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13: 天井裏への梯子の先には可愛い服と謎の棒

5/10色々訂正しました


8/25 サブタイトル付けました。

「もしかして、金髪の君、無生物系魔法が使えるの?!ねえ、良かったら私と契布を編んで契位魔法士になってくれないかな?」



 そう声を掛けてきたのは、なんといえばいいか、創作作品の中から飛び出してきたかのような生物。


ヒッポグリフに跨った、、獣人、、ではない、多分虫人とでもいった方がいいのかな。


羽があって、腕が4本、脚が2本あるから、虫、なんだろう。


顔は虫と人間の間みたいな感じだけど、キモくはない。



 それよりも、

「契位魔法士って何っ?どういうこと?契布ってなに?そもそも、私魔法使いじゃなくて、異能持ちだけど?」



「せっかく助けてあげたのにその態度はないでしょー。うん、まあ、契位魔法士の誘いは急だったから仕方ないけど、そうだねぇ、何から話せばいいのかなぁ。こちらとしてもよく分からないことあるし。仕方ないから私の方から話してあげるよ!」



 そう言うと、突然この世界の魔法についての授業が始まった。



 この世界の魔法は、熱系、流体系、重力系、電磁系、無機系、生命系の6種類に分かれていて、どの生物も一個体に付き一属性しか持つことが出来ない。


魔法を使えない個体はいなく、遺伝もしないらしい。


そして一個体では、不十分な効果しか得られないので、複数個体で魔法を行使するのが普通らしい。



 熱系魔法は、加熱、冷却をはじめとした温度にまつわる魔法。


温度差を作るなど環境からアプローチしていく。


生活のための魔道具にも多く使われているらしい。汎用性は高そうだね。



 流体系魔法は、水などの液体と空気などの気体を制御できる魔法。


戦闘においては、単体だとあまり役に立たなく、くみ合わせて使うしかないみたい。


生活面では蛇口的な扱いをされるらしい。なんて不憫なんだ。



 重力系魔法は、文字通り重力を操る魔法。


単純に物の重量を変えるだけでなく、浮かせたり、浮いた状態で向きを変えたりできる。



 電磁系魔法は、電気や磁場を操る魔法。


この世界では、まだ有用性が理解されてないみたいで、この魔法を使えても貧乏くじを引いたという扱いになっているんだって。


元の世界にあったらサイバーテロとかに使えちゃうね。



 無生物系魔法は、流体を除くあらゆる無生物な物を制御できる魔法。


制御と言っても、曲げるなどの変形、素材を組み合わせての合成や生成、組み立てといったこと。


単体でも役に立つが、持つ個体は他の系統に比べ少ないそうだ。


私の異能とは全然違うと思うんだけどね。



 生命系魔法は、元の世界でいう補助魔法にあたる魔法と他の生物の制御ができるという魔法。


補助魔法にあたる部分は回復とかバフ掛けとかの+な部分だけでデバフ系はできないっぽい。


他の生物の制御は、動物を使役したり、植物の成長を操ることが出来るみたい。


かなり希少な存在らしい。


確かにそんな能力者がたくさんいたらやばいね。



 そして、どの魔法も上達すればするほど効果が大きくなる。


効果自体の性質は変わらないけど、熟練者と初心者では規模が全く違うらしい。


そういうところは前と一緒。



「っとまぁ、魔法に関してはこんな感じ。??なんか不思議な顔してるね。なにか気になるのかな?」


「いや、その、、そう、デスネ!不思議だなと思っただけデス!皆魔法が使えるノニ、契位魔法士とかいうのがなんで特別扱いされてる感じなのかなト」


「、、なんかさっきと口調違うけどまあいっか。それにしても、なるほどねぇ、そこに疑問を持ちますかぁ。鋭い。うんうん。あっ、そういえば自己紹介がまだだったね。私は、神聖なるルリボシカミキリ様の懐刀であるトドノネオオワタムシの虫人(むしびと)、ラウガット=シュニーだよっ。私の魔法は、生命系っ!じゃあ、契位魔法士の説明するね!」


「あっ、渦井・S・海璃和って言いマス」


「えっ、わ、私は椿島竜よ」


「んにぇっ、ふぁっ、ふぁたしはっ!紫岸咲ッ、、ん」


「おっ、おう。。後で教えてもらおうと思ってたけどまあいっか。それじゃあ改めて、契位魔法士の説明するねっ!!、、、、」



 確かにこのタイミングで自己紹介は違うか。


というか、ほんとに虫の人だった。


そして、生命系魔法が使えて、名乗り的に実は大分地位の高いお方なのでは!?!?

 


 咲はうたた寝してたな。


まあ、ご飯後でこんなに忙しないというか、意味不明な状況でよくわからないことを長々と話されたら眠くもなるか。




 二限目は契位魔法士について。


世界の平和を守るというのが主な使命らしい。


どうしてこの世界でそんな存在が出て来てしまうのか。


それは、付加価値の付いた魔法を使える個体が時々現れるからだという。


付加価値の付いた魔法を使える者同士はお互いにそれを分かり合えるそうで、神の御使いみたいな立ち位置にいる彼女らは、皆付加価値の付いた魔法を使え、その不思議な感覚を使って契位魔法士を増やしていくのが使命になっている。


一人の虫人に付き一人の契位魔法士しか契約は出来ないそうだ。



 では、なぜ、付加価値の付いた魔法を使える人を契位魔法士にしなければならないのか。


それは、契位魔法士にならなかった付加価値の付いた魔法を使える個体がそのまま一定年齢になると人間以外の生物なら魔物、人間なら魔人や悪魔になって周辺環境の破壊などで世界を荒らすようになるそうだ。


つまり、契位魔法士は、少し特殊な魔法を使える人が世界を守るために契約させられた人達ってことだね。


人じゃない場合は、契約すると魔法神獣となって、契位魔法士の援助をしてくれるらしい。



 そして、虫人とはどんな存在かも教えてくれた。


それは、契位魔法士になれる存在を見つけて、契約を取り付けて(これを契布を編むと言うらしい)契位魔法士にする存在。


昔はただの虫だったらしいが、一部の美しいとされる虫達が何かの力によって虫人へと昇華されたそうだ。


昇華出来る虫達の条件は非攻撃的な毛を持っていたり、色が綺麗だったり、情緒的であるかそうだ。



「私から教えられるのはこの辺までかな。、、、じゃあ私の質問にも答えて貰おうかな。えーっと、さっき名前は聞いたから、使える魔法とこの世界の異変について何か知ってたら教えて!」



 魔法関係の話はいろいろとややこしくなりそうだし、竜は難しい顔してるし、咲は寝てるから魔法よりも、、


「じゃあ、先に世界の異変について情報共有をしまショウ!まず、私達は元々違う世界の住人デス。数時間前に惑星ごと転移させられマシタ。元の世界と色が違いすぎて困惑してマス!」


「惑星ごと、、なんだって?テンイって何!!さっき言ってたイノウって言うのも分からないし、、」


「えっと、転移は、私も教えてもらったことだからいまいち分かってないデスけど、多分、世界が違う世界に入っちゃうことだと思いマス!」 


「んんん、なるほど、、なんか合体しちゃったんだね。で、イノウってのは?、、、」


「とりあえず見ててくだサイ!、、、じゃあ、気球が欲しい!」


 ドドンッ

とさっきの気球が現れる。



「んんんん?確かに、魔法とは違うのかな?でも魔素の変質は検知できるんだよなぁ。詠唱に関してはまあなんとでも言えるから比較検証できないしなぁ。少なくとも見たことある無生物系魔法の発現と違うということは分かる。でも、私はミリアちゃんを付加価値の付いた魔法を持ってる人って認識しちゃってるんだよなぁ、、あぁ、付加価値の部分がデカすぎて本来の無生物系魔法の部分が矮小に見えてるって可能性はある。!!」




 早口でなんか言ってるけど、聞き取れる部分の内容を考えても多分違う気がするんだよなぁ。


元の世界なら、魔法使い一人で十分効果のある魔法を使えるのが普通で、異能者は制限付きの魔法みたいな効果が限定的な条件で使えるっていうだけだ。


私の場合は、他に類を見ない“ものの生産”という効果なだけで、そもそも魔法じゃない。


もしかしたら仄葉なら何か知ってるかもだけど、今は無理か。


シュニーさんの方も考えはまとまったかな?



…………


…………



「えっと、シュニーさん?とりあえず、もう一人魔法使える子いるんでそれ見てもらえます?」


「ほぇ?んん?んんん?二人じゃなくて?」


やっぱりそう思うよねぇ、、


「えっと、元の世界では魔法を使えない人が居るのは当たり前だったのデスガ、この世界の方からすれば不思議ですヨネ。。」


「なるほどなるほど。、、もう、いろいろ法則が違うんだね。ここまでくると、世界が合体しちゃったことが良く分かるよ。。うん。。」


「そうデスネ~。じゃあ、ちょっと起こしますね!咲!!さぁ~きぃ~!起きて!」

 

熟睡してんなぁ!


起きろや!!オラオラ!

 

……


こんなに一生懸命揺すってんのに起きない!はぁ。


「よく考えたらこんな状況でもお互いを敵と認識しないでおしゃべりできているのは素晴らしいデスネ!私たちの本能に感謝デスネ!」



「。。確かに。。。そういえばミリアちゃんは私の事を何か特別だなぁ~とか感じない?」



 特別と感じるか、か。


たぶん付加魔法を使える者同士の認知を確かめようとしてるのかな。


そうねぇ、一応さっき名乗りから特別なのではとは思ったけど多分そういう事じゃないんだよね。


まあ、とりあえず思ったことは言っときますか。



「えぇっと、うーん、さっきちょっとだけ思いマシタ。」


「そうかー、ちょっとかあー。その感覚は一瞬だけだった?」


 一瞬考えただけだねぇ、でも、あれだね、なぜか安心している自分がいる事も確か。


「ハイ!でも、特別だ~とは思ってまセンガ、なぜか安心する感覚はありマス!」


「、、、、そのなぜか安心できる感覚は今もある?」


「はい!」


「うんうん、これは大丈夫かな。ふう、ひと安心」


何が?

「??」


「んん?ああ、気にしないで!こっちの話!、、」


「んふわぁ、おはにょ、、、、、わあぁ!!!」


おお、なんか切りのいいところで起きたね。


「おはようデス、咲!せっかくシュニーさんが色々教えてくれてたのに寝るんじゃありマセン!」


「んふっ、げふっ、あ、あぇ?えっ♡、えっ♡、ミリア、どうしたの、その格好。。。♡」


 なんか咲が興奮してるような、、


「はい?恰好って、別に家から出てきたまんまd、、、、、、、、、、、」




「なんじゃこりゃ~~~~~!!!!!!」



 えぇっ、どうして!!


こんなフリフリな服になってるの?!?!


可愛いけど!!


魔法少女みたいな感じになってる!!


うわっ、くそはずかしぃ!!


なんか、ちょっとスースーする!ふりふりスカートってやっぱハズイ!


顔が赤くなってるの分かるし、めっちゃ一気に体が熱い!!!


あつい!!

めっちゃ、めっちゃ熱い!!!!!


ええっ?なんでっ??



「どっ、どういうことなの?!!シュニーさん!」



…………



 あれ?いないっ!?グリフォンがこっちを向いてるだけだ。。



『ここだよ~!』



!?!?頭の中に直接!!



「えっ、本当にどこにいるんですか!?」


『ここだよ~。ミリアちゃんの中♡』


「何が、どういう、えっと」


もう頭の理解の容量を超える現象すぎる!



 ポフンッ


今度は何!?


『いや~、ゴメンね~、ミリアちゃんちょっと逸材すぎるから本来の契布編みの儀式をちょっと強引にやって契位魔法士になってもらったよ♡』


「へ?」


 ぬいぐるみ?がシュニーさんの声で脳内に直接語り掛けて来てる??


『あと、さっきの話しの中で色が元の世界と違いすぎて困ってるって言ってたから、3人には私が見えてる色の情報を渡しておいたよ!だから今見えてる色は本物だよ!』 


 そうなんだ。


じゃあこのフリフリの白は私の金髪に合わせてくれたのかな。


確かに似合うけど。


アクセントになってる紺と差し色に入ってるベージュも確かに可愛いけども!


ハズい。


いや、そうじゃなくて!!



『あと、まだ気づいてないみたいだけど、竜ちゃんも寝てるよ?』


「えっ、竜は私と一緒にシュニーさんの話聞いてたでしょ?、、あれ、、寝てる、、」


『じゃあ、起こすね!』


「はっ、あれ、私、寝てた??ごめんなさい!シュニーさん!!。。」



うおっ、急に起きた。そして真面目。でもなんで?


「あれ?海璃和、シュニーさんは?」


「これ」


そう言って、私の肩の方で浮いてるぬいぐるみを指さす。


「何言ってんのっ、海璃和!ふざけて私でからかってないで教えなさい!」


『まあまあ、落ち着いて!竜ちゃん。状況は私から説明するよ。』



会って間もなくぬいぐるみになってしまったシュニーさんによる3限目の授業が始まった。



 この混沌の状況になってしまったのは、ずばり、シュニーさんの生命系魔法の付加効果のせいだった!!


付加効果の内容、それは、普通の生命系魔法にはない、効果対象の生物の末端神経までを自在に操るといったもの。



 この状況に至るまでの段階はというと。


①私を付加効果のある魔法使いと認識して、落ちてくる私たちを助けた。



②私としっかり対話するため、一応何の魔法使いか分からないけど魔法使いであることが分かった咲をおとなしくさせるために咲を強制睡眠状態に。


普通、他人に効果を使う際、信頼されてないと抵抗魔力が働いて、効果がデバフ的かどうかに関わらず強くかからないらしいんだけど、咲は疲れてて抵抗する間もなく眠ったとのこと。


で、なるべくそういうのがバレないように、私に軽い認識齟齬の効果を掛けるつもりだったんだけど、一回自己紹介の流れになって、起きちゃったときに、それはバレたと思われた。


でも、私が、ちゃんとした(?)理由で、寝てる理由を勘違いしたので問題なかったと。



③今度は、先に私に認識齟齬を軽くかけて、咲と竜を眠らせた。



④その後、私と語り合い、シュニーさんは自分の中の確信と感覚を信じて、私の異能を強い付加魔法の付いた無機系魔法と判断した。



⑤加えて、私が契位魔法士の精神的素質も高いと見たシュニーさんは、私にそこそこ強めの齟齬を掛けて、私の髪と自分の髪を私に編ませた。


勿論私はそんなこと覚えてない。これで、無理やり契布を編むという儀式を終わらせ、私を契位魔法士にした。私の異能はこの世界の魔法だったみたいだ。



⑥そして、人を契位魔法士にした虫人は、神聖な力とほとんどの自我を魔法士に預け、魔法士と一体になり、残りカスがぬいぐるみの様な、マスコットの様な状態になるらしい。


シュニーさんの場合は、雪の様な白の綿あめみたいなモノに愛くるしい目がついて、妖精みたいな羽が生えた可愛いぬいぐるみである。



『あと、最後にこれは言わせて。


ミリアちゃん、落ちて死ななくても、体の中、ボロボロだったよ。そんな体じゃ、あと、数年で死んでた。


人間なのに20年も生きられないのは悲しすぎる。それを回避するためにも、ミリアちゃんには、私が必要だった。


魔法士の中にいる虫人は自我だけだけど、私たちも魔法は使える。体を消すのは、2人を1人にして強靭な協力関係を築くためでもあるんだ。


そして私は、それだけのためじゃなくて、私の付加効果(ちから)をミリアちゃんに使い続けることでなるべく長く生きててほしいと思った。


この助けてあげたいって思った気持ちはホント。


それだけは忘れないで。


多分だけど、私には分かるよ。もう一人大事にしてる友達がいるって。


その子が悲しまないためにもこの力を受け取ってほしい。


私もちょっと怖かったんだからね。ミリアちゃんの力がこの世界の魔法と一致してなかったら、

私、完全に消えるかもしれなかったんだから。』



 まじか。私、余命数年だったんだ。




そっか。。。




「ぼっ、ぼんとに、わ”たし、あ”ど数年(す”うねん)で死んでだの?う”う”っ、ん”ん”っっ、あ”りがどう”!!ジュニーざん!!こ”わ怖がったですよね”っっ、本当(ほん”どう)に”、本当(ほん”どう)にあ”りがどう”!!ジュニーざん!!!」















ひとしきり泣いて思った。どうしてだろう。


仄葉も気付かないくらい小さな損傷がたくさんあったのかな。


仄葉くらいの上級魔法使いなら分かったんじゃないかな。


この世界の魔法ならさっきの説明通りなら代償はないはずだし。効果の制限はあるけど。


本来の世界じゃないと副作用が働いちゃうのかな。


その副作用の部分が取り上げられて“副作用という効果がある”魔法を異能と定義したのかな。


私の魔法の場合は元の世界の法則で発現すると副作用として寿命を削るというモノだったって事?


いや、ヤバすぎ。


そして良かった。生きてて。この世界に来られて。











 そして思った。

高校生にして魔法少女になってしまったのかと。

無機系魔法→無生物系魔法に変更しました(7/14)

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