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魔王領 魔都

長くなってしまった

■■■魔都 郊外にて ■■■

「いざ、推して参る!!」


盾を構えながらカトナが突撃した。カトナが得意とするのは防御と妨害。自慢の盾で味方を守り、味方が戦いやすくなるよう敵の妨害を行う。盾による攻撃もあるが今回は相手が悪い。

アギトですら隙をつかないと自慢の一撃が防がれるのだ。盾の攻撃など意味をなさない。


(おまけにアストラとカレンが高速で動き始めるとクラマの守りで手一杯だ)

カレンが大剣を武器としながらも高速で動き回ると、魔法をメインに戦うクラマは反応しきれず流れ弾に当たる時がある。腰の蛇による自衛もあまり意味をなさない。


(カレンの体が温まる前にクラマとアギトの3人で終わらせるのが楽だが)

長年四天王として共に過ごしたクラマとはともかく新任のアギトと息が合うのか。カトナは突撃しながら瞬時に考えた。

(おそらくクラマの魔法も避けられるだろう。アギトの一撃に賭けるべきだな。クラマとカレンは派手に動き回ってもらうのが良さげだな)




(カレンちゃんが元気になる前に終わらせられたらいいのだけどぉ。アギト君との連携は難しそうねぇ。私たちは妨害してアギト君に任せるのが良さそうかしら)

「うふっふっふっ。前回の私とは違うわよ。おいでなさい大地の騎士(ノームナイツ)!ついでに大地の壁(アースウォール)!!」

地面から騎士型のゴーレムを10体召喚した。全員が俺の体に張り付き、動きを妨害しようとしていた。

全員操りながら同時に魔法を発動するのはなかなか酷だが不可能でない。



(私の体が温まる前に決着がつくか、私がやるか。今はアギトの一撃にかける)

「成長した私の一撃を耐えられるのかしら!」

クラマのゴーレムごと潰す勢いで大剣を振りかぶったが摘まれて止められた。

大剣が止められた事による衝撃でゴーレムが全員消しとばされたが。

「相変わらず化け物じみてるわね!」

「カレンも前回よりいい一撃だぞ」

全く嬉しく感じない褒め言葉を聞きながらアギトの位置を探った。私たち3人が派手に動き出したのを察知して確実に気配を消している。

「よそ見してていいのかしら?」


「足元に注意よぉ!地獄の番人(デーモンハンド)!!」

足元から魔法陣が浮かびそこから巨大な手が現れアストラを拘束した。

力自慢のカトナですら抜け出すのが困難な魔法だ。多少の時間稼ぎにはなるだろう。


破拳(はけん)五連弾!!」

アストラは地面に拳を打ちつけた。

その瞬間、クラマの魔法は地面ごと爆散して消し飛ばされ、アストラの近くまできていたカトナとカレンは吹き飛ばされた。


「アギトが!」

地獄の番人を抜け出すのは想定内で、抜け出した直後にカトナとクラマでアギトのために隙を作る流れだった。

そのことはアギトも何となくわかっていたのでいつでも襲えるように構えていた。

攻めるタイミングを計っていたアギトは敵を吹き飛ばして自由な身になったアストラの強襲に備えられていない。


アストラの破壊の一撃がアギトに直撃する寸前だった。

魔鎧砲(サテライトキャノン)!!」「緋色の弾丸(カルマンバレット)!」

クラマが土属性の魔素を凝縮させて具現化させた塊を、カレンが自分の手を切って出た血の塊を飛ばした。


軟拳(なんけん)

アストラが優しく二人の攻撃を撫でると、それらは軌道を変えてカトナのところに向かっていった。


「「カトナ!!!」」

二人の攻撃が直撃した地点を中心にとんでもない爆風が走った。

いくら防御自慢のカトナでも耐えきれないかもしれない。

「大丈夫!?カトナ!!」

「成長してるのは何にもお前だけではないと言うことだ」

盾はボロボロに鎧は穴だらけになってしまったがカトナは耐えきっていた。

「しかし、これはまずいことになった」


遠くからお互いの位置を見ることができ、今置かれている状況がまずいことに気づいた。

お互いの距離がアストラを中心として離れすぎている。

咄嗟の回避で遠くにバックしたアギト、左右に吹き飛ばされたカレンとカトナ。一人だけのクラマ。


クラマは四人全員の身体能力を上げる魔法を使っているため、失うのは敗北に直結する。

それを分かってか、アストラは一直線にクラマに向かっていった。何か妨害しているがほぼ無意味だ。

この中で間に合うのは、


「あとは任せた!」

そういってアギトが最高速度で突撃しに行った。アギトの最高速度ならまだ間に合うが、

崩拳(ほうけん)

アストラが振り向くと同時に手のひらをアギトに当てた。それを受けたアギトは気を失ったように地に落ちた。


直後


ドゴーーーーーン

と大きな音を立ててアストラが吹き飛ばされた。

「間に合わなかった」


そこには禍々しく赤い線が浮き出た黒い大剣を持っているカレンがいた。よく見ると赤い線はカレンの体にまでつながっている。さらにはドレスまで黒く染まっていた。

「やっとあたたまってきたわ。」


カレン 又の名を破滅の魔女

遥か以前から四天王に所属している魔族。吸血鬼の神祖。

彼女に喧嘩をうった魔王は悉く消滅させられている。

滅剣・メルジーバが真の力をはっきする時、ありとあらゆる生命が破滅すると言われている。



カレンが力強く踏み込んだかと思えば、一瞬でその姿が掻き消えた。遥か彼方で金属同士がぶつかり合う音が聞こえるがその姿は捉えられない。時々滅剣から出る漆黒の波動が大地を削りながら進んでいた。

お互いの力が拮抗しているように見えた。が



「魔法の準備ができたわ!!真なるよる!・っう!!」

アストラがカレンに蹴りを入れた姿勢のままクラマのところまで飛んできたのだ。

完全にカトナがアストラの動きに追い切れておらずクラマを守ることすらできなかった。




「ふぅ。魔王城まで飛ばしたから大丈夫だろ。俺たちも早く魔都に行こうぜ」

少し疲れた様子の、しかし全く無傷のアストラがそう呟いた。





破拳

膨大な魔素を衝撃として与える技。衝撃を重ねれば重ねるほど共鳴して破壊力が増える


軟拳

手に振動する魔素を纏わせて相手の攻撃をいなす


崩拳

相手に魔素の塊を送り、体内で魔素を振動させる技。魔素の扱いに長けていないと荒れ狂う魔素を制御できずかなりのダメージを負う











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