王都編-1-
修正しました。9/16
▪▪▪首都 リンカ 大通り▪▪▪▪
首都リンカの大通りと言えば正面玄関から城までまっすぐ伸びる道のことを首都に住む人ならみんな言うだろう。本当に広い。馬車が10台くらいの横にならんでもまだまだ通れるくらい広い。
この大通りではいつでも出店を開くことができる。なので毎日結構な数の出店が出て、多くのひとで賑わっている。
俺も今日は店を出そうと決めていたので適当に空いている場所を見つけて、アイテムBOXから売るものをどんどん出していった。
俺は一人で旅をして、いろんなところを訪ねてる。
そこで特産などを買い集めて、別のところで売っている。
アイテムBOXに入れると時間が進まないため、移動中にダメになるなんてことはない。
とても便利だ。
今日は各地で集めた薬草を中心に売るつもりだ。
「こんにちはー。もういらしたんですね?それじゃあ、鹿の燻製と魚の干物を5つ程いただくわね。」
お店の前でそう言ったのはここで商売を初めて200年くらい前から通ってくれるエルフのお姉さんだ。
「こんにちは。今回はちょっと行きたい場所が見つからなかったのでね。すぐ戻ってきました。
それと燻製と干物だね。ちょっとお待ちを」
俺はアイテムBOXからそれらを取り出した。
「あら、今回も香炭を使って作ったのですか? う〜ん、やっぱりいい匂い。」
「ですよね。やはり我々エルフには香炭が一番ですよね。」
香炭
エルフに代々続く炭。ほんのりと香ばしい匂いがする。
エルフは伝統として親が生まれた子供に香炭を持たせる。
香炭は子供の成長とともに、それぞれ個々の香りを持つようになる。
エルフはその自分の香炭の匂いが非常に大好き。命の次に大切なほど。
それと何故かオリジナルの香炭の匂いも本能でわかる。その匂いも好き。
エルフのお姉さんに燻製と干物を渡しながら聞いてみた。
「今回はちょっと薬草を売っているんですよ。いかがですか?」
「薬草ね〜。薬じゃないけど、香炭はあるかしら。まだだと思うんだけど子供が産まれた時にね。香炭をあげないといけないじゃない。」
確かに必要だなぁ。だけど、
「香炭はあるにはあるんですけど、今渡しちゃうと変な匂い付きません?」
「そうなのよね。どうしようかしら。今から里に戻っても間に合わないと思うのよね。」
エルフの里はここから急いで行っても50年はかかるだろう。
「お腹の中にもういるのですか。なら、その年にまたここに戻りますよ。いつ頃生まれるかわかりますか?」
「ほんと?嬉しいけど大丈夫?わざわざ旅を中断させてしまうけど。」
「それくらい大丈夫です。新たな命には世界樹の加護を分け与えてもらいましょう。」
「ありがたいわ。たしか、12、3年で生まれるとお医者様は言っていたわ。」
「そうですか。そこまで急ではないのですね。では10年後ほどにまたきます。」
ありがとうございます、と言ってお姉さんは去っていった。それにしてもエルフのお姉さんは美人さんだな。庶民的な服を来ているのにあの人が着ると別もんだな。そこはかとなく溢れる気品も好きだ。
「一年ぶりだな、あんちゃん。今年も来てくれたのか。」
そう言って髭面のおじさんがやってきた。去年店を出した時に来てくれた人の一人だ。
おっさんの名はガルバン、S等級の冒険者らしい。
「あれ、去年は肉売ってたのに、今年は薬草なのか?俺ぁ肉が欲しかったのに。」
「肉もあるぞ。店に出してないだけだ。言えば出せる。」
「あーそうだった。お前さんアイテムBOX持ちだったか。忘れてた。ガッハッハ」
おっさんは去年と同じでピッグボアを頼んだ。
ピッグボア
豚のような猪。 猪のような豚。
肉は分厚く切って焼く、ステーキが一番。とってもジューシー
性格がわりと荒いことと、体がそこそこ大きいこと、そして寒いところにしか住めない
そのため、家畜として飼われていない。
「後これは薬草か。そうだな、このフェリータを少しもらおうか。」
「どっか、怪我でもしたのか?」
「いや、もしもに備えてな。日持ちもするしな。」
金をもらい、商品を渡した。
手 でかいな。
フェリータ
薬草。
擦り傷などの小さい怪我にはフェリータを絞ると出てくる汁を浸すだけで十分
ほかの薬と混ぜることでさらに効果を上昇できる。
「あっ、そういえばマスじぃから連絡があったんだよ。
なんでも神獣のアジ・ダハーカが飛んだのを見たっていう情報が出たんだ。首が3つだったし間違いないとのことだ。
だけどあの龍は基本巣から離れないはずだ。何かあったのかもな。」
アジ・ダハーカが飛んだか。
後で話を聞きに行くか。
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