バイバイ、ぼっち生活〜僕がぼっち生活から抜けるまで 2〜
▪️▪️▪️凍てつく大地 村▪️▪️▪️
「それで、とにかく任せた、と言ってその子狼を置いて去ろうとしたのですよ。しかも追いかけようとした子狼に魔法まで撃って逃げたのですよ?あいつら薄情すぎませんか?人間の姿に変わっても自分の子供だろうに」
とメツメばぁやに連れて帰ってきた経由を説明した。
「アストラさんや、もしかしたらその行動は子供のためかもしれませんぞ?」
しばらく考えていたメツメばぁやが突然口を開いた。
「ここ凍てつく大地ではのぉ、ヒュドラ様が直々に加護を与え吹雪から守っているところが2箇所あるですよ。」
「二箇所?ここ以外に人が住んでいるのですか?」
「いいえ。人はいません。しかし野生の動物が住んでおるのだよ。その生き物達にも安心できるようにと加護を与えた土地があると伝わっておる。しかし吹雪が吹き荒れない土地には多くの生き物が集まる。生きるための争いも激しかろう。」
あ〜、だからヒュドラが南と東の二箇所を守ってくれと頼んだのか。
「それでここからはわたしの予想だが、神狼族は子供をその加護の外の場所で産むのではなかろうか?ある程度育つまでは厳しい環境で強くさせる。しかしその子の成長だけ遅かったのかもしれん。
今の時期はだんだん夜が長くなりつつある。これ以上はそこに残るのも厳しかろう。
まだまだ成長が足りない子を生存競争の激しいところに連れて行くのか。それとも夜が長くなり更に寒さが厳しくなるところで育てるか。
そう悩んでいる時にヒトであるアストラさんが訪れた。この機会を逃すわけにはいかんだろ?」
なるほどそれなら無理にでも引き離すかもしれない。
「それならこの子は責任を持って育てたいと思います。」
「おや?アストラさんが育てるのかい?うちの村で預かるよ?」
「いえ、大丈夫です。頼まれたのは私ですし」
「ホッホッホ。それなら頼みますぞ」
実は、俺が育てるのは頼まれたからだけじゃない。力が異様に強いからだ。
ちょっと木の幹を蹴ったら少しだけだが凹ませられるような子狼を普通の人間には預けさせられない。
こうして俺の子育ての日々が始まった。
3歳 王都に向かう船の上
まだドナドナを見て「ウマ、ウマ」しか言えないのでわかりやすい言葉をどんどん教えていこうと思う。
「いいか?俺がパパ。お前はウルな?」
3歳半 まだまだ船の上
名前を呼んだら「パパ!パパ!」と言いながら走ってくるようになった。普段から人の姿にさせているが、走る時だけ足が神狼族のものになる。いつか治そう。オムツをすごく嫌がるので放置していた。トイレを教えなければ。
「いいか?ここがトイレだ」「パパ!パパ!」「違う。トイレだ。」
4歳くらい まだまだ船の上
トイレを覚えた。よかった。箸を教えたらあっさり使えるようになった。天才か!
2本足で立って歩けるようになってから船の上だが運動を始めた。
「あこら!まずいからってスプーンを投げるな!壁に穴開くでしょ!」
5歳くらい 帝都に着いた
第二王子リンカ リヒトが子供を授かっていた。びっくり。
そしてさらに衝撃の事実がわかった。
「え?学園があるの?しかも帝国外?ドナドナも連れていかれる?」