凍てつく大地 ‐2‐
▪️▪️▪️凍てつく大地 にて▪️▪️▪️
アイテムBOXの肥やしになっていた道具やら非常食を大方売り切ったのち俺は小屋を借りて準備をしていた。
「ブルルル(それはどのくらいかかるのですか?)」
「うーん。行くのに1週間ぐらいかなぁ」
「ヒヒーン(それは長いですね。この吹雪の中を進むとなると)」
「まぁそこそこにはな。ああ、あと相棒は残っていてくれ。」
「ヒヒーン(なんでですか?ぼっちは寂しい人にしか耐えられないですよ。)」
うっ、胸が。
「仕方ないだろ。神獣が発生させた吹雪は洒落にならん勢いだからな。ここらとは比較にならん。」
「ブルルル(ならアイテムBOXに入れば。)」
「いや、あいつの吹雪はアイテムBOXすら凍らせてくる。」
「ヒヒーン(それはいけませんね)」
ほんとだよ。アイテムBOXにしまうと空間と時空すら離れているのに。
「とにかく今回は一緒にはいけん。なぁに安心しろ。これが終わったら何か・・・今はまだいいか。
それじゃ今回だけは大人しく小屋に篭っといてくれよ。」
「ブルルル(がんばりますね。)」
▪️▪️▪️凍てつく大地 ホワイトロード にて▪️▪️▪️
昔とある探検家が凍てつく大地を探検した時のことだ。中心地に近づけば近づくほど吹雪が強くなり、目の前が真っ白に立ってしまった。腕一本分くらい離れたところに印としてつけていたものも見えない。
黒かった道は吹雪の雪で真っ白になってしまった。
探検家はそこをのちにこう語った。「全てが白い道だった」と
「ふむ。やっぱりこれでも耐えられんな。」
着ていたコートも強すぎる風には耐えられなかった。
「やっぱりこれかな」
俺はほとんどからになったアイテムBOXからあるものを取り出した。
火竜の鎧
悪名名高い火竜やその他を魔鋼鉄と融合させた鎧。
火の魔素と反応して高温に発熱する。
魔鋼鉄
いろんなものと融合する。錬金術の素材の一つ。
融合する素材により様々な特性を得る。
鉱山が各地にあるためそこまで高価ではない。
俺は自作鎧を装備した。
ゴツさよりもスタイリッシュな見た目を目指して作った鎧はカッコいい。赤い鎧に黒いロングコートが映える。
「やっぱり。赤と黒は合うね〜」
見た目もカッコいいこの鎧は氷や寒さには絶大の効果を出す。
少し火の魔素を放出するとどんどんと温度が上がっていき、さらには吹き荒れていた吹雪すらも溶かしていった。
まぁ自分の周囲5メートルくらいだけど。
それでもずいぶんと快適になったホワイトロードを俺は突き進んだ。
▪️▪️▪️1週間後 凍てつく大地 中心地にて▪️▪️
以前、凍てつく大地の中心は山だった。
そこに氷を司る氷龍ヒュドラが山頂に巣をはったところ、山から吹き下ろす冷風により辺りの気温が30度以上下がった。それに困った神様が巣があった山頂を潰した。そして中央が大きく凹んだ山にしてそこに巣をはらせた。それにより山だった凹んでいるところに冷気がたまり、微かに溢れ出た冷風が辺りに影響を及ぼした。
「つまりここからがあいつの領域なんだよなぁ。」
道中では絶大な効果のあった火竜の鎧も今では少し寒いと感じるほどにまでなったしまった。
山のふちから中を見下ろした。
ここでは吹雪など微塵も吹いていない。そこにあるのは凍りついた木だった物だろう。
ただコンコンと静かに氷の結晶が落ちていた。
その結晶に火の魔法を撃ってみた。魔法と結晶がぶつかった時、魔法が凍りついた。
「こっわ。」
まぁ火の魔法だから凍りついたのであって今の鎧は凍ることなどあり得ない。
ただ寒いだけ。
それくらいなら大丈夫だと、俺は奴の巣に近づいた。
中心近くには洞窟がある。神獣の住処だ。
(このオーラ。ひさしいな。300年ぶりか。)
そう言って奥から龍が現れた。
大きくしっかりとした四肢。
頭に生えた太く天すら貫きそうな二本の角。
大きく広がる翼を広げながら進むその様はまさに神獣。
どこぞのミツ首とはオーラが違う。
「そうだな。ひさしいな、氷龍、ヒュドラ」
起きたら11時でした。びっくり