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15: 運命の刃は全てを叩く

いつもより少し短めです。

私の友達、臼井・S・海璃和が実は異能持ちと分かった瞬間から全てが変わった。


周囲の物理的環境も精神的関係も力的環境も何もかも。


そもそも、結局魔法使いだったし。


変身してるし。


そんな海璃和曰く、目の前に居る悪魔は仄葉だという。


そして今、(おそらく)暴走悪魔状態の仄葉との戦闘が始まる。


「はあっ!!!」

私は、戦車との戦いにも使い、その後空に飛んでもなお、振り落とさないように守っていた愛刀“青椿鬼(せいちゅんき)”を鞘から仄葉に向けて構え走り出す。





私が戦える理由。


ズバリ、実戦型剣術。それは椿嶋家に代々伝わる剣術としての、剣道とは違うれっきとした戦闘技術。シェアハウスに暮らす皆はこの事を知っている。


一応、アメリカみたいに『正当防衛のために銃などを持っていい』というわけではないこの日本で刀を持っていていいのは、私たち椿嶋家が少し特別な一族であること、そして、持つ代わりに剣道を教えるという義務を果たしているからだ。(正直それで対等な価値を払えているかと言えばそんな訳はないと思うのだが)。


それはさておき、そんな理由で私は戦える。そして、戦う。助けるために。勿論、親友の一人として。家族の一人として。




「咲、私に当てないように援護をお願い!」


「うん!竜も気をつけて!今は仄葉と思わないで思いっきりやりなさい!そうじゃないと死ぬわよ!」


「分かってるわよ!」


『じゃあ私は二人の筋肉疲労を少しでも緩和できるようにそういう魔法を掛けるよ!』


「「お願いしますっ!!」」


戦い方はシンプルに。私は前衛、咲は後衛、シュニーさんは支援。咲が後衛なのは、いざという時に大きめの魔法を使って貰うための体力を温存させる意味と、動線かぶりによるフレンドリーファイアを避ける意味と、陽動と実攻撃の役割分担をするという意味がある。咲もそれを分かっていて、魔法の火力は抑えめ。


咲は繊細な魔法は使えないが、局地的に魔力を高めるのは得意。射撃部で遠距離、魔法使いとして召喚できるのは剣で近接だから、攻撃は全般的に得意。仄葉と咲が、魔法と技術の混合戦闘大会(マジカルテクニカルミックスバトルリーグ)(関東地方)でダブル部門の二位を取った時は、完全に咲だけが戦闘、仄葉が補助だけをやっていた。




私の仕事は、素早い移動と陽動間のヒットアンドアウェイ。魅せる刀ではなく、確実に殺れる動きで。


早速、好機が訪れる。


今っ!!

  ブシャッ!


思ったより深く、腕に刺さる。

すぐに刀を抜いても血は出ず、瞬く間に回復する。


何となくそんな気がしていたから、すぐに距離を取る。


『うわっ!結構容赦ないね!!』


「咲!どうするの!?多分、傷一つ作るのも大変よ!」


「大丈夫!今は攻撃し続けて!取り敢えず、傷が一つつくまでは続けるよ!」


「分かった!」


『あの~、無視しないで?』



体力に自信はある。シェアハウスに越してから、1年間、素振り以外の運動はほとんどしてなかったけど、それから剣道部に入って体力は戻したつもり。だから戦い続けるのは問題ない。



それよりも、この状態の仄葉のオドの状態がどういう状態なのか想像ができない。


どうしてこんな状態になったのか。仄葉に追いつけなくてマジカルスクーターで空を飛んでこっちに戻ってくるまで大体1時間。その間にここまでになるってことは、相当な霊的負荷が一瞬で掛かったってこと。そして、一気に解放されたという事。


仄葉自身から、暴走した後はその間の記憶はなくなっていて、ストレスが少し解放されたと聞いている。


咲からは、仄葉が中学時代の暴走状態の感じが、灰色っぽいオーラを纏い、暴力的な魔法を使って周囲を傷つけていたと言っていた。


これらの情報と座学で学んだ魔法行使の知識から考えると、ほとんどストレスのない状態から一気に巨大な霊的負荷、もしくは急激な感情や精神状態の転落があって、たったそれだけで暴走状態に至るまでのストレスが溜まり、そして暴走状態に遷移し、それによってストレスの解放が起きる。その解放されたストレスが原因と考えられる魔法は、大気光学現象を起こせるまでの莫大なエネルギーを持っていた。今の仄葉のオドはまだまだ綺麗に違いない。


それでも、今私たち二人で戦えているのは、海璃和が言っていた戦った人たちのおかげだと思う。その戦闘でそこそこオドを汚したのだろう。強い威圧感・恐怖感というのはあまり感じない。


仄葉からの攻撃は、仄葉がいつもならあまり使わない放出系魔法。系統は分からない。見たことない魔法だ。悪魔っぽくなってしまった事と関係があるのは間違いない。


そんな風に仄葉の現状を推理しながら魔法を避けつつ、ヒット&アウェイを繰り返して20分ぐらい経つ。特に傷を付けることが出来た訳ではないが仄葉に変化が現れる。


なんといえばいいか分からないが、手みたいなモノが仄葉の背後に顕現し、私に襲い掛かる。


それに合わせて刀を振るう。

  バジィッ!バジィッ!

と悪魔ハンドと刀がぶつかり合う。


「やばいって!流石に!ちょっと!これはっ!裁けない!咲、前でて!!」

実体があってよかった!そうじゃなかったら、私は死んでいるわよ!!

と思いつつ、ハンドと刀がぶつかり合うタイミングで大きく息を切らせながら、咲に前進を申請する。


「分かった!任せて!行っくよ~、、、メテイジング~ランスバレッドッ!!!」

咲は進みつつ、必要のない詠唱とともに熱気と電気を帯びた円錐状の巨大な弾丸みたいな魔法を放つ。


〔ガァァァァ!!!〕


流石に効いたのか、仄葉から怪獣の様な叫び声の様な音、、いや、耳から入るような周囲からの音ではなく、かと言ってシュニーさんが私たちに話しかけるようなテレパシーの感じでもない伝わり方で私たちに聞こえてくる。


着弾後の爆風による土煙が晴れて、見える仄葉のわき腹から血が出ている。


「ほのっ、ゴメン、、、」

流石の咲もこれには苦虫を噛みながら、ボソッと謝っている。


辛いよね。一番、仄葉と一緒にいるんだから。でも、今は、

「咲!気を抜かないで!」


「!!、大丈夫!」




今度は咲が仄葉の正面から、私は仄葉の背後で咲が見えるようなポジショニングで戦闘を展開させる。


私は変わらずヒット&アウェイ。咲は、陽剣を召喚し電気系の魔法と正霊系の魔法を帯びさせて、積極的に攻撃していく。


二段階目の仄葉からの攻撃は悪魔ハンドからの大きな攻撃と薄くなった魔法攻撃。


咲の攻撃は悪魔ハンドといい感じに渡り合っていて、ヘイトは咲に向きっきりになっている。


咲が大きく振りかぶれば、悪魔ハンドは両手で防ぎ、悪魔ハンドが咲を潰さんとしても、咲も大きな防御魔法でそれを防ぐ。


咲が仄葉を傷つけないように、しかし、オドの摩耗を加速させるように、魔法の強さを調節しながら戦い続けること5分。


早くも、再び私の出番が訪れる。


仄葉の態勢が崩れ、魔法の弾幕が薄いところを縫って、私は仄葉の背中を切りつける。


ゴメンっ、仄葉!!

  ブシャーッ!!

〔ダィーーッ!〕


不思議な声とともに、血しぶきが噴射する。


数秒の内にしぶきが収まって、数秒の沈黙。


そして、さらなる変化が訪れる。


何やら、仄葉の背中からスライムみたいな何かが出て来ている。


「竜!一回離れて!ちょっと一発強めの撃つよ!!」


「わかったわ!」


「コンプレッシブ~ッバイトッ!!!!」


咲が今度放ったのは風系統の魔法。強力な風圧と威力でスライムらしきものはなくなった。


…………


『「「え?」」』


なくなったはなくなった。仄葉と一緒に。


「待って待って!あたしそんなに強い魔法使ってないんだけど!?!?」


「落ち着いて、咲。一旦仄葉の気配探してみて?」


「…………、いや、感じない!シュニーさん!取り敢えず合流しよう!」


『分かった!ミリア、バトルサイドは一時平穏になったからに戻ろう。』





『すぐ来るって!』


「「分かりました!」」


『さっきの感じと咲ちゃんの言うことが本当なら、逃げたって考えた方がいいね。ちょうどいいし、皆の話を纏める時間にしよう!』


「それがよさそうですね。」







しばらくして、海璃和が戻ってくる。

「お待たせ!皆!それと、、」


「皆、済まない。微力ながら手助けさせてもらう。一緒に仄葉を助けてくれ。」

「我もしっかりと手助けさせてもらうぞ。」


「「宮椋博士っ?!?!……と大蛇??」」


「こっちはチロちゅんなんだって、、」


「「????????」」


「そうなると思ってたから、落ち着いて取り敢えず博士の話を聞いてほしいんだ。じゃあ、博士、お願いします」


「ああ、ちょっと長くなるが、咲君も竜君も少し我慢して聞いていてくれ」


・・・・・


いや、本当に、約束っていうか、自分で宣言したことすら守れないから留年することになるんですよね。


本当に嘆かわしいばかりです(←いや、他人事みたいに言うんじゃないよ!)。ほんと、すみません善処します。


読んでいてくれる方々に感謝を。次回は必ず土曜に出します。


2020/7/14 少し訂正しました。


2020/8/25 サブタイトル付けました。


2021/9/15 一部表現変更・追加

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