海の街 キューストン-1-
▪️▪️▪️海の街 キューストン 検査場にて▪️▪️▪️
「なかなかの人だな、相棒。夜までに入れるかな?」
「ブルルル(ほんとですね。待っている間に草を食べに行けたらマシなのに)」
「僕もそう思うよ。」
前に続く何人もの行列を見ていると憂鬱になりそうだ。
後ろに荷台を引っ張っているドナドナも嫌そうな顔をしていた。
海の街 キューストンは名前の通り海によって栄えた街だ。
昔海から帰ってきた漁師の溜まり場だった所が他の国からの貿易港として栄えたと言われている。
海外の珍しいものを国で売り、大いに栄えていた。
しかし、健全な取引の裏側では国に報告していない物を買ったり、禁止されているものを買ったりする人が出てきた。
それを重く見た領主が違法な品物にたいする取締りを強化すると共に、キューストンに来るもの、去るものの検問の調査が始まった。
「キューストンの検問はめちゃくちゃ厳しいらしいしな。しかも鑑定石まであるらしい。どのグレードなのか気になるが。」
鑑定石
神に授けられた物の一つ。 神の力の残滓が残っている。
鑑定石に手をかざすことで、名前や年齢などがわかる。
グレードによって細かいところまで教えてくれるものもある
「次、こっちこい」
随分と待ったあとついに僕たちの番になった。
「この石に手をかざしてくれ」
言われた通り鑑定石に手をかざした。
意外と大きな石だな。俺より高い。
「名前はアストラ=ズルヒィカールか。生まれはナーガールジュナ?聞いたことないな。お前知ってるか?」
「知らないですよ。そもそもそんなところ一度も聞いたことないっす。」
「だよなぁ。それ以外は怪しいところがないのだが。どうしたらものか。」
どうやらナーガールジュナを知らないようだ。
「ナーガールジュナは太古から続くエルフの里の名前ですよ。ほら、僕の耳を見てください。」
そう言って自慢の耳を見せた。
どの都市にも一冊くらいならナーガールジュナの本があると思うけど今から探すのは大変だろう。
「ちょっとこれを読んでください」
そう言って一枚の紙を渡した。題名は『伝説のエルフの里 ナーガールジュナの存在に関する記述』
「これは!!帝立調査団の印ではないか!!」
帝立調査団は帝国が作った調査団みたいなものだ。
帝国の名を語っているのでかなり信頼されている。
その調査団の印がついているので、帝国が存在を認めたようなものだ。
「時間を取らせてしまいすまなかった。あそこから出てくれ。」
荷台の検査を終えたドナドナと共に出ていった。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
「ナーガールジュナ、聞いたことないぞ」
「検査官!聞いてください!さっきの馬いろんなもの積んでましたよ!超高級肉のマラマラとか、かなーり珍しいバタフライマッシュとか!!」
「お前よく知ってるな」
「冒険者時代に結構調べてたんです。いーなー。一口食べてみたかったな〜」
▪️▪️▪️海の街 キューストン 朝市にて▪️▪️▪️
「へーーいらっしゃい、らっしゃい。新鮮なお魚いっぱいあるよぉ〜。どんどんみてけ〜」
「安いよ!安いよ!イワウツボがたったの銀二枚!!安いよ!お買い得よ〜」
「よってらっしゃい、みてらっしゃい。とーくの国から珍しい〜もんひっさげて、ファウルのお店がやってきた。」
朝からここは活気に溢れてるな。
キューストンに入れたときには日が暮れていたので俺はすぐ宿を取り、早く寝て朝市にきた。
これから自分でも捕まえてくるつもりだが、ここ付近の魚を捕まえるわけではないのでここらで補充しておこう。主に自分用に。流石に余所者の俺に大量に売ってくれる人はいない。
だからけっこういろんな店に顔を出しながらあるところに向かった。
それは、競りだ。
先に言います。今までどの街も4編とサイドストーリー1個で終わらせてたけど、崩れるかもしれない。