デザスターデザート
書きたいことは決まったのに書けない。
過去1でやばい気がするので後日見直します。
「どわぁぁぁぁぁぁ」
俺はレンガでできた建物の中を走っていた。
ここはデザスターデザート。
入ったが最後生きては帰れないと言われている場所だ。
少し前に亡霊船と楽しく追いかけっこをしていたら、穴に落っこちてしまった。
予想以上の深さにも驚いてしまったがそれ以上に驚いたことがあった。
それは落ちたところが建物の中だったということだ。
なんと死の砂漠とも言われているデザスターデザートの地下に建物があった。
「なぜか俺が落ちてきたと同時についたロウソク。これ魔道具か?」
レンガの壁に一定間隔についていたロウソクなのだが、俺が近づいていくと自動で火が灯るようになっていた。
おそらく魔道具なのだろうがこの時代この時代には作れない代物なのだ。
今ある魔道具というのは自分で魔素を流すことにより道具として扱うことができる。
それなのにこのロウソクは俺が近づいただけで、勝手に火が灯った。
「まぁ、だからと言って俺が何かするわけじゃないからいいんだけど」
だいたい、ここはデザスターデザートだ。基本誰も近寄らない。
「あと、これはどうしようか」
俺は上を見上げた。
俺はここに落ちてきたはずなのに何故か天井に穴が空いていない。あるのは無機質なレンガの天井だけだ。
つまりここは異界の迷宮というわけだ。迷宮から出るためには正しい出口から出なければいけない。
しかし何もわからないのでとりあえず勘で進むことにした。
そのせいで岩に追いかけられることになったのだが。
「どわぁぁぁぁぁぁぁ」
俺はまたしても走っていた。
壁にくぼみがあったので興味本位で手を入れてみたら、カチッという音とともに岩がゴロゴロと転がってきたのだ。
通路めいいっぱいの大きさの岩がゴロゴロと。
しかもそこは一本道なので走るしかなかった。
「あはは。走るの楽しいぃぃ!!」
どんなに走っても永遠に一本道なのでそろそろ岩を壊してやろうかと思っていた頃だった。
「お!穴じゃん。これをジャンプするんだな」
俺は幅が5メートルほどの穴を飛び越え、後ろを振り向いた。
「ふははは。勝ったな。岩じゃこの穴はどうしようもないな!! 岩よ?」
俺がそう勝ち誇りながら言おうとすると、岩が落ちずに何故か飛んだ。
「なぜに!?」
俺は急いでそのまま走り出した。
その後も岩は急に止まったり、直角に曲がってみたりと好き放題にしていた。
挙句の果てには穴が大きすぎたのか、転がったままジャンプをするのをやめて、蔦を掴んでターザンのようにジャンプした。
「ってお前!!手があるじゃねか!!バッチリ見えたぞ!!」
「ウシッシッシッシッシ。僕は岩だよ?」
「岩がしゃべるか!」
頭に響く声ではなくはっきりと耳で聞こえる声がした。
これは岩に似ている生き物だな。俺はそう確信した。というか誰もがそう思う。
しかし、いつまでも逃げているほど俺は暇じゃない。
「そうか。これは岩なのか。なら追いかけられるのも飽きてきたし、壊すか」
俺はゴロゴロと転がってくる岩に向けてぐっと拳を振りかぶった。
そしてそのまま全力で、近づいてくる岩を殴る寸前まで来た時だった。
「うそうそ!!僕は岩じゃない!!やめてーーーーー!!」
ドゴーーン!!
あたりに轟音が響き渡った。
もちろん俺は本体を殴っていない。殴ったのは横の壁だ。
殴ったの衝撃で起きた砂埃がなくなると、竜らしきものがいた。
背中なんかはもうゴツゴツしていて岩を背中に埋め込んだかのようだ。
「び、びっくりした!!こなごなになると思ったよ!!」
そう竜らしき生き物が話し始めた。
初めは壊そうとしたことに怒っていたが、途中からどうしてここに来たのかわかんない等々話し始めた。
てか、話の脈略が無さすぎるだろ。それによく喋るな。
なぐろうとしたことを怒っているかと思えば、ここがどこだか聞いてきたり、自分の父親の話をしたり。
途中から疲れてきたので、歩きながら聴くことにした。
「それでね、僕の父さんはすっごいんだよ。でっかくなるし、口からブレスも出せるんだよ」
「おーそうかそうか」
「それでねお父さんに登ったこともあるんだよ?すごいでしょ?」
「おーすごいすごい」
疲れた。
こいついつまで話すんだ?
いい加減一人になりたい。
あとこれどこに向かってんだ?俺は先行して歩くおしゃべりのやつについていっているだけだ。
こいつが何か考えて歩いているとは思えない。自分が行きたい方に行っているに違いない。
なのに
「着いちまった」
そこは終わりが見えない神聖な空間だった。今まであった無機質なレンガの壁は姿を消し、果てが見えない。
全てが黄金色に輝き、ロウソクですら黄金色の火を灯している。
どういう原理なのかはわからないが柱が浮いている。
その柱をつなぐように板が浮いていた。きっと橋代わりだろう。そしてその終着点には一際大きな柱と宝箱が置いてあった。
「お!!宝箱だ!!やったぁー!!」
と喜んで宝箱を開けた顔がすぐにガッカリした顔になった。
「なーんだ。人間用じゃないか」
そこには籠手が入っていた。
特にゴテゴテした装飾もないシンプルな籠手だ。
「ここまでよくたどり着いた」
空から龍が降りてきた。
ヒュドラやアジ•ダハーカが西洋風の龍とするならば、こいつは東洋の龍だろう。
長くがっしりとした胴体や神々しさすら感じる角。
「我はアルビオン。よくぞここまで来れた。
ってアストラではないか!?なぜ主がここにおるんじゃ?我は呼んでないぞ?」
デザスターデザートを走っていたら落ちてここにきたことをアルビオンに説明した。
アルビオン
神獣の一柱
土属性の魔素を得意とする。
大地創造の魔法を極めた結果独自の異界を作り出すことができる。
「お前の住処はもっと西だろ?なんでこんなところにお前の迷宮があるんだよ?」
「これは我がひと昔前に作ったからだ。もともと弟子達の訓練用に使っていたのだが、もういらなくなってな。誰も来れないように異界に隔離したのち、誰も近づけぬようにデザスターデザートに封印したのだが。
何者かが解いたというのだろうか?」
何か一人でぶつぶつ考えだしたので、俺はさっさと帰ろうと思った。
「それじゃ帰らしてくれ。あとこれもらっていいよな?」
そう言って宝箱に入っていた籠手を取り出した。
「ああかまわん。あとお主らを帰せばいいんだな?」
アルビオンは魔法を唱え始めた。
「お兄さんまた話そうね〜」
元の世界に転移される直前にこう言われた。
「あぁ。またあったらゆっくり話そう(ぜったい嫌じゃ!!)」
一人で喋り倒す人を相手にするのは疲れる。