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19/78

17: 幻影の極厚のガラスが割れる時

少し長めです。


8/25 サブタイトル付けました。

私たちは実験に使われていたの!?


それがただの情報収集だけだったとしても“ストレス負荷”!?

聞き捨てならないわ。


そんなことが、本人の了承も得ずに実行されていていいわけないでしょ!?。


親達の反応の感じだと、強制されたんじゃなくて分かってたって感じ。

それも腹立つ!!!


何より、ストレス負荷がテーマなんだとしたら、ほのが暴走する原因を作ったのは博士!?!?

流石に、それはないと思うけど…………


そもそも目的が分からない。これは私が聞くしかない。

ミリアは混乱してるし、竜は感情が揺さぶられ過ぎて使い物にならなそうな顔してるし。


「ちょっと、返事に困ります。。。少し、その謝罪に対する返事を考える時間が欲しいのですが。色々と聞きたいこともあります。」


「な、なにかな?咲君。」


「なんで、あたし達だったんですか?何の目的でですか?ほのに関しては、情報収集だけではない、そう思える、そう思い当たる事があるのですが。」


…………


答えられないの!?図星!?ほんとに…………


「答えてください!!」

あたしの大きな声が機械音もない研究室に響き渡る。


「咲!落ち着きなさい、私から説明します。」


「なんでママが答えるの?あたしは博士に聞いてるんだけど!?」


「黙りなさい!」

  パァン!!


痛っ。ママの平手打ちとか、初めてなんだけど。

「いいから聞きなさい!」


「はぃ…………」





ママが言うには、宮椋博士は将来の世界の人たちのために運命を変化させる大魔術の研究をしているらしい。その大魔術が導くのは、ストレスの軽減とそれによる“思いやり”の発達・魔法使いの存在罰の消滅・犯罪の減少・異能者の消滅。その研究の一環で私たちからストレスと魔法や異能の発現に関するデータを監視、取得していたらしい。


なぜあたし達なのかと言えば、たまたま、あたしとほのが中学で酷い虐めを受けていてストレスに敏感になっていたから。もちろんそこからあたしたちを救うのも目的だったが、ついでに、ストレス量の計測をしようと思ったらしい。その時期に、偶然、ミリアのパパの雅清(まさき)さんが、ミリアの異能がいつまで経ってもなくならないことを心配して、相談してきたらしい。竜に関しては、博士が普通の人のオドの変化も見たいからと言う事で目をつけ、頼み込んだ結果快諾してくれたらしい。だから、悪意があってあたし達が監視対象になったわけでは無かった。


途中から話す決心がついたらしい博士が言うには、そういう大規模な魔法の発現の代償には、自分のオドや積み重なった他の誰も知らないような知識、能力が適切であるらしい。その誰も知らないような知識として、神に関する知識を得るためにほのを使った、と語った。



ほのを使った、という点を除けば害的な行為はしてなかった。ちょっと安心。


だから、

「先ほどは無礼な態度をとってしまい申し訳ございませんでした。」

とさっきよりは明るい声を意識して謝る。


「いや、私も目的を言わずに話したのだから3人にどんな疑念を持たれても仕方ないよ。咲君は悪くない。」


そう思ってるならいいけど、

「でも、その、自分の娘だとしても(・・・・・・・・・・)()()()()()()使()()っていうのは大分頭がおかしいと思います。」


「……そうだね。」

言いたいことは言えた。


あと、疑問に思うのは、なんで皆の親がここにいるのか。皆さん、魔法の深い知識はお持ちでないはず……


と思っていると、

「あと、皆の両親がなぜここにいるのかは、明日話すよ。もう23:00も過ぎたからね。眠いだろう。今日はここで寝ていって欲しい。まあ、家が近いから帰ってもいいが、この転移してしまった世界ではどんな危険があるか分からない。できれば、研究室で休んで欲しい。」

と博士から言われる。


もうそんな時間か。


お言葉に甘えて寝かせてもらいますか。


「「「お願いします」」」


二人とも声が重なる。

博士に案内された仮眠室であたし達は就寝した。
















んんっ、

はれ?

ここは、、、、、?



あっ、研究室、、



今は、、9時、、



竜は確か私の下で寝たんだっけ。


二段ベッドの上から覗くと咲があたしの下で、竜がもう一つの二段ベッドの下に寝ているのが見える。


あはは、逆か。


昨日は色々な事がありすぎて記憶がごちゃごちゃ。


まだ二人とも寝てるし、そっと部屋を出ますか。


『おはよう!咲ちゃん!』


「うわあぁっ!!」

「ふぁっ!?んなっなに!?」「んどっ!!どうしたのっ!?」


……


「もうっ!シュニーさんが驚かすから二人とも起きちゃったじゃん!!」


『あはは~、ゴメンゴメン。でもそろそろ起きよう?皆さん待ってるよ?さあさあ起きて!博士から頼まれちゃったからね!私が研究室を案内しちゃうよ~』


「もしかして、シュニーさんもチロちゅんもママ達と話したの?」


『そうだよ!咲ちゃん達が起きてこないから、皆が居なくても説明できる事は喋っておいたよ!』


「そうなんだ」


じゃあ、私達がママ達のここにいる理由を聞ければ、ようやく全員の状況把握が終わるってことか。


あれ、ミリア二度寝しちゃってるじゃん。今気づいたけど変身は流石に解けてるね。

いや、そうじゃなくて

「ほら!二人ともピシッとして!洗面所借りて顔洗ったらご飯貰いに行くよ!!」


「ふぇあっ??!。。。。ふぁ~~っ、まだ眠いデス~」

「んん~~っ!!っそうね、行きましょう。」

寝ぼけて片言になってるミリアともうシャッキリした目の竜が大きく伸びをしてから皆で部屋を出た。






シュニーさんの案内の元、着替え以外の身支度と簡単な朝食を終わらせた私たちは、昨日騒いでいたメインルーム的な部屋に辿り着く。


あれ、なんか昨日の夜より人めっちゃ多くない?


「おお、おはよう3人共。寝心地は良かったかな?」

私達が部屋に入るなり博士が挨拶をしてくれる。


「あっ、おはようございます!寝心地も思っていたより良かったです。」


「それは良かった。人が多くなっていて驚いたと思うが、彼らは研究室メンバーだ。何か聞きたい事があれば後で個々に喋ってくれ。では早速だが、昨日の晩に話した通り、君たちの両親がこの研究室で何を手伝っていてくれたかを教えようと思う。その後は、現状のまとめと今後の展開について話す。じゃあまずは(みのる)さんからお願いします。それ以降は打ち合わせた順にお願いします。」


パパからね。実は良く分かってないことも多いからちょっと楽しみ。

海璃和と竜の両親とも初対面だしちょっとたのしみ。


「はい。では、改めて咲の父の紫岸(みのる)だ。魔法と技術の関係について研究している研究者だ。元から椋平博士とは魔術を利用した航空力学に関する研究を行っていたが、今回の研究では一魔法使いとして参加している。得意魔法は防御系と物質操作系の補助魔法だ。」


「次は私ですね。咲の母の紫岸爛梨(あかり)です。私も実と一緒に研究させてもらってたわ。まあ、私の会社としてだけどね。今回の研究に関して言えば私も一魔法使いとして参加しているわ。得意魔法は攻撃魔法よ。咲よりは弱いから、戦いたかったらお手柔らかにお願いね?」


……えっ、私ずっとパパが社長だと思ってたんだけど?ママの会社だったの!?初耳なんだけど!!

なんか、パパ顔赤いしホントなんだね。


「次は私だな。海璃和の父、渦井雅清(まさき)だ。皆が知っての通り、ガラス細工職人だ。今回俺がここにいるのは、元異能所持者としてだ。高校生ぐらいの時に発現して20代半ばで消えたが、持っていた力は物質変質系の力だった。以上。」


へぇ、海璃和パパも異能者だったんだ。それに、異能は遺伝できないはずだけど海璃和の能力に近い感じだったんだね。


「えと、、渦井・マールィエ=フィーロアです。夫と同じく、皆さん知ってはいてくれていると思いますが、音楽家です。主にボーカルですが、トロンボーンやトランペットといった金管楽器とドラムなどの打楽器も嗜んでいます。この研究室には現役異能持ちとして協力させていただいてます。力は、水中でのみ流体を操作できるというものです。私達臼井家と紫岸家は、能力とストレスの相関に関する研究のお手伝いをさせて頂いています。」


いやあ、昨日から思ってたけど海璃和ママ、声も佇まいもキレイすぎ!!うちのママにも見習ってほしいわ!何が戦いたかったらお手柔らかにお願いね、だよ!好戦的というか元気すぎでしょ!


それよりも、海璃和ママは現役異能者か!その年で現役っていうのはなかなかレアだね!あと、ドラムも見てみたいなぁ!ギャップがすごそうで興味がそそられる!


「じゃあ、俺だな。竜の馬鹿親父の椿嶋炎獅(えんじ)。椿嶋剣道場の当代当主だ。そして、実戦型剣術の継承をしている一族の一家だ。俺たちはそれ関係でお呼ばれしてこの研究室で協力している。内容は面倒くさいから紀子に任せた。」


「何を言っているんですか、炎獅さん。全く仕方がないですね。はい、(わたくし)、竜の母の椿嶋紀子でございます。私達椿嶋家は、宮椋博士からのご依頼で二つの研究のご協力するに至りました。その内容に関して、少し長いですがお話しさせていただきます。


まず、炎獅さんが言っていた、椿嶋家が実戦型剣術の継承をしている一族の一家である、と言う事に関してです。なぜそのような一族が存在しているのか。それは魔法使い達が暴走したときにそれを抑える備えのためです。400年前以上から椿嶋家を含む実戦型戦闘術を継承する一族に伝わる伝説に、大昔に一度魔法使い達の暴走によって世界が破滅に導かれかけていた時、我々の始祖にあたる一族がそれを抑えたとあります。


それが、宮椋博士の研究とどう繋がるかと言いますと、我々が代々伝説と共に継承している一振りの刀が関係していきます。それは、“抗魔の刀”とでも呼べる代物で、魔法を使えない人間が魔法使いに抵抗できる数少ない武器です。その刀の仕組みについて不明な点が多く、普段から使用するものでもなかったため、博士がストレスの研究のために竜を借りたいと訪問された際に、一緒に私達から研究して戴きたいとお貸ししたのが始まりです。


その上で私たちが居るのは、その武器を扱えるのが一族の者だけだと後から分かったためです。」


ほえー、その話は知らなかったなぁ。実戦型剣術の上っ面の話は竜から聞いてたけどそこまで深い話だとは思ってなかった。


「皆さん、自己紹介とご説明ありがとうございます。何か質問のある者はいるか?」


んー、特にないかな。っていうか、こういう聞き方をするってことは研究室メンバーの人たちも初耳の部分があるってことなのかな?



「特に質問がなさそうなので、次に進もうと思う。現状のまとめだが、その前に、もう4方に挨拶を頂く。では、お願いします。」


待って待って、まだ紹介されんの!?ちょっと整理が追い付かないのですが!?


『はーい!では、自己紹介させていただきます!私はラウガット=シュニー!この世界に元から住んでいる虫人です!ミリアと契約して、ミリアに契位魔法士になってもらったので体は幼精だけになってます!よろしく!じゃあ、チロちゅんさん!』


あー、ヒトじゃない喋れる方々の紹介ね。


「…、チロちゅんではないのだがな。では、挨拶させていただこう。我は、ディースクルド=ファントゥーナ。運命の変化を司る神である。この体は椋平の使い魔であるが、儀式に基づき我が言を得ている。では次じゃ。」


そうそう、確かほのもチロちゅんの説明するときこんなこと言ってた気がする。


「チョリーッス!俺っちは(みのる)っちの使い魔にして、スぺシエル=カオス様とコンシネディシ=アルヴァイエ様の混分霊の中位霊、ヴォダ!ヨロシク~!!」


パパの使い魔ってイルカだったんだ。召喚してるところ見たことなかったから知らなかったな~!

パパのイルカ、大分ノリが軽いね!俺とか言ってるけど、おもくそ女の子だし面白い!

それに、チロちゅんと違って神が直接語りに来てる感じじゃないんだ。なんの違いだろ。


この流れだとあのワニはママので間違いなさそう。


「では、最後は己であるな。爛梨(あかり)殿の使い魔にして、ヴァリコンセ=ハイエンリー様の分霊且つ上位霊、グランガチである。」


おお、渋い。全然ママに似合ってない。。。この子も直接神が語りに来てる感じじゃないのか。


「はい、ありがとうございます。と言う事で、このまま現状の確認と今後の方針について話しあっていきます。」

博士はそう言って皆の発言を聞きつつ、行動方針とそれに関する現状についてまとめだす。





最大の目標は、元の世界への帰還。

最初の目標はほのの奪還。


まずは、地理的な問題の整理。チロちゅんの話では、惑星ごと転移しているとのことだが、ヴォダ霊の話ではそうでもないらしく確認が必要。シュニーさん曰く、少なくとも大陸レベルで塗り替わっていることが確認できているらしいから、規模の大きな調査が絶対と分かった。


次に、生活面の問題。私たちと一部の研究室メンバーが目視で確認している謎の飛行生物がいるため、常に危険があることが問題。シュニーさん曰く、それらは元々いる生物ではないため、複数の世界が転移してきた可能性が示唆された。普段から戦闘の緊張感を持つという生活を強いられそうだ。


電気やガスが使えるから、元の世界のライフラインが機能していることは確認できているから、そういう面では問題がない。


生活面的な問題の一つに学業が挙げられるが、それに関しては博士曰く今まで通り行われるらしい。明日の午後から通常通りに内容を大きく変えた授業を行うとのこと。


目前の目標であるほのの奪還に関する問題は、ほのの消えた原因が分からない事、退避先が分からない事、本人の状態が全く分からない事。

これらの問題を解決するには、この世界の魔法と元の世界の魔法の関係を研究する必要があり、どれだけ時間がかかるか分からない。


ほのの奪還に関する問題はまだある。既に敵対的な関係にあることは分かっているため、戦闘が必須。恐らく闇堕ち的な何かであることは想像でき、同じような存在が複数いる事も考えられるので、戦力の増強を図る必要がある。現状、この研究室の中で戦闘力と数えていいのは、あたし、竜、ミリア、パパとママ、フィーロアさんと炎獅さん、宮椋博士、チロちゅん、ヴォダ霊、グランガチ霊。それと、あたしのもきゅゴン。まだ儀式をしたことないから本当に戦力になるか分からないけど。


増強計画としては、高校生以上の優秀な魔法使いのスカウトと、シュニーさんに幼精と契位魔法士・魔法神獣を集めてもらう事が主な行動方針となった。


個人個人の行動方針は、大人と研究室メンバーが研究を爆速で進ること、ママとフィーロアさんはあたし達のシェアハウスに住むことにし、戦闘力アップのためあたし達と戦闘訓練をすること、と決まった。






一通り話しが纏まり、一度解散した後、ママとフィーロアさんとあたし達3人はとりあえずシェアハウスに向かい、部屋の整理やら片付けやら、未知なる生活のための準備を始めた。




あたしは、片付けながら心の中で、強く、宣言する。

ほのっ、待っててね。助けに行くから。なんとしても。






いや、それにしたって、マジで、これからどうなっちゃうんですか。


今回は一般的な作品では絶対にやらないであろう、新キャラの大量投入をしてみました。

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