22: 災害とその対処
こんばんわ。短めですが、読んでいただければ幸いです。
8/25 サブタイトル付けました。一部訂正しました。
11/28 内容の齟齬を修正しました。
この3週間で変わったことの中で、一番最近で一番身近で一番大きく変わったことといえば、実践訓練。
何のためかといえば、もちろん身を守るためである。
この世界に転移して3週間、この世界ならではの、もしくはもう一つの世界から転移してきた生物が多数見つかっている。
人間と敵対関係にある生物も多く、挙げればきりがない。
その中でも、特徴的な敵対生物が“異形”。特定の形を持たないが、どの個体にも共通してある特徴があり、それによって、固有名詞ではなくそういう生物のグループとして“異形”と名付けた。
共通の特徴は四つあり、一つは目にある。眼球は一般的な生物と同じく2つであるのだが、一つの目に3つの瞳孔があり、都合左右で6つの瞳孔がある。しかも、その一つ一つが異なる色を持って発色している。端的に言って気色が悪い。
二つ目の特徴は捕食行動にある。解析不明の方法で、様々な生物を解かすというか、霧散させるというか、ミクロレベルの細かさにして、体全体で取り込むという“捕食”をする。それなりの時間を要するようだが、捕獲されればもう抗う術はなさそうである。
三つ目の特徴は、団体行動であるという事である。それぞれの見た目は全く異なるのだが、実に見事な連携で“狩り”を行う。
最後の特徴は、赤黒いもやを体のいずれかの部位に纏っているという事である。個体によっては、ほぼ全身に纏っている物もあるようだが、それはかなりレアケースと言っていいだろう。
この不可思議な4つの特徴を持つ異形は、その特徴からどの生物よりも危険度が高く、かつ群れでいる事が当たり前であるので、本当なら逃げるべきなのだが、それでは全ての人間が死んでしまうので、対抗するべく行われ始めたのが、実践訓練である。
一週間くらい前に異形がとても危険な存在であるという研究が発表されて、実践訓練も3回しか行っていない。それなのに、それを嗅ぎつけたかのような到来である。
教室はざわついている。当たり前だ。私たちはA組なので、戦闘になるわけだが、普通に恐怖でしかない。まともに戦えるのかすらわからない、生き物なのかすらわからない何かと戦わなければいけないというのは、思春期の私たちにとってとても辛いものがある。
私たちみたいに一部の生徒には実戦経験のある生徒もいるにはいるが、A組には10人もいない。
この学校のクラス分けは成績順になっている。魔法分野のTOP16、実技系のTOP16、勉学のTOP16でA組、
魔法分野の上位17~32位、実技系の上位17~32位、勉学の上位17~32位でB組、というようにE組までクラス分けされている。なので、実際に戦闘になってどうにか戦えるのはA・B組なわけである。ただ、仄葉のように行方不明になっている生徒もいるので、繰り上げで戦闘要員になっているC組の上位者もいる。
A・B組は己の能力で、C~Fの生徒は、校舎からの救援や、校舎内での救護、戦闘的重機などでの応戦を行う。
一部隊15名で編成は、どの部隊もバランスを取り、指揮に頭脳系生徒もしくは教師、前衛が剣技などの魔法でない攻撃を主とする生徒7名、後衛に魔法使い7名。学年は混合で、全部隊のパワーバランスを整えるためA・B(・C)組のバランスも調整されている。そのため、部隊ごとに攻撃指針の違いはあるのだが、何分実践までの時間が短いだけあって、恐らく、どの部隊も同じような行動指針になるだろう。
そして、余った多くの頭脳系生徒と若干の戦闘要員、一部の教師は作戦本部のメンバーとなっている。
そんな中で、私、渦井・S・海璃和は一人である。まあ、シュニーがいるから2人ではあるんだけれども。
なんでかと言えば、もちろん、契位魔法士であるから。他の生徒と力の方向性がどれにも割り当てられず、しかし、かなり効果が高いため、私は一人での戦闘となる。
皆準備が終わり、校庭に集合して各部隊に分かれていく。私ももう変身してる。この姿にももう慣れた。
「じゃ、ミリア、後でね。死なないようにお互い頑張ろう!」
と咲に別れ際に声を掛けられる。
「咲!そういうフラグみたいなの建てないで!死ぬわよ!……、じゃあ、海璃和、本当に気を付けてね。」
竜も思わずツッコみつつ、心配してくれる。
「大丈夫だよ!少なくとも皆より外装は強いわけだしそんな簡単に死なないよ!というか、私たちはハウストレーニングしてるんだから皆大丈夫だよ!
でも、咲は他の人に迷惑かけるような動きをしないように気を付けてね?」
私も茶化しつつ応える。
「……あたしそんなガサツじゃないから!」
『でも、本当に心配しなくて大丈夫だよ!なんたって、このラウガット・シュニー様が付いてるからね!!』
…………
『いや!だから!なんかツッコんで~??!!』
シュニーの茶番をスルーしつつ、覚悟を決めたように二人は各部隊に行った。その数秒後私の“スコープアイ”は、先頭の巨大な赤黒いもやを捉えた。
研究って、そんな簡単に終わっていいのか?!
と思ったそこのあなた、確かに言わんとしていることは分かります。しかし、魔法と所謂技術の両方の文化を持つ世界ですよ?
つまり、そういう事です。




