ナイトデパート 古の秘宝
自転車修理でパンクした自転車3時間ほど乗り回した。
あと今回かなり長いですはい。
「今回は助かった」
「大丈夫だ。大したことなかったとは言い難いが、問題はない」
厄災龍が襲ってきたからみんなを守ったということは大した問題ではない。
厄災龍の封印がこの世界にあること自体問題なのだ。遥か昔に虚無に封印されたはずだ。まぁ昔とは言っても俺は元気にレベルアップをしていた時期だが。
世界を破滅に追い込むほどの力を持つ龍を他の人のいる世界で封印するわけがないのだ。
限られた一部の神獣しか対処できない。
「ふむ。まぁ何にせよ助かった。おかげで誰も死なずに組同士のバランスも崩れずに済んだ。青龍の奴らはかなりの人数を連れて行ってたしな。全滅したらかなり力が弱まるからな。本当にあそこはバカだな」
「龍関係なしに少し減っていたけどな。」
「それはいつものことだ。あそこは犠牲を厭わないで進めていくからな。いつものことだ
それでお礼の方だが、どのくらいがいい?」
そう言ってボスは手を丸めて見せてきた。金額を言えとのことだろう。
「そうだなぁ。お金もらってもすでにたくさんあるしなぁ。
金の代わりに朱雀堂の名前を借りて一週間くらい商売させてくれよ」
「商売?そういえばお前は商人だったか。いいだろう朱雀堂の名を使ってここでは好きなだけ商売をするといい。
たおすすめのものがあったら我々に教えてくれてもいいぞ。高く買ってやろう」
おそらくこのボスは朱雀堂の名前を使っていいぞ、ただ我々に優先的に卸せよ?と含みを持たせてわざと言っているのだろう。そして俺が当然そんなことをする必要がないのもわかっているはずだ。
深読みして何かを売ってくれるならラッキー。そうでなくても予定通りなのだろう。
せっかくだから意表をついて何か売ってあげよう。
「そうだな。吸うと気持ち良くなる粉の花はどうだ?」
「何?お前はそんなのもまで売っているのか?」
「いや。売ってはいないが、いろんなところを旅していろんなものを集めるとな。どうしても売れない物も出てしまうのだよ」
「なるほど。1gにつき金貨5枚だな」
なんとも言えない値段だな。正確な相場は値段が常に後頭しているからわからないが、ここナイトデパートでは決して高くはない。かといって安いのかといえばそうでもない。思わずこれなら売ってもいいかと思える値段だ。
「いや。金貨5枚だな」
「それは高いな。金貨4枚の銀貨8枚だな」
「それならいいぞ」
「成立と。あとは自由に商売してくれ。お前さんに渡した赤いバンダナは持っているか?あれをつけている間は朱雀堂を名乗れる」
「了解した。それじゃ世界中の珍味を売ってくるわ」
俺はチラリとボスを見た。悔しそうだ。
それもそのはず。さっき売った粉物は金になる話ではあるがかなりの量がすでに出回っているため儲かるかと言ったらそれほど儲からない。しかし世界各地の珍味というのは普通で回らない。なのでもし手に入ったならばかなり儲かる物なのだ。
世界中を旅していると初めから言っていたが、だめで元々の餌に俺が食いついたから焦って引き上げてしまったのだろう。
ドンマイ!!
「それではまたいつか!お店はそうだな。ここの街の入り口あたりで開くつもりだ!」
「・・そうか。行ってこい」
これはすぐに再開しそうだ。俺は少し気分良く建物を出た。
翌日
俺は言った通りに入り口付近で店を開いた。今日もしっかり6人の見張りがいた。来た時は分からなかったが今では赤いバンダナ、黒いコート、青い腕巻きで区別されていることがよくわかる。三組で何も起こらないように見張りあっているのだろう。
「どっこいしょ」
俺は敷き物に商品を広げた。
一つは「グロブスター」。
名前からも想像できるが2個あるハサミのうちの一個がかなりまずい。俺は知らずに食べて吐きそうになった。いろんなゲテモノを食べてきたはずだが。それくらい不味い。
もう一本のハサミは普通のロブスターだ。
自然界ではわざと不味いハサミを自切して餌代わりに逃げるというものだ。そしてそれに食いついたやつはかなりの苦さに苦しむことになる。」
普通のハサミと不味いハサミは見た目どころか纏っている魔素まで全く同じなので区別がつかない。
普通はそんなもの売れないがここではいいだろう。なんせ面白いもの珍しいものには全力で飛びついてくる人たちだ。
半分があたりで半分がハズレのクジだと思えば面白い。身の方は普通に食えるしな。
二つ目は
「夢幻草」
これも名前から想像できるが、幻を見せる草だ。ただしそこまで依存性はない。
問題は幻が気分の良くなるものとは限らないことだ。3日3晩悪夢にうなされるかもしれない。
これまたギャンブルものだ。
他は探索に役立ちそうな、通ってきた道に枝ができる「みちしるべの枝」や魔素を灯すとぼんやりと光る「魔道ランプ」。そのほかにも傷薬や魔素の補給ができる干し草などだ。
「おいおい。誰の許可を得てここで店開いてんだ?」
わざと赤いバンダナを隠して商売したら、誰かが突っかかってきた。さすが!治安が悪い!しかもつかかってきたの朱雀堂の人だ
「誰って言われても。商売するのに誰の許可なんか必要ないでしょ?」
「ここがどこのシマだかわかってるのか?!」
朱雀堂でしょ?知ってるよ?
どうやって煽ろうか考えていたら後ろから声がした。
「俺のシマだが何か問題でも?」
「ボ、ボス!!いえこの不届きものを排除しようとしただけです。すぐに片付けますので少々お待ちを」
「ッフ。いらん。アストラ、なぜダンバナを見せない」
今下っ端のこと鼻で笑ってたな。かなり小さい音だったけど俺は聞き逃さないぞ。
「いや、隠していたら誰かつかかってくるのかなぁって。この人みたいに」
「好きにしていいが、怪我人は出さないでくれよ。」
もちろん。そんなちっぽけな理由で怪我人なんか出すわけがない。
「ところで今日はどうしたんだ?格好を見るに買い物に来たって感じじゃないが」
今日のボスはかなり皮鎧を下につけた赤黒いコートを着ている。今から遺跡に潜る格好だ。お付きの人が10程いるのもそのためだろう。
「君は予想できているだろうが今から遺跡の探検に行こうと思っていたのだが、たまたま君の店を見つけてな。どうやら珍しいものから探検に役立ちそうなものがたくさんある。少しばかり買っていこうと思ってな」
「確かに探検に役たつものも売っています。それに遺跡では何が起こるかわかりませんよね?たくさん買って行ってはどうですが?少々値段は張りますが」
「ふむ。お手柔らかに頼むよ」
3割増ほどにした商品を朱雀堂が全部買い取って行った。
そしてそのまま遺跡に向かっていった。
朱雀堂のボスはアイテムBOX持ちか。かなりの量をしまいこんでしまった。
「さてやることも無くなったしどこに向かおうか?とりあえずもう一回霊峰でも登ろうかなぁ」
そう一人でデザスターデザートをのんびり歩いている時だった。
「あーあーあー。アストラさん聞こえますか?」
頭の中に突然女の子の声が響いた。
「きこえません」
「あれれ〜?おかしいな?ちゃんと聴こえるはずなのに」
「返事してるから聞こえているでしょう」
「・・!!そうでした!アストラさん来たください!お話があります」
この声は旅する上で聞きたくない声だ。
おまけに来てくださいって行っているが神獣アルビオンの作っている異界に飲み込まれている。強制じゃないか。
アルビオンの異界に飲み込まれたかと思ったらすぐに吐き出された。
「眩しい」
そこはあたり一体白く輝いていた。死の砂漠とは真反対だ。
「待ちましたよ!アストラさん!」
そこには金と銀の髪を持った少女の神がいた。
「今回は何用ですか?守護神・ハルモニア」