいをかけてみたり甘えてみたりと忙しかった。

その効果があったのか、はたまた別の理由なのか俺にはさっぱりわからないがなんだかんだで俺たちは仲良くなった。


近所の子供にも

「ねえちゃんはいつケッコンするんだ?」

と揶揄われるくらいだ。その度に彼女は

「な、何を言ってるんだ。結婚なんかまだできるわけないだろ!」

といいつつ俺の後ろに半身を隠していた。

聞いた子供と本人は気づいていないかもしれないが「まだしない」と盛大に自爆していた。



他に彼女のことを語るならやはりあのフカフカの羽毛だろう。

ハーピー族は木に止まったまま、体育座りのような感じで寝ることもできる。その時に寒さを防ぐため羽毛はかなりふわふわしている。その羽毛に包まれて寝ると非常に寝心地がいいのだ。

一緒に寝ることもあったが彼女のベットに侵入して羽に包まれようとすることもあった。

時々入った瞬間蹴飛ばされる日もあったが、大抵は朝まで寝て起きた時に蹴飛ばされた。


今でもなんで入った瞬間蹴飛ばされたのかわからない。彼女が眠そうな日とか疲れた顔をした日はしっかり避けていたはずなのに。


他に思い出といえば・・・



「お兄さんそこで何してるんだ?」

ふと話しかけられた。

声の方へ振り返ってみるとドアに止まっているハーピー族の子供がいた。

俺がネズミ返しだと思っていたものはハーピー族がつかんで立てるように作られたものだったのかもしれない。

「そこはばーちゃんが大切な人とその人の大切な人の家だから勝手に入るなって言われてるんだ」


「へぇ、そうなんだ。ちなみに僕の名前はアストラって言うのだけど聞いたことない?」

「アストラ?う〜ん。どっかで聞いたことある気がする。なんだっけスカーレットとアストラだった気が」

やっぱり二人でセットになって教えられているのか。

「ってお兄ちゃんアストラってなまえなのか!?すごい。まさかおなじなまえの人がいるなんて」


違う、そうじゃない。

「僕がそのアストラなんだよ。そのアストラって人は耳が長いって言われなかった?」

「わかんないや。ばーちゃんに聞いてくる!」

「僕も一緒についていってもいい?」

「だめだよ!母ちゃんが知らない人と一緒に飛んじゃいけないって言ってたもん!」

「そうなのか。それじゃ僕はここで待ってるね」


その答えに満足したのか子供はバタバタと音を立てて飛び立った。




すぐに戻ってくるのかと思いしばらく席に座って待っていたが、なかなか帰ってこなかったので部屋の掃除を始めた。随分長いこと放置されていたのだろう部屋中隅々まで掃除をしていたら夜になってしまった。

この里に着いた時はまだ昼だったと思うが。少年は飛んでいる最中に俺のことをわすれてしまったのか。


子供は結局帰ってこなかったのできれいに片付いた家でご飯を食べることにした。

ハーピー族はアボカドが食べれない。食べると羽が膨らみ特に下半身がモワッとして動きが鈍くなる。そのまま動けなくなったりひどい時は呼吸困難になる場合もある。このことは親から子に伝わるので知らずに食べたと言うことはない。間違って誰かが食べるのも嫌なのでここでは一切アボカドを出さない。

まぁこの家には俺一人しかいなんだけど。



そのまま食事も終わり寝ようかどうか迷っていたところだった。

「誰だ!!大人しく羽を下ろせ!!」

ドアを押し除けながらそう言って、こちらに立派な鉤爪を見せてながらバッサバッサと音を立ててパーピー族の男性が飛んできた。


ハーピー族の鉤爪を閉める力はかなり強く成人男性になるとちょとした木の幹ならへし折ることができる。同族の羽の骨を折ることも簡単にできるため鉤爪を他人に向けて開くことは禁止事項となっている。

つまりその鉤爪を向けられている俺はかなり警戒されているわけだ。


「ここは灯りが灯らない家なのに家の中が明るいから何があったと思っていたら、お前は誰だ!」

「私はアストラというしがない商人です。ここにはご縁があって訪れました」

「アストラ?スカーレットとアストラのアストラか?・・よくみたら耳が長い」

そうして少し俺を観察して何かに気付いたようにハッとした。


「も、申し訳ありません!あのアストラさんとは知らずとんだ無礼を」

あのアストラだと気付くやいなや床にしゃがみ込むように謝り始めた。

「いえいえ大丈夫です。こちらから何も連絡していませんでしたし」

謝り続けようとする男性を止めるのにそこそこの時間がかかった。




「まだ族長とお会いになっていないのですね。今から長のところにお連れしましょうか?」

「もう夜ですし、明日こちらから伺いますよ」

ついさっき来たばっかりだと伝えるとそう提案されたがもう夜だ。

ハーピー族は寒さに強いわけではないので冷える夜は羽に包まってじっとしている。わざわざ今すぐ会いに行く必要もないだろう。










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