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56: 夢遊する翼羊

あんまり参考にならないなぁ。

皆さん、抽象魔法に頼り切りすぎる。

確かに抽象魔法は強いけど、立ち回りも考えずに正面切った戦い方はさすがにないよ。

あれじゃあ、ホノの力を十全に整えた悪魔にはきっと勝てない。

皆さんの得意な魔法を使った方がまだいい気がする。

練習した成果を量りたいのかもだけど、とりあえず使うっていうのは違う。


それとも、抽象魔法として発動させるための練習が足りないだけなのかな。

宮椋博士がメンバーとしてふさわしいと思って選出してるはずだから、そういう素質がない人はいないと思うけど、棒立ちで魔法に集中してるのはさすがに駄目だね。

体がちゃんと動いてるのは、異能使いの人か、魔法使いじゃない人(ノーマジ)

そういう人が体動いてなかったら終わりなんだけど。


大学生って時間たくさんあるってイメージだけど、そんなことないのかな。

サボってる?

いやいや、ホノの魔法を見たことある人なら、そんなことしないんだよなぁ。

ホノは攻撃系の魔法を人前で使わないけど、どんな魔法を使うにしろマナが一時的に放出されるわけで、そしてその時のマナの圧で気絶する人が出るくらいの規模があるのを目の当たりにするはず。

それが明らかに敵対意識のある悪魔に使われちゃうんだから、必然的にヤバいって思うハズなんだよ。


うーん、それとも、抽象魔法って皆さんにはめっちゃ難しかったりする?

あたしもコツを掴むのは大変だったけど、練習してたら普通の魔法を使うのと同じくらいで使えるようになったけどなぁ。


あ、ホノは攻撃魔法を使えないって思ってる?

いや、それはないか。

このホノ救助団としての活動もそれなりの期間になるし、その間、ホノの力について宮椋博士はもちろん、あたし・竜・ミリアによる講義をしているし。

でも実際に魔法を見ないことには危機感が湧かないか。


「どう?咲。なにか参考になりそうなことあった?」

「あ、ミリア。お疲れ~。特にないんだよね。ミリアも気づいてると思うけど、動きが、ねぇ。」

「まあ、そこは、咲の抽象魔法に対する適性が高すぎるだけじゃない?宮椋研究室の人だって、咲ほど熟練度ないし。そもそも魔法を攻撃用途で日常使いしたり修行できる環境って、現代にはないと思うし。あとは、使い魔の性質とか?ほら、咲の使い魔ってドラゴンじゃん?ほかの人で、ドラゴンの使い魔の人見たことないから、それが原因かもよ??」

「なるほどね、それはありそう。」


この救助団に所属してるA組のメンバーだけでも使い魔多彩だもんね。

蓮村委員長はアヒルの使い魔のアリス、真由紀ちゃんはマンボウの使い魔のピンナ、雪凪ちゃんはネズミの使い魔のソルディダ、千花ちゃんはクジャクの使い魔のフォルマ。


宮椋研究室の関係者の使い魔なら、篝屋教授のフクロウの使い魔のトルレア、矢室教授のキメラの使い魔のチェイオス、十弩先輩のカモノハシの使い魔のディストート、智花先輩のジャガーの使い魔のエイキュート、ほかの先輩と使い魔の組み合わせは忘れちゃったけど、ラフレシアの使い魔とか、ケルベロスの使い魔とか、マンドラゴラの使い魔とか、キツツキの使い魔とか。


とにかく使い魔がかぶっている例は確かに見たことがない。

それこそ、ホノと宮椋博士くらい。

血縁があれば一緒かと言われれば、あたしの家族がそれを否定する。

ママはワニ、パパはイルカ、あたしはドラゴン。


そういえば、想像上の生き物の使い魔って少ないような?

そういうことなのかな。


「よく考えたら、これ初の実戦演習だもんね。そもそも実戦経験してる人の方が少ないって考えたら、博士にペア組まされてる先輩方は、集団側の先輩方より繊細に戦えてるかもね。」

「どうなんだろうね~。まずいろんな前提がおかしいからね。咲とか仄葉は剣とか杖を召喚して使って活用する力があるよね。剣を使える魔法使いだから、咲は動ける魔法使いなんだよ。魔法しか使えなかったら、動く必要ないからね。後衛になるわけだし。そもそも、召喚魔法って現代でちゃんと使える人の方が少ないからね。」

「確かに!流石、ミリア!あったまイイ!!じゃあ、むしろあたしは誰も参考にしない方がいいんだね。」


・・・


「ん?召喚?あたし、そんなことできたっけ。」

「え?今年の“魔法と技術の(マジック テクニカル)混合美術発表会(アート コンテスト)”とか、私の異能が暴走して意思のある戦車が出てきちゃって戦わなきゃならなくなったときとか、悪魔に取りつかれた直後の仄葉と戦ったときとか召喚してたじゃん。陽剣だっけ?」


うーん、うーん、、、

〔気候神セクシウル〕

!?


なんの声!?


「イ゛ッ!?!?」

「どうしたの!?咲!?」

「急に、頭痛が、、、ちょっと、保健室、行って来る、、」

「付き添わなくて大丈夫?」

『そんな時こそ、シュニーさんにお任せ!』

「あ、シュニー、居たの?」

『ずっと一緒にいるってば!!』


ちょっと、その声、うるさくて頭に響くからやめてほしい。


「ごめんて!咲の頭痛、どうにかできそう?」

『そのための私でしょ!ちょっと待って。じゃあ、咲ちゃん、目を瞑って、右手を心臓の上にして、あ、海璃和、椅子作って?』

「ほい」

『よし、で、咲ちゃんはその椅子に座ろっか。』


・・・


『よし。さらに、前かがみになって?』


・・・


『そのまま、じっとしててね。』


辛いよ、この姿勢。

さっきの変な声、何だったんだろう。

誰?気候神セクシウルって。そんな神の使い魔、覚えてる限り1体たりとも居ないんだけど。



『ちょっと、咲ちゃん、頭痛いんでしょ?無にしないと、神経疲れちゃうから。あと脳波がじゃまで精密検査できないから、羊でも数えてて!!!』


・・・はい。

羊が1匹、羊が2匹、羊が3匹、羊が4匹、羊が5匹、羊が6匹、羊が7匹、羊が8匹、羊が9匹、羊が10匹、羊が11匹、羊が12匹、羊が13匹、羊が14匹、羊が15匹、羊が16匹、羊が17匹、羊が18匹、羊が19匹、羊が20匹、羊が21匹、羊が22匹、羊が23匹、羊が


『咲ちゃん、もういいよ。』


やっと。

うーん、ちょっと辛さ消えたかも。。。


「それで?シュニー、咲は大丈夫そう?」

『うん、応急処置は。でも、特に神経系に異常は見られないんだよね。疲れはなさそうだし、神経系を検査した感じ緊張もないからそれによる血行の悪化も違うし、筋肉収縮とかもなさそう。天気の変化もまあ、見ての通り晴れてはいるから違う。あ、咲のことだから空腹でアドレナリンめっちゃ分泌されて脳の血管が膨張した?』

「うーん、特におなかは空いてないけど。」


やっぱり、さっきの変な声が原因?

さっきのミリアの剣の召喚?の話とか、よく覚えてないし。

なんか変な感じ。

無いものを触ろうとしてるような変な感触。



「はいそこまで!皆、いったん休憩だ。次は、第3陣、高校3年の2対12と竜君対10だから、該当者は準備しておくように。」


あ、終わってる。

竜の出番だ。

大丈夫かな。。。。


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