37: 黒熱マグマの突発性火山
≪本当にこんなことが出来ちゃうなんて何者なの!?仄葉ちゃんはっ!?≫
何者なんだろうね。本当に。
「いや~~、なんか出来ちゃったね。」
≪あれ、あんまり嬉しくない感じ?≫
そんなことはないけど、だって、ねえ。
「出来ちゃっていいことじゃない気がして、素直に喜べないって言うか。」
≪なるほどねえ。確かに、他の世界のルールを変えちゃったんだもんねぇ。ちょっと怖いって気持ちは分からなくはない。一昨日の朝に魔王様からのノルマが聞こえなかった時はちょっと不安だったけど、今日になって嬉しみがこみあげてきたよね!!悠々自適なスローライフが送れるってね!≫
悠々自適、ですか。羨ましいですなぁ。
「あはは。悠々自適、ねぇ。私は、悠々、とはまだ無縁かな。なんか。」
≪なんで?≫
いや、分かるでしょ?念波から溢れ出る哀愁を汲み取っておくれよ。理由だってそんな難しいことじゃない。
「確かに無事に悪魔の日々の絶望ノルマを解除して、一般人類を恐怖から少し救う事は成功した。でも、別に悪魔が居なくなったわけじゃないし、悪魔の生きる理由を奪ったわけだし、ノルマが無くなっただけでやりたい悪魔はやりたいように絶望を振りまくと思うんだ。
スカイツリー倒しちゃったし、それで不便になったり、身近な人が死んじゃったりした人が居る訳でしょ?
そうなると、その罪を償うにはまだ足りない気がするんだよ。」
≪なるほどね。仄葉ちゃんは、優しいし真面目なんだね。≫
「優しい、のかな。そんなことはない気がする。
悪魔になる前は、私はせめて他人に迷惑を掛けないようにって生きてたけど、実際自分が絶望に堕ちた時、他人の事なんか気にしてなかったよね。もう、自分勝手に、自分だけが楽になれるように、雑にスカイツリー倒したよね。人間として屑。」
ホントに。これ以上ないくらい、人間として屑。だって、超ド級の犯罪者。罪名はもちろん国家転覆罪。
≪そんなことはないと思う。だってさ、種族こそ違うけど、私達悪魔はさ、それこそ、自分たちの種族の存続のためだけに、他種族の人間を乗っ取ってたんだよ?それに対して疑問を持ってる子は少ないけど、私はその中の一人として仄葉ちゃんを凄く尊敬してるよ?他の種族を助けた上で少しでもその罪を償るために努力したんだから。悪魔という存在の最大の特徴である不老不死と摂食不要を最大限に活用して、自分の精神が削られるのも尻目に、ひと時も数瞬たりとも休まずに4週間くらいずっと魔法?を使ってたんだから。はっきり言って、聖人、いや、神って言ってもいいよ。≫
「そこまで言う!?それは、ちょっと、照れるね。。。
まあ、そこまで言ってくれても、自分がちゃんとした人間だ、とは思えないかな。
それに、評価してくれる存在も悪魔しか居ない中でこんなに頑張ったけど、よくよく考えたら私に何か褒賞とかがあるわけでもないし、今思い出したけど、別に私の中から以津真天と化蛇が居なくなるわけでもない。
ちょっと話逸れるけど、今の私は無害な人外。結局、今の私は知らない人から見ればただの悪魔なんだよ?
褒めてくれるのは嬉しいけど、今、私はとっても虚しい。」
今になって考え直してみれば、あの時私が何もせずにノルマ未達成で死んでいれば、少なくとも犯罪者にならずに済んだ。結局、自分が謂れのない恐怖に襲われたときに冷静になれなかった。私は勇者でも聖女でも神でもない。ただの人間。
≪それは、、、なんかごめん。≫
「いやいや。謝る事なんてないよ。これも何かの運命なんだよ。。」
そう、運命…………。
運命??運命、ねえ。
チロちゅんが初めてあった日になんか言ってた。
私の運命は非連続的だって。
運命が繋がってないってどういう事??
私は何者なの??
≪じゃあさ、仄葉ちゃんのその凄い力でさ、私達の記憶、元に戻したり出来ないかな。≫
「突然何?」
≪いや、あのさ、まあ、簡単に言うと、私達悪魔は、いや、少なくとも私は、多分なんだけと、5年前くらいに生まれたんだよ。なんで多分なのかって言われても、多分としか言えないんだけど。
私達は人間を乗っ取って絶望を与えてるけど、もし悪魔っていう存在が、地球が生まれてからずっといるなら、人間は全滅しててもおかしくないし、そうなると悪魔が存在してるのもおかしいと思うの。
それだけじゃなくて、なんか私、ずっと生きてることに違和感しか感じてなかったから。
その理由が分かるんじゃないかなって思って、ちょっと聞いてみたんだけどさ…………。≫
(生きてることに違和感、か。
丁度私も似たようなことを思ってたけど。
それにしても今地球って言った!?今まで気にしてなかったけど、以津真天たちは日本語を喋ってる。
お父さんの研究室が消えてるのを見て、気が動転して、悪魔達が入って来たときからずっと。
海璃和とアニメとか結構見てたから、なんか自動翻訳的な何かが働いてるのかと思ってたけど……。
そうじゃない!?)
……
(まあいいや。で、なんだって?記憶の回復、だっけ?)
「それは超希望的なアレだよ。まあ?私がやり切った事を目の当たりにしたら、以津真天が感じてるっていう違和感を取り除けるかもって思う気持ちも分からなくはないけど、でも魔法はそこまで万能じゃないと思う。
この際だから、色々やってみてはあげるけど、期待はしないでね?あと、思い出したことで嫌な気持ちになっても知らないからね?」
≪ううん、私、期待するよ!!それで、仄葉ちゃんに自信を付けさせる!それに、頼んだのは私なんだから文句も言わない。万が一仄葉に文句を言いに来る悪魔が来て、私の説得にも応じなかったら遠慮なく討伐しちゃっていいよ。≫
(『私に自信を付けさせる』?何その嬉しすぎる言葉。)
「ふふっ、ありがと。そうね、今更になって後悔してもしょうがないよね。じゃあ、早速取り掛かりますかね。」
≪いやいや!!待って、それは違うって。まだ癒えてない。この調子で魔法使ってたら仄葉ちゃんの魂が壊れちゃうよ!!それは、仄葉ちゃんにとって一番良くない!≫
「え、でも、やることn」
≪ダメだって!!休もう??≫
(なに、なんで今日こんなにグイグイ来るし、優しい感じなの?いや、そうじゃなくて!)
「私はもう人間じゃない。街になんて出かけられないから、心を休ませることも出来ない。せめて、やれることやらないと、何も休まらないっ!」
≪それで魔法使ってどうすんの!?このまま魂削っていっても、死んじゃうだけだよ!?私達は仄葉ちゃんが死んだところで生きてられるけど仄葉ちゃんは違う!そのままポックり逝っちゃうんだよ!?!?それでいいのっ!?会いたい人とか居ないのっ!?≫
(会いたい人!?もちろん居るよ!
でも、この姿で会いに行ったところで、戦いにならないわけないじゃん!)
≪せっかく、悪魔のノルマを消せて、不意に意味も分からず死ぬこともなくなったんだよっ!?
どうして!?どうして、そんなに焦ってるの!?≫
(あんなに頑張ったのに、悪魔の一匹も出てってくれないからだよ!)
≪何とか言ってよ!私は仄葉ちゃんに死んでほしくないんだよっ!≫
「じゃあっ!わたしのっ、わたしの体から出てってよ!」
≪っ!≫
………………
………
…
≪ごめん……≫
「私こそ聞きたいよ。以津真天。どうしてそんなに言葉に熱が籠ってるの?」
(どう考えても、今日の以津真天の言動は怪しい。もしかしたら、私のやり切ったことに対する興奮なだけかもしれないけど、それにしたって、ちょっとおかしい。)
≪分からない……。でも熱を込めてるわけじゃない。
これは、真面目な話…、いや、さっきまでの話も真面目だったけど、仄葉ちゃんが今すぐ魔法を使うって言うのには反対。≫
「そっか。じゃあ、それは、飲む。休むよ。」
≪うん、そうして。そうじゃないと、私、仄葉ちゃんのこと、k………、え、≫
「うん?」
≪いや、え、うん。≫
…………
≪分かった……。私が熱を込めてるわけじゃないのに、仄葉ちゃんに強く色々言っちゃう理由。もう駄目だ、私、仄葉ちゃんの事、怖いんだ…………ぁ≫
「え」
(なんで?どうしてそうなったの??
私は、悪魔の皆からノルマを解除することで、永遠の命を授けた救世主じゃないの?
なにが、以津真天に恐怖を…………
私の異様なほど強大な力?
私だって好きでこんな力を手に入れた訳じゃないんだけど……
え、何?
結局、こうなるの?
中学入って。
いじめられて。
中学変えて。
シェアハウスに居場所が出来て。
転移して。
途中で皆とはぐれて。
悪魔に取り憑かれて、戦って。
スカイツリー倒して。
悪魔を救って。
友達になれたと思ったのに。
思えば、あの時、戦った時も咲も竜も海璃和も、全力だった。
私、見捨てられた?
せっかく、皆のために悪魔の呪いを解いたのに。
当の悪魔に、怖がられてる。
なんで、なんでなのっ?!
私は、このっ、世界にっ、居ちゃ、いけないのっ!?
なんで!?悪魔にすら、拒絶されなきゃいけないの!?
ふざけんなよっ
くそっ
本当に本当に本当に本当にぃ!なんなんだよぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ)
≪ほ、ほのっ、ほのはちゃっ、おちぃっ、お、おちつぃて、、≫
「あ”ぁっ?!」
≪ひぃっ、なんでもありませんなんでもありませんなんでもありませんなんでもありませんごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさぃぃぃぃ≫
「ぅるせぇ」
≪ッッッッッ!≫
「さっさとここから出る。出方を教えろ。」
≪はっ、はいぃぃ、仄葉様っ!仰せのままにぃっ!≫




