凍てつく大地‐6‐
▪️▪️▪️凍てつく大地 中央地にて ▪️▪️▪️
「あいてて。わざわざ回復ありがとな」
(クイーンの命令ですので。)
神獣のひとりである女王蜘蛛の配下にはさまざまな役割を持った蜘蛛がいる。戦闘専門の蜘蛛や巣の拡張を専門で行う蜘蛛など。
そのうちの一つである回復専用の蜘蛛が俺に回復薬を分けてくれた。その回復薬は彼らが体から出しているもので何をもとに作っているのか分からないが効果は抜群に効く。あちこちの怪我があっさり治った。更には疲労感まですっかり無くなった。
「後は魔素が足りないんだけど」
(了解しました)
そう言って蜘蛛は自身の巨大な鎌を振り上げて、
思いっきり俺に刺した。
「いって〜」
(申し訳ありません。治療ですので)
たしかに刺されて痛いんだが、それよりもどんどん送られてくる魔素に体が楽になってきた。
俺の保有できる魔素量は結構多いと思ったんだが、1匹で全回復してしまった。
「お前、よく俺に魔素を限界まで送れたな。魔素無くなってないか?」
(大丈夫です。それにヒュドラ様に比べたら微々たる量です)
「ははっ。違いない」
なんせヒュドラは蜘蛛が8匹ほど鎌をぶっ刺して治療している。
「さて、すっかり回復したから俺は行くな。お前はどっか隠れとけよ」
(ご心配ありがとうございます。御武運を)
「ああ、行ってくる」
⚔ ⚔ ⚔ ⚔ ⚔
俺は急いで異神のところに行ったのだが特になにも起きていなかった。
巨大な蜘蛛がガッチリと糸で異神を固定して動かないようにしている。
異神は糸を振り解こうと暴れ回っているが、蜘蛛がかなり力を入れて動かないようにしているので身動きが取れていない。蜘蛛の方も限界まで力を出しているのか一瞬でも力を抜くと異神の力で吹き飛ばされてしまい身動きができないでいた。
「俺があのパワーに対抗できるとしたら、これかな。憑依戦いの神」
その瞬間とてつもない力が漲ってきたが、
「ぬおおおおおおおお!!」
全身に激痛が走った。実は戦いの神と俺はかなり相性が悪く、使おうとすると激痛が走るのでほとんど使わない。
「ふー。我を呼ぶとは如何程のものかと思えば、この程度で呼ぶとは」
「うるさいな。俺の体で勝手に喋るなよ」
「それは無理というものだな。それよりも奴を倒すのであろう。行くぞ!!」
「勝手に動くな!」
俺が一人で二人の会話をしてしまう。
両方の意識が存在しているせいで体の主導権が決まっていないためだ。
そのため体が思い通り動かせない時もある。しかし得られる力は膨大なのでなんとも言えないものだ。
「せいっや!!」
異常に強い踏み込みから、音に近づくスピードで相手に近づき、星でも砕くのかと言う力で相手を殴った。
あれほどの力を誇っていた異神もあっさりと吹き飛び、後方にあった山にめり込んだ。
「ふむ。思ったより硬いな。奴をどうやって殺すつもりだ?我だけでは殺すに至らないぞ?」
「ヒュドラに凍らせてもらって粉々に砕くとか?」
「おお!それは良いな。なら氷龍の奴を帰りを待つとしよう」
空に浮きながら相談している最中に何度も異神がパンチを繰り出したが全て受け止めた。
更には手に膨大な魔素を溜め始めた。その量ははるかに多くヒュドラが数十匹は必要と思われる量だ。
「ほう。其方は魔法も使えるのか。面白い」
「でかい魔法を撃って俺たちもろとも消すつもりか?」
「「まぁ、無駄だがな」」
パチン
と指を鳴らすと同時に現れた壁によって防がれた。
魔法が防がれたことがよっぽど癪だったのか、壁を殴って壊そうとしている。しかし、
「その程度では壊れぬぞ?もっと力を集めねば」
しばらく壁越しに異神の姿を見ていたのだが、
(凍てつく咆哮)
ヒュドラの氷によって腕が凍り始めた。
「蜘蛛どもよ。今度は全身の動きを止めるのだ!奴が力尽くで氷を砕いてしまわないように!!」
(了解しました)
蜘蛛が最後の一踏ん張りと言わんばかりにがっしりと異神を固定した。
数分後、そこにはかちこちに凍った異神の姿があった。
「ほう。氷龍、貴様は腕を上げたようだな。この調子で励め!」
氷を見ただけでわかるのはさすが戦いの神と言ったところか。
「最後は我の仕事であるな。皆下がれ」
「中途半端な力だとやり直しだからな?」
「ふはは。我を誰だと心得ている。心配無用だ。」
「大人しく自分の星に住んでいれば良いものを」
戦いの神(俺に憑依している)の全力の拳で氷漬けの異神は粉々に砕け飛び散った。
「キュロロロ(綺麗な氷ですね)」
(中身はあんまり綺麗ではないですが)
インフレ合戦これにておしまい。
なんだけど戦いの描写俺かけてる?
やっぱり日常的な方が書けるかも。多分