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29: 静かに渦巻く海にふわりと沈む桃

10/23 一部表現を訂正しました。

########################################

…………


……



(んん、んんん、あれ、あたし、竜と憂子ちゃんとミリア探してたハズ……)



…………



(何も見えない……)



(怖い)



(夢?)



「ねえ、誰かいないの~っ!?」



……



…………



≪ああ、居るぞ。目の前にな。≫


「ふぇっ、ごめんなさい!!あのっ、そのっ、助けてください!!目が見えないんです!」


≪まあ、そうであろう。それよりお主、何処からどの様にこの深い所までやってきた。≫


(まあそうであろう!?!?ちょっと待って、っていうか、え)


「えっ?えっ、ぇ、、、、ごめんなさい、、分からないです、、、」


≪その答えも何度か聞いたな。

そして、お主がどんな人間かも大方分かった。

今、その盲目を直してやろう。≫


(???何だか分からないけど、勝手に話が進んでいく……

とっ、とりあえず…)


「あ、ありがとうございまs」


≪どうだ、私に見覚えがあるはずだが?

あ、それとだな、お主の感じていることはスケスケだ。

思う事をせず、単と考えた方が良い。≫


「はぇ?…、はっはい!」


…………えーと、ドラゴン様、かっこいい

見覚え?


………


「あっ、もきゅゴン!?」

≪そうだ。まあ、もきゅゴンでもいいのだが、我の事はヴァリコンセ=ハイエンリーと呼んで欲しい。≫


(ヴァリコンセ=ハイエンリー!?!?!?!?)

≪ああ、そうだ。≫

………


えっと、この名前は宮椋博士から聞いた気がする。

確か、概念の変化を司ってる神様だった気がする。


「えっと、すみません、いつの間にかここに来ていたのですが、ここは神様の領域でしょうか?」


≪おお、ずいぶんと色々知っていると見受ける。

はて。まずは名前から聞こうか。≫


いや、えっと、会話がかみ合ってなくない!?

とりあえず答えるか…


「えっと、紫岸咲といいます」


≪ふむ。

我に対して恐怖を抱かないのはお主が魔法を使える者で、お主の使い魔が私の純分霊であるからというのはお主の背景概念を見て分かるのだが、どうしてここが神の領域と推測したのか聞かせてもらえるか?≫


いや、待って、全然状況が呑み込めない…

そして今度は知らない言葉出てきた…

どうしよう。聞くか。


「えっと、背景概念とは何でしょうか」


≪ああ、気にせんでいい。先にお主の話を聞かせろ。≫


あっ、はい。良く分からないけど、話せばいいか。


「えっと、あたしの幼馴染の父が偉大な魔法使いで、

その人からヴァリコンセ様を始めとした複数の神様について聞きました。

なので、お名前を聞いた時に、ここは神の領域なのでは?

と思い至った次第です。」


≪なるほど。その偉大な魔法使いの名前を教えてくれるか?≫


「はい、えっと、宮椋椋平といいます。」


≪ほうほうほう。なるほど。

そういう事か。あやつに近しい者だったか。お主。≫


「え、宮椋博士を御存じで?」


≪ああ。椋平も不慮の事故でこの領域に足を踏み入れたからな。

とはいっても、実際に迷い込んだのはもっと浅い階層だがな。≫


…博士の言ってたことは本当だったんだね。

一回死んで遡行召喚だか何だか知らないけど蘇らせてくれたとか言ってたのは。

あたしも人間の領域を超えてしまったみたいだけど、……


え、え!?あたし死んだの!?


「あっあn」

≪それと先ほどお主、複数の神について聞いたと言っていたな?

その中でディースクルド=ファントゥーナという名を聞いたのではないか?

その神は私とは別階層で“仕事”をしているのだが、報告を色々と貰っていてな。

椋平と同じ世界に居るのならまさに経験している最中だと思うのだが、世界が大変なことになっているそうだな。≫


「あっ、えっ、はい、なんだか世界が3つほど合体してしまったみたいで…」

≪ディーから聞いている通りだな。それで、すまんな。話を遮ってしまったようだったが、何か聞きたいことでもあるのか?≫


分かってたんなら言葉をとめんか~~~い!!!!

はあ。まあいいや。


「はい、えっとあたしは死んだのですか?」


≪いや、死んではない。何か強い衝撃で気絶しているだけだ。まあ、もっとも今は私がお主の意識を引き留めているから目覚めることはできないのだがな。≫


…………


「なぜ、あたしは引き留められているのですか?」


≪もっと話がしたい。この領域に直に迷い込まれるのは初めてでな。ちょっと嬉しいのだ。≫


え、神様にもさみしいみたいな感情ってあるんだ。


≪そうだ、この機会にひとつ聴きたいことがある。

咲よ、未だ私を儀式で呼ばないのはなぜだ?≫


儀式?

ああ、『加護に祝福を』のやつの事?


「あ、それはですね、その儀式って贄が必要じゃないですか。

私、贄にできる部分がないのでできなかっただけです。」


≪なるほどな。しかしだ、お主。贄は物でなくてもいいのだぞ?≫


???どゆこと??


「えっと、仰っていることの意味が分からないのですが…」


≪分からんか。では教えよう。感情だ。≫


「えっ?!それって、あたしが笑ったりできなくなるってことですか!?!?」


≪ああっ、そのような意味ではない!!!すまぬ、そういう誤解を与える言い方だったな。

そうではない。今回の例で一番いいのは恥じらいだな。≫


「恥じっ!?」


えっ、それってつまり私の体を食べたいってこと!?


「このっ、変態!!」


≪ふふっ、ふあっはっはっはっは!!

いや、笑ってしまってすまない。それくらいフランクな話し方でいいからな!

それよりも、まあ、恐らくその発言からすると考えたことはほぼ正解だ。

物で貢げないなら、それしか無かろう。


どうだ、咲、話題はないか?≫


…………


話題、ねえ。

何か宮椋博士に知識を持ち帰りたいけど、どう何を質問すればいいか分からない…


あ、ほののこと何か知らないかな。


「じゃあ、一つ聞きます。

そのディー神から世界の件とは別で何か報告されてないですか?」


≪?というと?≫


え、この感じは知らない?いや、でも、う~んっ、もういいや。ストレートに聴こう。


「えっと、宮椋仄葉っていう女の子知りませんか?」


…………


≪その子の事かは分からんが、ディースクルドから一人どうしても助けないといけない人間がいて、その人間を探しているという事は聞いている。

深い事情は私も分からないが、どうやらディースクルドの管轄から消えたとな。

本来、神は動物に対してほぼ無条件で介入できるのだが、それができないとな≫


……悪魔に取り憑かれてるから?

それなら、その子はほので間違いないのでは?


「もっと何か具体的な情報はないの?」


≪すまないが、神約により具体的な情報は話せない。

しかし、咲のその感情の波を見受けるに、相当大事な人間と視た。

そして、何かの強力な力を受けてはいるだろうが、

そうだとしてもこの領域に直に踏み入れるほどの力を持つお主は“巫女”として十分な素質がある。

私との親和性は言うまでもなく、お主の使い魔が私の純分霊であることが証明だ。≫


「えっ、えっ、あのっ、急に何の話してるの?」


≪いや、何でもない。

いや、何でもなくはないか。

そうだな、これから私達は運命を共にするものとなるだろう。

この時間で得れた咲の感情の分、早速分霊となって咲達の世界に降りようと思う。

こうなるのも何かの運命。

ディースクルドにも操れないのであれば私の管轄だ。

法則が崩れている。

さあ、咲よ、私と世界の秩序を整えに行くぞ。≫


あ、そういえば一話を投稿してからいつの間にか1年が過ぎてました。

これからもどうぞよろしくお願いしますm(_ _)m

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