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ナイトデパート    古の秘宝

10日後、俺は言われたところに向かっていた。

どうやら朱雀堂が経営しているバーらしい。


「ん?なんで店が閉じているんだ?」

確かに言われたところに来ているはずだ。それなのにそこにある店は準備中のふだを下げている。

おまけにあかりを一切つけていないのか、店の中は真っ暗だ。

「あれ?ここであっているはず。とりあえず開いているかどうかだけ確認してみよう」

そう思ってドアノブに回してみたら、あっさりと回った。

「すみませーん。ここに来いって言われたんですかど、ってなんだぁ?」

突然刃物が2本、顔めがけて飛んできた。

「あれ?ここが今日お出かけに行く集合場所であってるよな?」

片手で掴んだ刃物を投げ捨てながら尋ねた。


「てめぇ何モンだ。ここに何しにきた?」

最初から椅子に座ったまま動かなかった大柄の男が訪ねてきた。

他には咄嗟に立ち上がって後ろに逃げていった者、それらを庇うように動く者、前に出てきて構えている者。

なかなかに連携が取れているじゃないか。


「俺はアストラ。今日はここの護衛役として雇われた。」

「ほう。貴様が」

「あぁ。何かあった時に守ってくれと」


「守ってくれ?随分となめられたものだな」

そばで構えていた男が突然話し出した。

「そのひょろい体で何から守れるんだ?せいぜい砂が目に入らないようにすることぐらいじゃないか?」


確かにその男はかなり鍛えられていた。腕や顔にまである傷は歴戦の証なのだろう。

「お前みたいなひょろい奴に守られるほど俺たちは弱くねぇ。さっさと出ていけ。力尽くに追い出される前に」


なんだこいつ。めんどくさいな。

ずっと座っていた人はここのグループのリーダーなのだろう。事情は分かっている感じだったが何も言ってこない。

他の人も自らかかってこようとする意思が感じられない。どちらかと言えば俺から何かを守り抜こうとする意思が感じられる。


「動かないのだな。さっさと出ていけ」

男が俺を無理矢理追い出そうと近づいてくる。

他の人は無言だ。

どうしようか迷っていたので、リーダーらしき人の顔をチラッとみた。


あ、これ呆れている顔だ。


おそらく自分と相手の力の差すら分からないようだと連れて行きたくないのだろう。

他の人はそれが分かっているのにこいつだけ分からず、おまけにつっかかってきたと。


排除したいのだろうが、俺は誰も殺されないようにしないといけない。


「さっさと出ていけ!」

おおきく振りかぶって殴ってきたので片手で抑え、腹に五発ほど軽くパンチを喰らわせた。


「ごぁ!!」

「そんな体で何を守るのだい?自分すら守れない奴が」

男は膝から崩れ落ちてしまった。



「さて、待たせたね。僕はアストラ。よろしく頼むよ。」

「あぁ。俺は・・リーダーとでも呼んでくれ。他のメンバーは後ほど紹介しよう。早速行くぞ」



場所はデザスターデザートの近くにある砂漠だった。

そもそも死の砂漠として有名なデザスターデザートは砂漠一帯のことを指しているのではなく、はるかに広がる砂漠の中でも特にやばい地域のことを指している。


よってデザスターデザートから遠く離れているので安全とは言えない。

なのに今回向かうところは割と近くにある。


「大変なところに行くんだね。」

「お前もそう思うか。

死の砂漠からかなり離れていても魔物と遭遇する。全員帰還なんてことは今までほとんどない。

今回は何人が生きて戻れるだろうか」

「今回は誰も死なないよ。けど注意してほしい。今から入ろうとしているところは土竜の縄張りだ」


そうリーダーの耳元で囁いた。

「竜か。ワイバーンですら対処を誤ると全滅すると言うのに。その上位種か。頼んだぞ」

「任せたまえ。それより人数はこれだけか?」

10人にも満たない人数がついてきた。


「ああ。罠などを解除する人が2人、護衛が4人、荷物運びが2人」

多すぎると目立つらしい。

なるほど。


「全員隊列を整えろ。今から調査を始める。全員注意を怠るなよ」

調査隊が砂漠に足を踏み入れた。



しばらくは一緒に行動していたが、何も起きそうにないので暇になってきた。


「んじゃちょっと他のところも見てみるか。どれどれ?」

ここと同じくらいで10人くらいのグループと30人くらいのグループがいた。

30人は多すぎるだろ。5メートル級のワームがほぼ全てそっちに向かって行ってる。


ただ、護衛役の腕がいいのか一人一匹で対処できている。

こちらの戦力だと囮と本命に分かれて極力素早く倒すだろう。

どちらがいいかは、時と場合によりけりだが。


結局遭遇したのは10メートル級のワームだけだった。

連携のとれているこのチームの敵ではないが。


「ついたぞ。ここが新しく発見されたところだ。」

そこにはおそらく城などの立派な建物のてっぺんであったであろうものが砂から頭を出していた。


てっぺんが半球になっている特徴的な建物だ。今の時代でも綺麗な球を建築物を作れないのに。


そしておそらく窓になっているところから入るつもりだろう。

「では、様子を見てくる」

そう言って一人がフックがついている縄を窓枠に引っ掛けて降りていった。



「おぉ。すげえな」

安全だというサインが出たので俺たちも下に降りて行ったが、その建物のある空間に圧倒された。


なんと言っても広い。リンカ帝国の城がまるまる入りそうだ。

そして両サイドに展開されている多くの道らしきもの。終わりが見えない。


そして何より目を引くのが巨大な建物の反対側にあった謎の道。

ここだけ綺麗に四角く切り抜かれていてどこまでも下に続いている。

しかもこれでもかと言うほどに入り口が広い。

ここに宝があるぞ。と己の存在を主張すると同時に、取れるものならとってみな。という危険さを隠すことなく漂わせている。



ワームの大きさ一覧  単位はm

1〜5  普通のサイズのワーム

10〜20 通常より大きい   人の住むところに現れて被害が出るのはこのサイズ

100〜  通称キングワーム  デザスターデザートにしか生息しない


どのサイズでも動くものに襲いかかってくる

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