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36: なさそうであるような、触れているのに感じないような

お久しぶりです。

無事に新社会人となりました。

「やっと最後のテーマ、、、、、」


そんな竜君のため息交じりの一言で若干気まずくなる空気を何の気にも留めずハイエンリー神は“気と魔象の関係”について話し出す。


「気と魔象、この2つのモノにどのような繋がりがあるか。

それは、狭義の魔法を使用できる世界に於いて一部または全部の生物が認識しているモノ、つまりマナもしくは魔素と呼ばれるモノに関係していることである。


マナと魔象の関係については、君たちに今更説明することもないと思うので割愛する。椋平を始めとしたここ数十年の研究者による研究成果はほぼ的を得ているからな。


その上で、マナと気の関係を話すわけだが、一つ確認しておきたいことがある。

ズバリ、君たちは“気”をどのようなものと認識している?」


おおっと。

ここで得意の話の流れを完全に無視してやって来る突然質問ですか。

まあ、いい。

もう慣れた。


それで?“気”とは何か?

うーん、これは参ったな。

全く考えたことがない。

なんだろう、とても哲学的な質問のようにも感じるが、ハイエンリー神が今日この時間で話したことを考えると、話の前提、つまり俺たちが当たり前と思っていたことが全く違うとかそんなところだろう。


マナと魔象の関係の話は割愛された訳だが、俺らのここ数十年の研究が的を得ているとも言われた。

つまり、そこから考えていけばハイエンリー神の望む答えに近い答えは導き出せるだろう。


魔象。

それはつまるところ狭義の魔法。

今日の講義を踏まえて改めて簡潔にまとめてみる。

それは、イメージや詠唱を行う事で使い魔を通じて願望が管理者に伝えられ、それが彼らに広義の魔法として受け入れられ、狭義の魔法を実現させるために使用者のオドにマナが集中、使用者がそのマナをオドに通した時に、そのマナ量に使用者のオドが耐え、且つ、マナが十分であればそれが発動、どちらかが満たない場合、多くは不発、稀に暴走を引き起こすという現象。

実現の如何に関わらず、使用後は疲れなどの精神的負荷という形で使用者に即座にフィードバックされるが、その効果と強弱は人によって様々である。

特筆すべきは、オドは魔法を使わずとも一般的な精神的負荷で力を減衰するため、オドの状態が精神的状況を示せる、という事。

ただ、その理由は分かっていなかった。


単純に、効果を得るための代償だと思っていたが、ハイエンリー神の言葉を鑑みると、その理由の部分と関係があるように感じる。


関係しているかは分からないが、マナの感知機能が手首の位置にあることとも何かありそうだ。


マナとオド。

この2つに何か共通事項があると仮定しよう。


…………


……





冒頭の竜君の塊のマナと思しきモノの“発見”とその際の状況の報告。

それまで一度も観測されたことのない現象と『世界の奪取と放射(ワールドスイッチング)』と『魔法の収容と変質マジックオルタレーション』。

魔法の融合でも変わる事のない、マナの物体としての絶対性。

その上で、“気”とマナに関係があると言うハイエンリー神。


………


そうか。


「もしかして、ですが、マナと“気”は同じモノなのですか?」


……


「うむ。素晴らしい。流石、魔法(朧々たる理)の権威だな。考える方向性としては正解と言って差し支えないだろう。


ではお主らが分かりそうな範囲で説明をするとするか。ああ、前提としてこれから話に出てくる魔法とは狭義の魔法であることをここで示しておこう。


まず、マナや魔素と呼ばれるモノについてだ。これは立体形状がなく重さを持たない精神感応性が高い物質である。通常の生物が観測・認識することは出来ない。また、マナの総量が変化することは、生物の生死によってしか発生しない。


これには自然マナ・精神マナの二種類がある。

自然マナとは、空気と一緒に漂っているマナや非人工物の一部に含まれるマナ、また、このSワールドに於いては珍しい魔植物に含まれるマナの事で、魔法の発現の燃料となるマナである。オドの中にも存在するが、その含有量は人によって様々だ。加えて、これは全ての自然現象の原因でもある。

一方で、精神マナはオドの中にしかない。魔法の行使で君たちが消耗するモノである。また、生物の精神状態を示し、時にはその生物の行動を大きく制限しうる。精神マナがオド外に漏れることはないが、生物の構造によってはオド外で存在する場合もある。


さらにそれぞれに霊子と魔子が存在する。

霊子とは霊的に+、つまり希望や期待など心情的に+である状態のマナの事で、魔子とは霊的に-、つまり絶望や恨みなど心情的に-である状態のマナの事だ。

自然マナか精神マナかに関わらず、霊子同士の結束力は強い順に

精神霊子同士>精神霊子と自然霊子>自然霊子同士

であり、魔子同士の反発力は強い順に

自然魔子同士>自然魔子と精神魔子>精神魔子同士

である。


特徴はこうだ。

自然霊子は、魔法を行使する場合に反応する事の多いマナである。魔法の行使に使用されると、自身に含まれる霊エネルギーを放出することになり、また、性質を反転させ魔子となる。異なる発生源の霊子と反応出来た場合、より強い効果を得る。一個体では発現できない規模の事象を発現するなどの、一般的に“奇跡”などと表現される現象は、多くの場合自然霊子のみで発現している魔象である。

自然魔子は、魔法の行使の後オドを通った自然霊子の成れの果てである。自然魔子が降って湧いてくることはない。自由な状態の自然魔子は霊子を多く含むモノや生物に引かれる。また、ケースとしては多くないが魔子が魔象の発現に使われると、前述したように自然魔子同士が強く反発するため、少ないマナ量でも発現する魔象の規模が大きくなることが多い。この場合、その魔象の発現に使われた魔子が霊子に戻るようなことはなく、より霊的に-になる。故に霊子で魔法を発現させるよりも負荷が大きい。自然魔子は行使された魔法に中てられる事、魔法行使の糧になる事、可活動植物を除く魔植物の養分になる事によって自然霊子に戻ることができ、その性質から天罰や天災の原因となる事もある。


精神霊子は、生物の精神状態が+の値をとっていることを示すマナである。生まれたばかりの生物はこれをオドの(キャパシティ)と言われる部分に満たした状態である。オド内を通る自然魔子の力で簡単に精神魔子に変質する。

精神魔子は、生物の精神状態が-の値をとっていることを示すマナである。魔法の行使によりオド内に発生した自然魔子、または、周囲環境から受けるストレスなどの外乱により精神霊子が状態遷移したモノである。精神的苦痛の原因となる。食事や睡眠などの療養、娯楽を享受することにより精神霊子に戻ることが出来る。


そして、オドであるが、これは生物が生まれながら持つモノである。立体形状をもたず、脳と重なるように存在する。重さはある。これの一部にキャパシティと呼ばれる部分があり、ここにマナが蓄えられている。オドの大きさは寿命、霊的形状は性格、器に含まれる精神マナと自然マナの含有比率などの性質は魔法的適正に影響を与える。


と、こんなところであるな。どうだ?色々と腑に落ちることがあるのではないか?」


いや、むしろ、良く分からないんだが……


「あの、結局、マナと気が同一である、という明確な説明がなかったと思うのですが…」


「そうか。では、付け足して説明しよう。


お主らの“日本語”の中では“気”を使った熟語が多数あるな。意気込み、気配り、気休め、元気、強気、殺気、気配などなど。

例えば、“元気である”とは、不安な事も少なく心情的に明るくやる気が上がっている事で、これはつまり、キャパシティに占める精神霊子の割合が高いことと同義である。

例えば、“気配りが出来る”とは、自分の気を他人の気の状態を察知することにあてがうという事だ。他人の気の状態は他人自身の行動や表情に現れるのが常であるが、それを隠すのに長けた者もおる。そのような場合、より他人の行動に気を付け、自分の行動に気を使わなければならず、より大変である。それが上手くできる者を気配り上手というわけだ。ここでいう“気を使う”とはマナを使って魔法により察知するという事であり、そして“気を付ける”とは、その魔法を対象の人物にするということである。


他にも、お主らが無意識に使っている言葉に“第六感”というものがあるが、視覚・聴覚・触覚・味覚・嗅覚に続く第六感覚という意味の他でも理の通る表現であると言える。その表現に則れば、我々管理者には第十感を持つことになる。詳しく述べても理解できないと思われるので話さないが。

幅・高さ・奥行きで三次元、時を加えて四次元。識を加えて五次元。霊を加えて六次元。お主らからすれば何を言っているのか分からないと思うが、語感から察してくれるとありがたい。そして、マナはお主らには存在せず、しかし認識できる軸、第六次元の霊軸に値を持っている。つまり、“気”を認識するとはマナを認識することと同義であり、それが“第六感がある”、という事になる。


どうであろう、これで伝わって欲しいものだが。」


なるほど。

そう言われると、確かにそうだ。

特に気に掛けなかったが、直感的に理解できる気がする。


それと同時に、

「おぉ~~、そう言われれば確かに“気持ち”とか“気合”とかそれ自体が良く分かってなかったことがはっきりした気がする~。」

という咲君の言葉に、皆も頷いている。


つまり、竜君たちが発見したマナの塊は言ってみれば視認できる様なプレッシャーと表現した方が適切という事か。


いや、本当に有意義な時間だったな。

“世界”云々の話。

“神”云々の話。

“気”云々の話。

俺としては、今便宜上悪魔と呼んでいる生物が人類であるという事が一番うれしい情報だな。

荒事にならずに仄葉を取り戻せそうだな。

もちろん、あちらが荒事を望む種族であるなら容赦はしないが。

丁度、楓君という例が出て来てくれたことだ。

彼女に協力をお願いしつつ先を見据えていけば仄葉を取り戻せるのも時間の問題だろう。

逆に、元の状態の世界には戻れないと言うのは本当にショックだな…………。

これを世間に発表すれば大混乱が起こるのは必至だし。

どうすればいいことやら…………。

なんでもいいから、なにかヒントが欲しいよ……。








難しい話は終わり、皆が歓談している室内から日が暮れそうな窓の外を眺めていると、ハイエンリー神から衝撃の一言が放たれた。


「そう言えば、今更だが、お主らはシュニーと話せていること、楓は内に居る悪魔と話せていることを不思議に思ったことはないのか??」


え、


は?


それは、


何が言いたいんだ???


活動報告(言い訳)もあげました。


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