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62: Es fühlt sich fast wie eine Vorschau auf den Krieg an.

気合いを入れたはいいものの、初手から突破口がわからない。

攻守共にモリモリの水仙チーム。

近距離組に機械達を向けつつ、その戦闘ごと護ってる風紀委員から倒すべき。

後方にポジショニングしているのをドローン越しに確認できている。

まあ、確認するまでもなく、救助団の講義やなんやらを受けていれば遠隔守備ができる役目の人は後方に位置することなど想像に難くないけれど。


こう考えている間にも、粉粒が舞い散り、付近に明らかにK.O.を狙っているパワーの天瞳さんの魔法が降り注いでいる。

後方組にたどり着くのも一苦労。

ここは進化した力の見せ所。

とにかく、この戦場には遮蔽がない。

なので、戦場を作り替える。

戦場の設計図を片手に再び能力を発動。

一帯の空気中のマナが大量に反応してゆっくりと形を作っていく。

10メートル×30メートル規模の迷路の様な施設が突然生まれる。

規模が規模だけにマナの圧が高く、ピリッと空気が張り詰める。

そして構造物が現れて、パシュッっと圧は消える。

場のリセットを伝える合図のように。

目指したのはサバイバルゲームの戦場。

咲や楓ちゃんに協力してもらって作った設計図から生まれた。

壁の高さは2メートル程度。


「うぉい、渦井さんや、これはちょっとずるくねえだか?」


あまりの物の召喚に平津くんからとても大きな声でクレームを直接伝えられる。

と、同時に私が展開した異能由来の魔法の実現に使われたマナより濃い圧が張る。


天瞳さんの魔法が準備されている。

一気にこの構造物を壊す算段。


まあ、ここまではある種定石的な展開と言っても差し支えない。

魔法の実現にはオドという限界があるが、私の能力は物に意思を与えるために僅かな血を使う以外に限界はないに等しい。

ただ物をマナから錬成する分には、空気中のマナの分だけ猶予がある。


ということで、私も別のものを錬成しようと思う。

この大迷路の中には、一部他より防御力の高いところがある。

それが、私が今いるところ。

ここで私は生きた戦車を生み出す。

私たちが丁度、『世界の奪取と放射(ワールドスイッチング)』によって、新たな世界に踏み入れた時に、私の悪意からたまたま生まれたあの戦車のような。

今回は意図的に、的確に制御されている。

そして、より堅くより火力の高い武器を備えている。

どんなに強い魔法だろうが異能だろうが関係なく、突き破ることが出来るはずの力を持っている。

異能者、つまり、新定義の魔法使いも例外なく、抽象魔法は方法論(メソッド)として採用できる。

使いこなせるかは別として。

廉谷さん含め、この救助団に所属するほとんどの異能者は、強化度合いは別として、抽象魔法の概念を知って能力を強化できている。

いいとこどり過ぎる自分の能力は、我ながら、チート能力だなぁ、と思う。


ともかく、こうも考えている間に、天瞳さんの魔法、こちらも抽象魔法で的確な効果を持った強力な魔法で、私の迷路城を私から見て対面から崩していっている。

咲はドラゴン魔法的な表現が似合う抽象魔法を操るが、天瞳さんは一つの生物に留まらない様々な抽象魔法を操っている。

絶賛破壊中の魔法には、サメの歯のようなシルエットが掛かっている気がする。

魔物という形で生物を操る巫禾々ちゃんと、魔法という力に抽象魔法という形で生物を付与させる天瞳さんという、似ているようで全く違う能力が展開されているこの戦場を観ている分には、二次元映像作品を観ているような感覚になるだろう。


そんな話はともかく、まだこちらに届いてはいない。

戦車に備え付けた、私の血を貯める小さなタンク。

そのタンクの蓋をサッと開けて、人差し指に針をプスリとさす。

シュニーさんの神経操作の能力のおかげで、まったく痛みを感じないが、こういった自分の行動を客観的にみると自分にある種の人外味を感じさせてくれる。

3mlくらい溜まったところで、シュニーさんに指の穴の止血をお願いし、


『海璃和は私の扱いも雑だけど、海璃和自身の扱いも大分雑になったよね。もっと大事にして?』

「大丈夫、程度は弁えてる。つもり。」


軽口をたたきつつ、準備は完了。

もう、天瞳さんの抽象破壊魔法も大分近づいてきている。

さっきの咲の戦闘を見ていて思ったこと。

皆、自分の能力を完全に理解していて、この戦闘練習を本気で、且つ、楽しんで実践している。

迷いはない。

私も、例外ではない。

そして、咲の超新星爆発みたいな魔法でもこの戦場は大丈夫だった。

迷う理由もない。


戦車に指令を送る。


「電磁的マナバースト砲、発射ぁぁぁぁ!!!!」


遠距離戦でお互いの声がほとんど聞こえないのをいいことに、ちょっと気分を上げて叫んでみる。

気持ちいい。


自分で建てた迷路に半円状の窪みを作りながら、少しずつ大きくなりつつ、前進するエネルギー砲。

自分で建てたものだからか、粉末になってからすぐにエネルギー砲の方に吸収されているように見える。


すぐに、風紀委員長の防御魔法が展開される。

ドーム状の巨大な防御魔法だ。

もちろん、これも抽象魔法。

亀の甲羅のような、蟹の甲羅のような、ダイヤモンドのような、硬そうな模様が浮き上がっていて、金属光沢のようなテカリも見える、そんな、"堅いイメージ"がふんだんに詰まった、風紀委員長の渾身の防御魔法。


魔法と魔法のぶつかり合い。

音はないが、とてつもない衝撃と私のエネルギー砲から発せられる、発散された電磁エネルギーがプラズマのようになって、一帯を物理的にしびれさせている。

すぐにもう一つの巨大な構造体が。

廉谷さんが鉱物能力を発動させたらしい。

プラズマが、暗い緑色の巨大な鉱石に吸い寄せられている。

避雷針的な役割の鉱石のようだ。


と同時に、その巨大な暗緑鉱石を駆け上る巫禾々ちゃんのオオカミ。

またがっているのは、おそらく仁奈ちゃん推薦の後輩。

一瞬登ったと思ったが、すぐに駆け下りていく。

何かしたのだろうか?


この間に、魔法の衝突の決着がつく。

私のエネルギー砲は、まだ50%ほどの体積を残している。

勝ったらしい。

おそらく、風紀委員長のオドが限界を迎えたのだろう。

ノックダウンのコールが私に聞こえることはないが、おそらく、ノックダウンの判定が入っているはず。

1人撃破!

の、はず。


今度は、天瞳さんが防御魔法を展開する。

魔法の大きな鳥がエネルギー砲を丸呑みにした。

鳥のお腹が膨らんでいるので、消化をしてエネルギー砲弾を消滅させようとしているのだろう。

今がもしかして攻撃のチャンスかもしれない。


戦車に前進の指令を出す。


・・・


動かない。

ピクリとも。


もしかして、仁奈ちゃんの後輩が何かを弓矢につけて飛ばしてきたか、特製の弓矢でマナ製の物体を動かないようにしてきたかもしれない。


もしそうなら超人的だし、確かに、ふつうの弓道に求められるスキルではない。

弓版のサバゲ―でもあるのだろうか。

少なくとも上下左右に動く足場から高低差も距離もある的に的確に瞬時に矢を放つというのは弓道ではない。

これはなかなか骨が折れそう。


この隙に近接戦組も迷路の残骸を頼りに近づいて来ていると思うし、そろそろ周囲確認をしつつ近接武器を用意しないとだ。


「シュニー、近く居る?」

『すぐ近くには居ないけど、そろそろ足音とか聞こえてくるかも。反応は4人と2匹っぽい。』

「OK、聴覚の強化お願い」

『了解』


ほら。

じゃあ、苦手だけど脳筋プレーで突破してやりますか。

ここを突破すれば遠距離組をちょっとずつ痛ぶれば勝てるはず。

かかってこい!!!

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