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59: むっつり戦場

さあ、あたしの番ね。

演習相手は、当学年の魔法使い第四位でホノと対比となるバフ魔法の使い手である狗伊(いぬい) 粋太(すいた)君が率いる、10名の戦闘メンバーのグループ。

内、6人がクラスメイト。

さっきまで談笑していた一人で、繊細な魔法を得意とする手芸部所属の矢室(やむろ) 雪凪(せつな)ちゃん。

もうひとりの談笑相手の、糸を操る異能者で、学外バンドでドラムを務める篠村(しのむら) 歌凛(かりん)ちゃん。

ムードメーカーで水魔法の使い手であり、吹奏楽部でトロンボーン奏者を務める黄条(きじょう) 真由紀(まゆき)ちゃん。

成績オールSで学年一位の秀才である上に、スライムみたいな液体を自在に操ることが出来る異能者で、手芸部所属の灯紫川(ひしかわ) 藍琉(あいる)ちゃん。

あたしより身長が頭2つ近く高くて、体重73kg(大会で73kg級に出ていたらしい)の巨体を持っている柔道部の全国大会3位の実力者で、衝撃波を操れる異能者の、室枦(むろはし)大佑(だいすけ)くん。

化学部所属で、においなどの性質的な面を中心にガスを操る異能者の、瑠椰(るやし) 柊汰(しゅうた)くん。


あとは、射撃部の面々。

2Cで、同期の中では長物に重点を置いている とみー こと、遠野(とおの) 愛美(まなみ)ちゃん。

1Aで、ヘビーマシンガンとかいう脳筋武器を愛する1年エースの あほ こと、荒山(あらやま) 幻契(げんき)君。

1Bで、アサルトライフルでフルオート射撃しかいないという戦闘狂な一方、リコイルコントロールが高くて将来有望株である フルオートちゃん こと烈辺(つよべ) 由華(ゆか)ちゃん。

そして、意識不明の重体から復活し、宮椋博士の研究に助力できる頭脳を持ち、本人も悪魔・虫人の憑依と分霊の受動召喚により、固有の能力が開花し、完全な人外と化したという理由で奇跡の子(ミラクルヒューマン)と呼ばれていて、あたしの親友で、課外活動のE-sportsの成績を評価されて2Bに居る、 ひなぴ こと陽田(ひなた) (ふう)

ちなみに、あたしは、同期からは「むらさっきー」か「むっきー」、男子の後輩からはひねりのない「咲先」 、女子の後輩からは逆におっぱいの大きさをいじられて「メロンパイセン」、で呼ばれている。

多分男子をからかうためにそう呼んでいるんだと思う。

まったく、やめて欲しいよ。


そんなメンバーで構成される、最も近距離の攻撃をできるのが異能者の室枦君だけという、搦め手と高火力遠距離しかいないチームと戦う。

アニメ好きとしては、エッチな展開になりそうな能力を持っている女子メンが違う意味で怖かったりするけど、流石に宮椋博士がそれを狙っているとは思えない、というか思いたくない。

実際に対峙した際にそういったからめ手への対処をする可能性もなくはないけど、その際に恥ずかしがっていると死ぬぞと言いたいのかもしれない。

でも、そんなことにならないでほしい、なんて願っていたら、


「はじめ!」


と号令。


搦め手が来る前に仕掛ける!


!?


う、動けない!!


開始した瞬間からもう搦め手!

普通に考えれば、人を固定できる可能性のある能力は歌凛ちゃんの糸の力!

もしかしたら、雪凪ちゃんが何かを繊細に操っているかもしれないけど、全身が動かないから糸な気がする。


一瞬で張り巡らせたのか、始まる前からあったのか。

考え付く間もなく、レーザーサイトがあたしの体にあたる。


HMGの弾幕が来る!!


瞬時に”龍鱗(ドラゴシールド)”を全身に纏う。

ARの連射音も聞こえてくる。


ピンポン玉が当たったくらいの衝撃が体の前面に沢山ある。

さまざまな箇所に来る少し強めの衝撃はHMGの弾。

胸あたりにまとまっている衝撃はARの弾。

どちらも魔術製練習弾。

バチバチぺちぺち音が聞こえるけど、鍛えたあたしの鱗を突破される気配はない。


「流石、咲先!!練習弾とはいえ、高威力を無力化してやがる!!」


興奮してる幻契の声が響く。


クソ龍から直々に教えてもらってるし、そもそも適性が抜群みたいだからね。

当然の現実。


すぐに紫スライム液の波というまさに第二波の攻撃。

様々な物理面のデバフが狙われてる。


こういう目隠しが入る場合は、横っ腹を突かれやすい。

お互いに視覚情報が少ないはずのこのわずかな隙で拘束を解きたい。

糸の性質を検証するほどの間はないから、切断が一番早い手。


一ミリたりとも体を動かせないってことは、足が地面に固定されてて、膝より上の関節すべてがテントの要領で張り付けられてる?

どんな理由かはわからないけど、あらゆる部分が固定されてしまっているのは確実。

とりあえず、腕くらいは開放しないとイメージだけじゃ流石に攻撃を払えない。

ほぼ真っすぐ立ってたせいで、固定の体積が小さいのが厄介。

見えないほどの糸となるともしかしたら雪凪ちゃんの仕業の可能性もなきにしもあらず。

ともかく、腕に沿って輪っか状のカッターを降ろしていって切るのが良さそう。


「とったり!!」


!?

低くて野太い勝利宣言!

後ろから、室枦くんかな?。


“尻尾”!!

で、

“薙ぎ払う”!!!


「うぉ!危ない!」


っっっ!!!



・・・



後頭部に強い衝撃。











至近距離で衝撃波を入れられちゃった、やばい、意識が飛びかけた。

順序とか考えて自由になってる場合じゃない。

内から外に切る!


逆鱗(シールドバースト)”!!!

発射(ファイヤ)”!!!


「おふっ、、、、」

「「「「「「「いてぇぇぇぇぇぇ!!!」」」」」」」


室枦くんの重低音と男ギャラリーの悲鳴と共に全身を動かせるようになる。


「危なかった!手加減した!?」


言いつつ振り向くと股間を抑えてうずくまってる室枦くん。


「て、手加減、して、欲し、かった、、、」


と、少し涙を流しつつ、その巨体から出たとは思えない、か細く小さな声でつぶやきながら、大型犬みたく倒れる室枦くん。


「うぉああああああ!!!!ゴメン!!!」


とりあえず救護できるメンバーが駆け寄れるようにすぐに離れて。。。


KOしたのはよかったけど。。。

本当にごめん!!!

意識の飛ばし合いしちゃった!!

ま、まあ、室枦くんのは飛ばしちゃったんだけど。

防具付けてなかったら室枦くんの漢が死んでたかもしれない。

ほんと、、、ゴメン、、、、


でも、中断の声はない。


束の間。


視界が紫色に染まる。


スライム波に飲まれた。


でもすぐに波が引く。

藍琉ちゃんの異能は、物理的に液体に触れ続けていないといけなくて、且つ、素材として一般的な液体が必要。

そして、スライムは藍琉ちゃんの制御を離れると、スライム生成に使った液体に戻る。

今回は真由紀ちゃんの水魔法で生成された水を使っているはず。

紫スライムにまみれていた体は、予想通り水浸しの体になった。


一瞬の間。


あたしから前方には射撃部の後輩2人と雪凪ちゃんと瑠椰くん。

他の5人は見えない。


前の4人からは、龍鱗が解除されたびしょ濡れのあたしと、その奥で股間を抑えて気絶していて同じくびしょ濡れになっている室枦くんが映っているはず。


もう一度、静寂が訪れる。


たぶん、状況把握と共有、そして指示待ちの時間。


もちろん、あたしはその隙に、大得意の大規模攻撃魔法を仕掛ける!!!


「起きろ!!!テラエレクトロ!!!」


上空に向けて、巨大な電気玉を発射!


銃器・水魔法・気体操作と電磁的な攻撃が有効そうな属性が多いと思って撃ってみる。


「痛ってぇ!!」「「痛っ!!」」「おうぉおおお、ちょちょちょちょちょ!!」


思った通り銃器に向けて小さな雷が落ちてく。

銃器組から得物を落とせた。

真由紀ちゃんの慌てた声も聞こえたから、何かしらの効果はあったみたい。

今ので真由紀ちゃんととみーが背後にいるのが確定。

唯一マナ検知できてる点とも一致してる。


出来れば高火力遠距離の背後組を先に倒したいけど、一番厄介そうな歌凛ちゃん、藍琉ちゃん、楓の位置が分からない。

楓は完全な人外になっちゃったから一番位置が掴めない。

異能由来の魔法はこの世界のマナ検知に引っかからないから位置把握が難しいのがあたしのソロの欠点。

楓はこの世界由来らしいけど、分からない。

前に居る中距離火力組も倒せそうな状況ではある。

でもどっちも重要な火力。

守備連携は硬めなはず。


そして前後に居て左右に居ないわけがない。

多分瑠椰くんの力で気体の性質が変わって見えなくなっているとかそんな感じ。

主力が安定してない間に、片面くらいは突破したい。

スライム波による壁を横から見ることでいろんなサポートをできる人が居るんだと思う。

多分歌凛ちゃんと藍琉ちゃん。


どっちも火力タイプじゃないから突破しやすいほうがいい。

けどどっちにどっちが居るかなんてあたしの脳みそで考察できるほど賢くはない。

直感で。

左。


「エアプレス!!」


どちらにも通用しそうで気体を押しのけられる風系の魔法を打ちつつ突進。

霧が晴れると同時に姿が見えたのは。


「なんでウチなん!?」


歌凛ちゃんを引いたみたい。

ここは大会とかでのあたしの戦闘経験値が活きたかもしれない。

(ショートソード)”!


「致死判定貰ったんだが!?」


と歌凛ちゃんのコール。


「もらい!!」

「サキっち怖い!!」


思わず叫ぶ。

2人目突破。


周りを見渡すけど何も見えない。

状況リセットのためらしき瑠椰ガスが充満してる。

でも瑠椰ガスは制御可能体積が決まってたはず。

速く移動して瑠椰くんの制御に追いつかれないようにして状況を把握するのが色々と手っ取り早い。


痛っ!!!!


横っ腹(左)に強い衝撃。


龍鱗を張り直し忘れてたからフルダメージ。


これはとみーの魔術製練習スナイパー弾。

HMG、ARが火力重視の魔術製弾であるのに対し、SRは元から火力があるし精密に打てるということで妨害系魔術が付与されてる。

撃たれたのは麻痺系。

もしかしたらさっきのテラエレクトロの残滓かもしれないけど。

その場で左向きで倒れこむ。


「咲君、どうする?まだ5分も経ってないが。」


博士から無線。


致命的な状況じゃないから、まだ猶予を持たせてくれているみたい。


なら、当然、答えは一つ。


「まだやらせてください。」


返事を待たないで、


「キュア」


練習弾の効果だから、あたしくらいの実力でも解除できる。

すぐに龍鱗も纏いなおす。


でもこの隙は大きい。

さっきの波より固めのスライム製の腕でつままれて空中に連れ去られる。

水弾と3種類の銃弾の雨。

多分このままだと終了の合図をだされちゃう。

やっぱり持久性はあたしにはないね。

高火力で一気にやらなきゃ。

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