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60: 成龍のいななき

固めスライムアームの拘束性能が思ったより高い。

逆鱗発射でも、爪でも解けない。

ただでさえ(くう)に連れ出されて不自由なのに、注ぎ足されてく水弾がどんどん大きくなるせいで自由度がさらに下がってるってて、無理過ぎる。


マジで、搦め手は面倒くさい!!

今回の作戦で、あたしは遠距離高火力の担当。

この戦闘練習だと、遠距離とはいっても実戦で置き換えたら中距離戦闘かつ、1v10。

2人は倒せたけど、まだまだ。


だからこそ、結局、火力。

火力を出すだけなら、あたしの得意なこと。


やっと5分を過ぎたくらいじゃない?

うん、限界。


(生まれろ!ノヴァ(新星)!!!)


目の前に超高熱の球体が生まれ、すぐに周辺が沸騰し始める。


自分で生んでおいてなんだけど、水の中で汗を掻いている感覚がある。

時間を待たずして、煮物になる気がする。


(護って!ヘヴィクーラーケージ(堅牢な冷却防籠)!!!)


あたしが煮物になったらもちろん意味はない。

大規模魔法を連続で発動。


高熱がスライムに伝わって藍琉ちゃんにも届いたのか、拘束が消滅する。

藍琉ちゃんがスライムから体を逃がしたということ。

そのまま、水魔法の水に戻る。


このままじゃ息が続かない。

早く爆発させてこの不自由から解放されないと。


目を瞑って。


(リリース・ザ・ノヴァ!!!!)


正面からの強い衝撃と共に背面方向に射出される感覚。

すぐに体が自由落下を始めたのを感じる。

水圧から解放された。


無事に突破できたみたい。

反撃開始!


「生まれろ!ノヴァ(新星)!!!」


再び生む。

さっきよりも断然に大きく。

あたしの体の3倍程度まで一気に大きく。

古の世界大戦で使われたっていう爆弾もびっくりな代物の完成。


「さ、咲ちゃん!?えっ?これ死なないよね!?」


真由紀ちゃんの焦りの篭った悲鳴のような声。


「真由紀!沢山ちょうだい!!」


藍琉ちゃんの頼れる力強い声。


「咲!?本気出し過ぎかも!?」


どこからか聞こえる楓の引いてるような声。


大丈夫。

周りにいる隊員たちは優秀な能力を持ってる。

博士もいるし、研究室の若き秀才もいる。

そもそもここは救助団の練習場。

詳しくは知らないけど、あたしの高火力技練習にも耐える場所。

まあ、抽象魔法がここまで極まった状態で、ほぼ全力の魔法を使ったことはないから、少し心配だったりするけど。

いけるでしょ。


だから、皆の不安にはこれで答える。


「爆ぜて!!!」


瞬間に。

広がる衝撃。

鼓膜が破れるんじゃないかって思うほどの爆音。

熱波。


悲鳴は爆音でかき消えてる。


視界には自分で爆発させた魔法の塊。


数俊経って爆発が終わり、着地。

少しずつ周りが見え始める。

ついでにゲージも解除。


前方、瑠椰組とは誰かの魔法のバリアを挟んで対面してる。

流石にK.O.判定だと思う。

残り5人。

1年の2人は茫然としてる。

雪凪ちゃんは見当たらない。


明らかに人智を超える楓の力で移動させられた。

楓曰く、アニメとかのテレポートとは原理が違うとのことだけど、テレポートそのもの。

歌凛ちゃんたちが練習開始直後からすぐにあたしの全方位に配置できたのも楓の力のはず。


すぐに振り向くと、視界には大量の水とスライムが半球状で浮いてる。

多分、衝撃を抑えるための構造。

制御が離れて滝のように地面を濡らす。


現れるは、興奮気味の真由紀ちゃんと藍琉ちゃん、そして、満足気な雪凪ちゃん。


「あぶなっ!すごい、魔法操作の繊細さって規模に寄らないんだね!雪凪ちゃん、すごいよ!!!」


と、真由紀ちゃん。


「火事場の精度、かも。」


と、雪凪ちゃん。


「え、あの高火力、受け止められたの?」


と、思わず呟くあたし。


3人と目が合う。


なんか気まずくて少し目を移動させてみると、そのずっと奥でとみーがあたしを狙ってすでに発砲してる。


「「「「あっ」」」」


当たりますは、あたしの眉間。

龍鱗がなかったらやばいところだったけど、ヒットの衝撃は大きい。

今度の練習弾には衝撃発生の魔術が付与されていたのだろう。


仰向けになり吹っ飛ばされる。

雲が多い空の中央には、かなりの高度からアニメの中の精霊族よろしく見下ろしてる楓が。

地面にたたきつけられる前に、高火力風圧でブレーキして立ち上がる。

どうせもう楓の力で再配置済みだろうから、そのまま3人が居た方向と逆を向いて、ノータイムの


「ファイヤー!!!!!!!」

「それは無理ぃ!!!ノックだよ!」

「藍琉ちゃん、ごめん!間に合わなかった!!」


藍琉ちゃんを炙る。


能力の関係で真由紀ちゃんも近くにはいたけど、とっさに水魔法で防御された。


流石に藍琉ちゃんを護るほどの瞬発力とカバー力はなかったみたい。


そのまま楓の力でどこかに再配置されたのか消える。

後は、とみー、雪凪ちゃん、真由紀ちゃん、楓の4人。




先に楓をどうにかしたいけど、多分何をしてもテレポートで逃げられるのが確実。

今回の作戦でも唯一の戦闘部隊入り非戦闘員なだけあって機動力も回避力も支援力も段違い。

人も少なくなって、一人一人に高火力を叩き混んでも楓の支援が行き届きやすいからノック判定に持っていけないと思う。

楓を優先的に攻撃しつつ、残りのメンバーの隙をついて楓に逃がされない様にするのがよさげかも。

だけど、楓があたしとの戦闘に集中させるほどの火力を出すのは難しい。

楓は今、電磁気と砂鉄でできた、流体的な実体の人外。

砂鉄を溶かすなら1200℃の熱が必要。

抽象魔法は精密な操作が必要な魔法の行使には向いてない。

「すごい熱」というイメージじゃ、1200℃を達成できない可能性が高い。

抽象魔法は概念を概念のまま"実現する"魔法みたいな感じだから、すこしでも具体的なことがあると、それはもう普通の魔法。

「砂鉄を溶かす温度」というのはイメージじゃなくなるから、抽象魔法としての実現にはならない。

普通に魔法を使うのは、もちろん、オドの疲弊が何百倍と違う。

具体的な情報があればあるほど、必要なマナは必要。

そもそもあんな高高度に魔法を射出したこと無いから、楓に脅威を感じてもらえるほどの威力が残るかわからないし。

ノヴァをした時も、焦るような感じじゃなくて、引いている感じが一番の感情のように聞こえた。

今回の練習範囲内でテレポートさせても地上メンバーを退避させられないと悟っての「本気出し過ぎかも」で、たぶん、楓自身に影響がないから、焦ってなかった。

それが上空に向けた攻撃だったら変わったのかもしれない。

でも、楓の一番つよい力のテレポートがある限り、糸口をつかむことが遠すぎる。




そんな風に、突破口を探す思考をしつつ、真由紀ちゃんの規模の大きい水魔法をよけたり、避けられなかったり、とみーと雪凪ちゃんに中距離火力を叩き込んでみたり、楓方向に熱系の魔法を打ってみたりすること15分。

戦場に変化はない。


水魔法に体力を奪われて、攻撃しても当たらない、打つ手なしの拮抗状態。

なのにこれ以上魔法を使い続けても疲れるだけだし。

精神的にもよくないと思う。

練習だし、もう、諦めてもいい?

根気を出すのなんて、ホノと対面した時だけで十分。

それ以外に使う機会なんてないんだから。

それに、6人ノックできたし、竜みたいに明らかに命を刈り取られる可能性のある状況になったわけでもない。

1人でよくやったんじゃないの?


うん、決めた。


無線に手をかけ一言。


「ギブです。」

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