48: 夜の日食
お久しぶりです。
展開に悩んでたと言い訳したいですが、サボってただけです。(展開に悩みもしましたが。)
「どうしよ。私、日本に帰りたくなくなってきた。」
≪ええええぇえええええぇえええええええええぇぇええええええええぇぇぇぇぇ≫
「う、うるさい!」
≪ゴメス、ゴメス。で、どうして?やっぱり、神様の話聞いたから?≫
「うん。」
≪そうだよね。あの話、色々と衝撃的だったもんね。まさか、仄葉ちゃんが私たち悪魔を生み出した張本人だったなんて思いもしなかったよ!理由には同情もするけど。≫
本当に衝撃的だった。
チロちゅんから告げられた話は要約するとこう。
この世界のパラレルワールドの私がなんやかんやで悪魔を生み出す能力を手に入れた。
それで、『世界の奪取と放射』とかいう法則のせいで、その世界がこの世界と合体。
『魔法の収容と変質』とかいう法則のせいで、その世界の私の力とか運命の一部がこの世界の私の力とか運命に合体。
その結果、私は悪魔の親的な立ち位置になった。
だから、最初たくさんの悪魔に乗っ取られることが出来た。
だから、強力な力を使わないと乗っ取れなかった。
だから、悪魔達がどんなに頑張っても私から制御権を完全に奪取できなかった。
だから、頭に角が、背中に翼が、尻に尻尾が具現した。
だから、悪魔の生き方を変えることが出来た。
それのおかげで、チロちゅんたちの仕事が減ったとかで感謝された。
つまるところ、私が悪魔の元凶といって差し支えないと。
まあ、正確には………
「私じゃないし!パラレルワールドの私だし!
もっと言えば、そのパラレルワールドの同級生がパラレルワールドの私を虐め過ぎたのが原因だし!!!
それが無かったら、私だって以津真天たちだって、こんな、こんな大変な事にはなってないんだよ~~!!!」
≪分かった!分かったから落ち着いて!≫
「あ“~~~~!!!」
≪はいはい、かわいくないかわいくない。というか、今更なんだけどさ、なんで急に神様と喋ろうと思ったの?≫
「いや、うん、なんでだろうね。
多分だけど、私が喋りたくなったんじゃなくて、チロちゅんが私になにか仕掛けたんだと思うんだ。
以津真天たちに乗っ取られる前にも似たようなことがあってね、その時はかなり雑だったんだけど、とにかく、私の意思じゃない気がする。」
≪そうだとすると、逆になんで神様が仄葉ちゃんと喋ろうと思ったかが気になるところだよね!≫
「そうね。それにタイミングも気になる。
日本に帰ろうって時に、『お前は悪魔の元凶だ』みたいなこと言われて帰りたいと思う!?
日本の皆がそのことを知らなくても私が嫌だよ。」
………
「あ、帰らせたくないとか?」
≪あー、それは盲点。でもなんでよ。≫
「んー、私が帰ると私が嫌な目に遭うから?」
≪それは…、あはっ、ちょっと自分を買いかぶりすぎなんじゃない?≫
「なにそれ、私がチロちゅんの秘蔵っ子みたいな言い方。別にそんな意味で言ってないんだけど。」
≪はいー、それも自分を買いかぶってるー。おつおつー、自分可愛いおつー。≫
「はぁ!?えと、んと、そんなことっ、思ってないしっ!」
≪はいー、語彙力ないー。あ、一個思い出したんだけど、神様さ、降りてきた時さ、『やっと繋がった』みたいな事言ってなかった?≫
「ちょ、ちょっ、はぁ。えっと、そんなこと言ってたっけ。とすると、やっぱり私がチロちゅんと喋りたくなったのかな。
まあ、それはさておき、帰りたくなくなった理由はもう一個あるよ。」
≪なに。≫
「体の事。」
≪あー。≫
「あー、て。分かんないかな~、ただでさえ人と全然違うのに、金輪際消える可能性が皆無になった角と翼と尻尾というオプションついちゃって、そんなんで日本に帰ったところででよ。何が起こると思う?」
≪闘争。≫
「分かってるんじゃん。なにそのうっすい反応。」
≪いやぁ、だって、ねぇ、今更って言うかなんというか。気絶前の話とか体の事とか話してこの島の探検した後、日本のだいたいの位置を頑張って目星付けてたから、戦う覚悟出来てんのかなって思ってたんだよ。それがいざ出発しようかってなった時に、ちょろっとディースクルド神の話ちょっと聞いただけでこれだからどうしたもんかなって思ってね。
私としてはどっちでもいいんだよ?私は仄葉ちゃんが精一杯人間らしく生きられるようにフォローするだけだから。仄葉ちゃんが家族の下に戻って幸せに暮らすのもいいと思うし、誰も傷つけないために永久に一人、まあ厳密には二人だけど、孤独(笑)な道を進むのもいいとは思ってる。
私的には家族の下に戻るために闘って戦って相手を無力化して話してハッピーになって欲しい。≫
っ!
………
そんなに、考えてくれてたんだ。
≪別に仄葉ちゃんが思ってるほど考えてはないよ。贖罪的な。自己満足的な面が強いと思うけど。≫
「それでも。嬉しい。最後に残ったのが以津真天でよかった。他の2人だったらこんな前向きに生きれなかったかも。」
≪こ、こっちこそ、ありがと。≫
こんなに身近、というよりは身の中だけど、とにかく私を心配してくれて、私の幸せを願ってくれる人が居る。
だからといって、本当に帰っていいのか。
このまま帰ったら、絶対に面倒な事になる。
絶対に傷つけ合わない訳がない。
物理も精神も。
でも、咲達との楽しい日常に戻りたい気持ちも確かにある。
私は、なんでためらっているんだろう。
戦うのが面倒だから?
戦うことに自信が無いから?
戦って皆を傷つけるのが嫌だから?
日本の今の状況を何も分かってないから?
負けたら死ぬから?
負けたら、私だけじゃなくて以津真天だって死ぬから?
仮に勝てたとして、私は死なない。
どう頑張っても、結局時間が私達を離れ離れにする。
そのことが嫌だから?
たぶん、全部。
でも、私だってあと少し幸せになりたい!
私、頑張った。
ずっと頑張った。
小学生の時も中学生の時もいじめとかに沢山耐えてきたし我慢もした。
咲達と暮らし始めてからも出来る限り皆が幸せであれる様に頑張った。
咲と竜が我儘言って血闘するたびに、全力で治療した。
以津真天たちに乗っ取られた後、咲達と戦う事になった時も全力で阻んだ。
悪魔が悪いことをする理由を無くしたのも私。
スカイツリーは倒させちゃったけど。
私だって我儘言いたい。
みんなと幸せになりたい。
私の我儘、これだけだよ?
たったこれだけでいい。
方法は野蛮になる可能性が高い。
でも、出来る限りそういう事にならないようにも気を付ける。
いままで我慢してきたから赦して欲しい。
人生で1回の大きな我儘。
よし、私は帰って咲達と幸せになって、以津真天とももっと仲良くなる!
やる気出すために、帰ったら何するか考えるか。
うーん、
≪ちょ、ちょっと待った!≫
「何?せっかくやる気出てきたのに。」
≪いや!あの、ね!帰る気になってくれたのは嬉しいし、私ともっと仲良くなろうとしてくれてその言葉だけでとっても幸せなんだけど、帰ったら何するかは帰ってから決めよ?今決めちゃうと死亡フラグ立っちゃう気がする!≫
「た、たしかに!うん。それに、色々と気が早すぎたよね。まだ、なにも進んでないのに、全部うまくいく前提で考えちゃってるし。夢見る夢子な私が出ちゃってたね。」
パァン!
ひとつ、自分の頬を叩く。
「じゃ、気を取り直して最終準備に入りますか。」
≪すぐには出発しないんだ?≫
「流石にね。今焦ったって最早遅い。最終準備とは言ったけど、準備時間は堅実に。1週間はここで作業するよ。」




