魔族領 魔都
前書き設定
杖(魔法を使う補助道具一般について)
魔法は魔素をある形に集めることで発動する。その時体内にある魔素を直接発動するより、魔素の伝導率が高い素材でできた補助道具を使うとスムーズに魔素を体内から引き出せる。
■■■ 魔都 魔王城にて ■■■
「そもそも覇気が何か知ってるか?」
覇気がコントールできない魔王のゴウに聞いた。
「覇気は自分の気持ち、思いの力が体の外に具現化して現れるオーラでは?」
「一般的にはそう言われているな。正確にいうと覇気は魔素の一つの姿だ。娘にも言ったが魔法の発動には魔素が必要だ。そしてその魔素を動かすのに自分の思いが必要だ。魔法になれるとそんなこと忘れるのだがな」
とにかく魔法を使いたいとひたすらに願い続け、自分の魔素を感じる。魔法を使うにあたって誰もが通る道だ。
体内から溢れた魔法にはできない魔素、これが覇気の正体だ。強く願えば願うほど体内から溢れ出す魔素の量は多くなる。
垂れ流した魔素は勝手に戻ってくることがないからお勧めできないが。
「そしてもう一つの覇気がある。それは存在感だ。体内に秘められている魔素の量とでも言おうか。あまりにも膨大な魔素は近づかずとも分かる。特に魔素と親密な魔物などは。」
アギトの危険察知センサーも似たような物だろう。
「なら私も意識などせずとも体内の魔素量で魔物は近寄りませんか?」
「それは無理だな。先代の魔王は凄まじい量、お前の10倍ほどの魔素を持っていたからな。あそこまであるとそれだけで十分だがお前は足りないな。」
「ならどうすればいいのですか?」
「これだ!」
俺はそう言ってアイテムBOXから腕輪を取り出した。
半魔の腕輪
魔法を受けるとその全ての魔法を反射する魔法を発動する腕輪
製作者$#%!?
「この地味な腕輪が?」
確かに黄色というか土の色でなんの装飾もついていない腕輪だが侮ることなかれ。疑似的に魔素の量を増やすことができるのだ。
「どうやって?」
「説明が難しいのだが、、、魔法は魔素を元に発動するだろ?言い換えると魔法が発動しているということは魔素がある、ということだ。それでこの腕輪は魔法を受けると反射する魔法を発動する。つまりあるはずのない魔素があることになっているのだ」
「そもそも魔法具って魔素を流して魔法を発動したり、発動しやすくする物ではないのですか?」
「そうだ。それが魔法具なのだがこの腕輪は魔法を受けることで自動で魔法を発動する。つまり魔素を疑似的に生み出す」
「訳がわからない」
俺もそう思う。自分で世界を作り出せるような奴はなんでもありだな。
「とりあえずこの腕輪をつければいいのですね。そして魔法を発動すればいいと」
そう言いながら腕輪を腕にはめた。
「ああその通りだが覚悟しろよ、魔法を反射するんだから・・・」
「いってぇぇぇぇぇ!!!!」
腕輪をはめて魔法を発動したのだろう。腕を押さえながら床を転がりまわっている魔王がそこにはいた。
「ゴウ、あなた回復魔法使えるわよね。疲れるだろうけどそれで痛みは治まるでしょう?」
「・・確かに。カレンありがとうな」
痛みが治ったのかスッと立ち上がった。
「腕輪の効果はありそうだな。いいオーラだ。」
ゴウの次は魔法を得意とするフェニックスのクラマに物を売るか。
「クラマは前回よりも魔法の発動が早くなっているな」
「早くなってるって言われてもぉ。私の魔法発動する前に止められたわ」
クラマが発動しようとしたの魔法は『真なる夜』
名前の通り世界を夜に変えてしまう魔法だ。吸血鬼のカレンと相性がいい。
というかカレンの力を120%引き出すために作り出した魔法だ。発動されるとカレンの身体能力が再現なく上がっていくため発動させる前に潰さないといけなかった。
「今ほど緻密に魔素を扱えるならこの杖も扱えると思うぞ」
今度は黒い杖を取り出した。杖の持つ方の先端は二つに分かれて空洞を囲うようにねじれている。
「これは?」
「『深淵の黒杖』。深淵で見つけた杖だ」
深淵の黒杖
この世の最果て「深淵」ですむ生き物が使う杖。
魔素の伝導率は凄まじい物だが杖に魔素を流しずらくかなり緻密な魔素操作ができないと扱えない。
杖にうまく魔素が流れるとあまりの伝導率の良さにより周りの大気からも魔素を吸収する
今のクレマに扱えると思わない。なんなら寿命が長い魔族が一生特訓しても扱えないと思っている
それでも今よりさらに緻密な魔素操作をしようと思うとこのレベルの杖が必要だ。
「あなたはこの杖使えるの?」
「無理だ。魔素の通り道が細かすぎて全く反応しない」
「・・・。面白そうじゃない。これのひねくれた坊やを手懐けれた時が楽しみだわぁ」
俺が杖を渡すと早速杖を弄り始めた。いつかその杖を扱える日が来るのだろうか。
ちなみにだが深淵の生き物がその杖を使っているときは空洞の部分に赤い光が灯っていた。
渡して数分もせずに、僅かに、ほんの僅かだけ赤い光が灯っていた。やはり魔素の扱いに桁外れた才能を持っているな。
「私には何もないのかしら?」
「ほれ」
そう言ってブラッドトマトを投げた。
「トマトだわ!!あぁ、トマト!!」
いきなり食べずに形がどうだとか色合いがああだとかで自分の世界にスリップしたのでそのまま放置した。
「カレン様・・。かわいい」
魔王すら恐れる最古の四天王「カレン」、しか知らないのかアギトが驚いたように立ち尽くしボソッと呟いた。
「それでは魔王様、お値段はこちらになります」
「どれど・・れ・・・え?」
値段が書いてある紙を受け取った魔王の顔が固まってしまった。
二つとも金貨数千枚の値段だ。簡単に動かせる金額ではない。
どちらも世界に一つしかないと言っても過言ではない代物なので妥当な値段だが。
「この金額だと私たちはかなり節約生活を送ることになりそうだ。」
「あら?私は今までの貯金でなんとかなりそうよ?」
「何?!クラマはそんなに持っていたのか!?」
「あなたの倍近くは生きているもの」
「はぁ。まぁ仕方あるまい。私は久しく街に出れていないからな。今後のことを思えば」
ゴウは名残おしそうにアイテムBOXに消えていく金貨たちを眺めていた。
「毎度あり!」




