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4: 洞窟奥のパンドラの箱

5/10 色々訂正しました。


8/25 サブタイトル付けました。

あたしは紫岸咲。


昨日、優勝の余韻に浸ってる仄葉にかまってほしくてつい、呼んじゃいけないあだ名で呼んじゃった。


なんでか知らないけど、かまってほしくてあんなこと言っちゃった。


どれだけ辛いことがあったか間近で見てきたのに、なんか、つい言っちゃった。



今ちょうど、シェアハウスに帰ってきたところ。


「あーもうっ!ホント疲れた!」


そう叫ぶのは、あたしの親友、宮椋仄葉。


「本当、ごめん(*≧Δ≦)」


胸を寄せて抱き着いて泣き顔で可愛く謝れば、


「むぅ~っ、かわいいから許す!!あと、寝るね!ごはんできたら起こして~」


「分かった!」


ほのは許してくれる。優しすぎる。


でも、その寛容さがほのの最大の魅力。


一人っ子のあたしにとっては姉みたいな存在。


我儘な私を受け止め、固すぎた竜を柔らかくし、おてんば海璃和を手なづけるあたし達のお姉ちゃん。


そう。


あたし達がシェアハウスしているのは、あたし達、お姉ちゃんも含めたあたし達が難あり少女だったから。


お互いの状態を見れば勝手に更生するだろうと、あたし達の親が、勝手に合意した結果、こうなっている。


更生されたかどうかは分からないけど、確かに、シェアハウスする前よりかは、少なくとも私は楽しい。


それにしても、いくら忙しいとはいえ、これはひどいと思う。


でも、お姉ちゃんだけは親を恨んでない。


ファザコンである。


 着替えを終えてリビングに戻るとちょうど、竜と海璃和が夕飯をどうするか話そうとしている。


普段は、ほのが作ってる。


「ホノは疲れてるので、私が夕食を作りマース」


「いや、ダメよ。私がやる。あの悪夢は二度と経験したくないわ」


「あっ、悪夢とはなんデスカー!!ミリア、頑張ったノニ!」


んー、確かにあの時はえぐかった。


でも、私も和食はやだなー。


「ほのが疲れてるんだから、今日は弁当がいい!竜、さっさとコンビニでお弁当買ってきなさい。あっ、私は唐揚げ弁当3つね」


「なんで上から目線なの。私が健康的な食事を作るわ。」


「地味な和食はいやデース。私も咲に賛成デース!私は、ピザがいいデース」


「ほらぁ、ミリアもコンビニがいいって」


「コーンビニ!コーンビニ!コーンビニ!」


「文句言わないの。あと、仄葉寝てるから静かにして」


「でも、和食やだ。」


「「コーンビニ!コーンビニ!コーンビニ!」」


「うるさいって言ってるでしょ!」


「じゃあ、コンビニ」


「コンビニがイイデス!」


「「コーンビニ!コーンビニ!コーンビニ!」」 


「ああもう!後で仄葉に怒られても知らないわよ!」


「ヤッター!」


「和食回避!!」


 ダァン!!!


「ひぃっ」


「うるさい!竜、早く作って。おなか空いた」


 部屋に帰って寝たはずのほのが、ドアをぶち壊しリビングに入ってきた。


泥のような黒いオーラを纏ってて、あたしと海璃和の喉元に何か鋭利なものを突き付けながら、ものすごい剣幕で竜に命令する。


「う、うん。仄葉は寝てていいわよ。後で起こすから」


「ありがと、竜。次っ、うるさくしたら二人ともブラックボックスに閉じ込めるからね」


えっ、あんなの使っちゃったら、ほののオドが壊れちゃう!!

  

「今!そんな大技使ったら死n」んじゃうよ!


と言い切る前に


「うるさい!!」


ほのは武器みたいな何かをさらに押し付けながら叫んだ。


「「「はい!」」」


あたし達はは思わず叫ぶような返事をする。


ダンッダンッダンッダン、、、バァン!


しっ、死ぬかと思った。。。


…………


「じっ、じゃあ、、、作るからね」


「「はい」」







 竜が夕飯を作ってくれてる間に、あたしと海璃和はほのの壊した物を片付けることにした。


ほののさっきのあれは、いわば隠れた人格である。


魔法使いである故の代償と言うべきか、大体、どの魔法使いも何らかの欠点を持っている。



 あたしとほの、そして海璃和は魔法を使える。


魔法使いは自分の魂の一部のオドと呼ばれる器官を使って魔法を使うことが出来る。


イメージなり詠唱なりを行うと、使い魔を通し、より上位の存在にアクセス出来る。


そうするとその上位の存在によって、その魔法を実現させるのに必要な分だけの空気中の魔素(マナ)が自分の方に集まってくる。


それをオドに通して魔力に変換する。


その魔力を放出したりすることで、魔法が発動する。



 魔法は、攻撃・防御・補助に大別できる。


攻撃・防御に関しては大体イメージだけでどうにかなる。


あたしの得意な分野。


まあ、得意分野って言っても、ただイメージしてるだけなんだけとね。



 でも、補助はそれだけだと機能しないことの方が多い。


味方にバフを掛けたり、回復したり、敵に幻術を掛けたり、物に力を付与したりするのが補助の出来ることの一つ。


敵の誰にどんな幻術を掛けるとか、味方の誰のどの部位が損傷しててどんな風に治せばいいか。


要は繊細な技術が必要なの。


集中力も半端なく必要。


ほのはどれも得意分野だけど、補助魔法はほのの十八番。


巷では、世界最高クラスだと言われている。



 そして、大事なことがもう一つ。


そのオドという器官は魔素(マナ)を通すたびに、霊的にマイナスな状態になり、精神的に参った状態を引き起こしやすくなる。


心理的に傷ついたり、感情が激しく上下したり、疲れたりしてもオドは汚れる。


結果、いろんな制御が効かなくなって、暴走したり感情が制御出来なくなったりする。


睡眠を取ったり、食事をしたり、とかのリラックスで少しずつ回復する。


 つまり、さっきのほのはオドのほとんどがマイナスな状態で、その結果、抑えられない感情が魔法になって爆発したっていう感じ。


ほの、結構疲れてたのかな。


悪いことしちゃった。


あたしの場合、なにがどうなるかは知らない。


大体、その副作用みたいなのが出てる間の記憶はおぼろげ。


「サキー、こっちは大体終わりマシター」


「うん、こっちも大体終わったよ。ちょっとほのの様子、見てくるね」


「ハーイ」







 部屋のドアも半壊していた。


物を修理するくらいの補助魔法はあたしでも使える。


ちゃっちゃと直して入ると、ベッドでほのがうなされていた。


ホントに、ごめんね


 ほのの勉強椅子をずらして、ベッドの横に座る。


そして、ほのの手をあたしの少し小さな手で包む。


心なしか、息が整い落ち着いた表情になった気がする。


悪い夢でも見ているのか、目尻に涙が浮いている。


そっと拭いて、布団を掛け直してあげた。


「さき、、たすけて、、、」


!!…寝言か。びっくりした。


でも、本当に辛い夢を見てるみたい。


ご飯が出来るまでそばに居てあげよう。









 ぶぉー


エアコンの稼働音がうるさく響く。


ほのはネコの着ぐるみみたいなパジャマを着て、魚の抱き枕を抱いて寝ている。


とても可愛い。


この写真撮って学校の男子に売りつけたら高値で売れそう。


そのあまりの可愛さに、ほっぺにキスをしようとしたとき、急にほのが起きて


 ゴチン


「「いった~~っ!!!」」


……


「いてて、おはよう、ほの。元気になった?」


「うっ、うん。元気になったよ。おはよう」

  

「じゃあ、リビング行こっか。」







 2人でリビングに行くと、竜が盛り付けをしてるところだった。


「あっ、仄葉、おはよう。具合はどう?」


「うん!元気もりもりだよ。でもお腹はペコペコ」


「ホノ~!良かったデス!」


「海璃和!飛びつかないで、重い!」


「ハァイ」


「それじゃ、ご飯にするわよ」


 今日の夕飯は、肉じゃが、ししゃもの塩焼き、ご飯に味噌汁、お漬物。竜の料理にしては、豪華な方だ。


「「「頂きます」」」


「どうぞ」


まずは、肉じゃがから。


「ん~、ウマい!!」


出汁とじゃがいも、人参、玉ねぎの甘みと旨みが肉に染みこんでて、噛む度に甘い肉汁が口の中に溢れる。

  

「「美味しい!」」

  

「ふふっ、良かったわ。ネットのレシピ見ただけなんだけどね」


ご飯がススム!!


あっという間にお茶碗が空になる。


「ご飯おかわりしよっ」


「早っ!」


「咲、そんなに急いで食べなくても誰も取らないわよ」


「だって、美味しいもん!」


ししゃもの塩焼きにかぶりつく。こっちは普通ね。


でも、やっぱりご飯は進む。


「もう一回っ、おっかわりっ」


「ほんと、咲はよく食べるわね」





 そんな感じでご飯も終わり、皆思い思いに時間を過ごしていた。


あたしは、時間を見計らって、ほのの部屋に行った。


 コンコン


「ほの、ちょっといい?」


 ガチャッ


「いいよ、入って」





「じゃあ、ほの。改めて謝らせて。昨日はホントにゴメン」


「うん。でも、私もゴメン。普段ならあの程度の感情の落差であんな風にならないのに、なんか抑えられなかった」


「えっ!?ほのも!?」


「ふぇっ!?う、うん。どうしたの?」


「あたしも、なんか、ふっ、て言っちゃったってゆうか。今考えたら、なんか、言わされたみたいな感覚だったかも。」


「流石に、それはないでしょ、魔法使いペナでしょ」


「…そうだよね!そんなわけないよね!」


でも、なんか嫌な胸騒ぎがした。なんだか落ち着かなかった。


次話は少しだけ時間を遡ります

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