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32: 朝食は"breakfast"?いや、"breakfirst"。

  ……ン……ン……ン……ン

  キーン……ンカーン……ン

  キーンコーンカーンコーン

  キーンコーンカーンコーン


「んぁっ。…………」



…………



…目をあけたはずなのに暗い視界、、



まだ、夢の中なのか。。。



……



よだれ臭い、、、


顔を上げて見えたのはあたしのではない枕、、、


「ふぁ~ぁぁああっ!!」

体を起こしつつ、一つ大きくあくびをして周りを見る。


あたしが居るのはベージュがかった白のレースカーテンに囲まれた、これまた白いベッドの上。

鼻腔にはよだれの薫り(くささ)ではなく、とある液体の特有な刺激臭。

それで思い出す。

(ああ、あたしそういえばミリアのこと探してた筈なのにいつの間にか気絶してクソ龍に長時間捕まって…………)


「ああ”ぁぁーーーッ!!」

「おわぉっ!?」

  どんがらがっしゃーんっ!!


(なんかあたしの声じゃない叫びと何かが倒れる音が聞こえるけどそれどころじゃないっ!クソ龍といえば!たしか昨日の夜鏡見た時私の体に龍鱗としか思えないモノが生えてた気がするんだけど!?!?)


と思い出して顔を触ってみたり制服をまくってみたりして確認するがそんなものは体に生えていない。


(なんだぁ、よかったぁ。やっぱり夢だよね!たぶんあれだ。あのクソ龍に幻覚か夢でも見せられたんだ。たぶんやっと今クソ龍から解放されたんだ。ふ~。いや、何にせよあのクソ龍の評価がさらに下がったことは明確だね。まったく!)


そんな風に思っているとシャーッとカーテンが開き、ほこりまみれの白衣の友奈先生が色々な液体を被った髪をタオルで拭きながら現れる。


「やっと目覚めたんですね!あれ?えーと、、、ま~み~、あ、そうだ!水際(みずぎわ)さん!水際さん、体調は大丈夫ですかっ?」

「いや、紫岸です……、む、ですよ、む…。」

(気絶から目覚めていない最後の生徒なんだから名前くらい覚えておけよ!全く…)

「ごっごめんね!で、紫岸さん、なんで保健室に居るか分かる?」

「あ、はい。実は深夜に気絶から復帰できまして、現状は分かってます。」

「体調はどお?」

「特に問題ないです!」

「そうなのね!良かったわぁ。」

(いやいや、良かったわぁ、じゃないでしょ!もうちょいちゃんとした問診くらいしなさいよ!この人なんでこの職に就けたの!?あと、気絶の方も少しは疑問を持ちなさいよ!はぁ…)

「じゃあ、紫岸さんが気絶してる間に決まった事で紫岸さんにとって重要な事を教えるだけで良さそうね。えーと、メモメモ…………」


……


「えーと、2年A組は一週間お休みになりました!それと、渦井さんは見つかってます!」

「!!!よかったぁ!!」

(そっか!本当に良かったぁ!ミリア無事だったんだ!それと、一週間の休暇ね。私みたいに気絶した人が結構いたとかそんな感じかな?

というかその二項目だけならメモしてなくても覚えてられるでしょ!?えぇ!?)

「それで紫岸さん、体調は大丈夫そうだけど一人で帰れる?」

(あぁん!?舐めてんのかコラァ!)

「あたしそんなに子供じゃあないですけど!?」

「あのね、紫岸さん。私はあなたをおちょくってるわけじゃないの!!くらくらしたりしないか、歩くのに補助が要らないかを聴いてるのっ!!」

(は?え?もしかして、さっきの会話もう忘れてんの…というかそういうのをさっきの流れで聞くんだよぉ!)

「…………だからさっき体調は問題ないって言ったじゃないですか…」

「あれ?そうだっけ?あ、あはは、、、」

「じゃあこれで失礼します。お世話になりました。」

「う、うん、お大事にぃ…」

   ガラガラガラッ     シュバァンッ







あたしは先生から溢れる哀愁を少し感じながらも魔界という名の保健室から逃げるように飛び出した後、エイトトゥエルブンで店員が引くくらいのお弁当とジュースを買って家に帰って来た。

「ただいまー」

   バァン!

(うおっ!!何!?何か物凄い音したけど大丈夫!?)

   バダバダバダバダバダッ 

(なになになになに!?)

   バァン!!!

「咲ぃ!!!」

「愛しの娘ぇ~」

   ドスゥッ  「おええええええええええええ」

   どんがらがっしゃーん


「心配させんじゃないわよ!!なにが、ただいまー、よ!学校から何も連絡なかったんだけどっ!?」

「そうよ咲!竜ちゃんの言う通りまずは保健室の先生に、家族が心配してると思うので連絡してくれませんか、って言わなきゃダメじゃない!」


突然過ぎて。

遠慮がなさ過ぎて。


「咲?何とか言いなさいよ。」


まあ。

確かに連絡しなかったのは悪かったと思うのだけれど。


「こら、咲!」


この愛しくも頭が空な家族に私が気絶から明けたばっかりだという認識が完全に抜けている。

仮にも、いや、仮でもなんでもなくこちらは静かに迎え入れられるべき人間である。

間違いとは言わせない。

そんな人間に覆いかぶさるこの脳筋共。


あたしは無言で魔法を行使。

ドアのサイズに圧縮した風を発生させ、玄関からリビングに向けてこのアホどもを飛ばした。




リビングから轟音が聞こえてこない。

ミリアが何か対処してくれたのだろう。

その証拠に。


「おかえり、咲。……今ので分かったと思うけど、皆本当に心配してたのは確かだから、後でちゃんと色々答えてあげてね?」


と優しくも呆れている様な声音でミリアが声を掛けてくる。


勿論わかっている。

他の子がどれくらいで気絶から復帰できたのかは分からないが、あたしが最後なのは間違いなく、時間にしてもママ達からすれば1日くらい経っている訳だ。

心配だろう。

でも、残念ながらあたしは気絶していただけ。

まあ、“だけ”ではないのが面倒なところなのだが。


それはそれとして、高校生にもなってこんなことで激情になってしまうのも子供っぽいなあ、と反省しつつ。

ミリアの大人しさに免じて、あたしは問いに不貞腐れ気味に答える。


「うん。分かった。あたしは気絶してただけだけど、話せることは話すよ。」

「それでいいよ。今はゆっくり休んでね?」

「うん、ありがとう、ミリア。」


あたしは大量のビニール袋を携えながら部屋に行く。

(全く!!こんなことになったのも全てあのクソ龍のせいだ!!!はあ!!!!ご飯食べて、さっさと召喚して拷問して反省させてやるぞあのクソ龍!!!)


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