12: 戦車は飛んだ。飛行機は落ちた。
ふーっ、5/3の27:08に投稿できた!。
はい。何でもないです。
私は渦井・S・海璃和!
私は異能力者で、皆には内緒にしてたんだけど、3時間前に突然、何の相談もなく仄葉にバラされちゃって、急に物凄い怒りがこみあげて来て仄葉の首を絞めちゃった。
バラされた瞬間は、とても悲しかった。
でも仄葉の事だから、ちゃんと理由はあるんだろうなって思って、それで、後でちょっとだけ問い詰めようとは思ってた。
そしたら、本当に急に怒りが湧いてきてあんなことしちゃった。
そこから色々訳が分からない展開が始まった。
いくら何でもあれはやりすぎたと思って、部屋の中で物に八つ当たりしてたら、今度は何の前触れもなく部屋に空洞ができて紫色のオーラをまとった戦車が、私に背を向けるように現れた。
そこから戦車と戦って、戦ってる間に外に出たら外は外で世界が丸っと変わっちゃってた。
それで、なんとか戦いをしのいだ後、周りをみわたし林地から皆で観察したんだけど、色が全然違くて、みんな頭がごちゃごちゃになってた。
空には変な生き物も飛んでるし。仄葉のチロちゅんもいつの間にか居なくなってるし。
それで、咲が気づいた群青色のもやの正体を探りに来たんだけど、それが燃える何かってわかったとたん仄葉が多分魔法を使って、物凄いスピードでどこかに向かって走り出したから、私たちも追いつこうと思って、私がマジカルスクーターを出して、咲に火力役を頼んで、爆速で進んだはいいんだけど、
いいんだけどもっ!!
咲が、細かい魔法制御ができないせいで、空まで吹っ飛んだ。
咲のノーコンなとてつもないエネルギーをはらむ指向性爆発のせいで、仄葉が曲がったところで、うまく曲がれず、曲がるどころか一回転半して、降りてきた坂を爆速で登りそのまま天に発射された。
ゴーーーーーーーーーー
「どっ、どうすんデスカ!!咲!」
強圧な風圧の音におびえながら、未だに上昇を辞めないマジカルスクーターの上で叫ぶ。
「いやっ、そんなこと言われても無理だよ!」
「氷が張ってあるわけでもないのにどうしたらこの板があんなスピードになるんデスカ!」
「ちょっと、、、空の上で、喧嘩なんて、しなくていいから、、、早く咲、、、どうにかしなさい!」
竜が、(たぶん)とても青い顔で、どうにか声を絞り出してる。
高所恐怖症の竜には地獄だね!
いや、そんな吞気なことを言ってる場合じゃない。
私も、この異能でできること考えなきゃ。この見たことがあるものを作る力で。
飛べるモノを挙げてみよう。この状態で使えそうなものは、、
パラシュート。パラシュートなら確実だけど見たことない。できない。却下。
飛行機。外部構造しかわかってなくても意味ないからな~。
知識があれば多少の補完はできるけど、飛行機の内部構造についてはよく分からないから無理だな。
ヘリコプターも同じく駄目。
凧あげの凧。いやいや、無理がある。
飛行船。。。創作作品でしか見たことないや。
。。風船。あほ。
ドローン。知らん。
ロケット。馬鹿。。。。
あっ!気球なら乗ったことある!
「気球が欲しい!」
どどん!
といい感じの所に気球が現れてくれる。
「「おぉ!凄い」よミリア!」
「では咲!少しずつ前にエネルギーを出して、この推進を抑えてうまく気球に近づいてクダサイ!」
「うん!分かった!ちょっとでいいんだ。ちょっとで。うん。」
「ちょっと。」
ボフッ
「ちょっと。」
ボフッ
咲が自分に言い聞かせるようにしながら、魔法を使っていい感じに気球に近づいて行った。
これなら何とかなりそう!よかったぁ。
「竜、ミリア、3、2、1で飛ぶよ!」
「分かった!」「。。ぁぃ。。」
「「3」」
「「2」」
「「1」」
「「ジャンプっ!」」 「ぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
「「よっしゃー!」」 「ぁぁぁぁぁぁぁぁ、ぁぁ、ぁ、ぁ」
「大丈夫?竜。お疲れっ!」 「ぁ、ぃ、ぉ、ぅ、ぅ、」
「お疲れデース!」
ふーっ、とりあえず一安心!
さて、ゆっくり下界に戻るとしますか!
ここはどこらへんかなっと。
…………
そういえば、色が変わってたんでした。
…………
「ねぇ、咲、ここどこらへんだと思う?」
思わず素の口調で聞く。特に問題はないけど。
「、、あの赤く筋みたいになってるのは多分川。さっき、ほのに水魔法かけた時水の色が赤かったから川というのは間違いないと思う。そして、よほど飛んでない限りここら辺の大きな川と言ったら一つしかないから、、、、そこまで飛んではない気がするんだけど、立王川の上空ということは間違いないとおもう」
「。。。飛びまシタネ!!」
「ゴメン!」
「スマホで確認しましょう!二人は持ってマス?」
「「ないわ」」
私もない。オワタ。
「うーん、どっちに飛んだんデスカネ」
聞かなかったふりをして、考える風に呟く。
「方向なら南東方向だと思うわよ。」
竜が籠の中でうずくまりながらそんな風に答える。
南東方向に飛んだなら、帰るべきは北西方向。
しかし、夜。おまけに色違い。
月らしい存在も見当たらない。おそらく曇り。
加えて、今まで通り月と太陽が東から西に軌道を取るかもわからない。
現状、方角を確実に掴む方法はない。
そもそも、この深緑が雲である保証もないし、衛星とか恒星がない世界だとしたらもう。
うん、ツンダ。
「分かった!あたしの超強力風魔法で雲と思しき深緑を吹き飛ばして月らしき存在を探すっていうのは!?」
「そんなことしたらまた宙に放り出されてしまいマス。やめてくだサイ!」
いい案を思いついてドヤりかけてた咲は、そのまましょげて籠の中に沈んでいく。
はぁ、マジでどうすんの!
…………
…………
「あっ、方位磁石があればいいデスネ!さっきチロちゅんが惑星ごと転移したって言ってマシタ!ということは、仮に方位がずれていたとしてもおおよその方向は分かりマス!」
「確かにそうね!」「ミリアって天才だったの?!?!」
ふっふーん、どんなもんですか!!
「ではっ!、、方位磁石が欲しい!」
ポンッ
「ようし、これで方向を見まショウ!えーっと、」
「でも待って。現状の方位が全く分からないから方位がずれてるか分からないわ。」
「「、、確かに!」」
くそーっ、比較的現実的な案だと思ったのに!!
「でも、ズレてるか分からなくてもとりあえず進みまショウ!このままでは帰れマセン!」
「それもそうね。」
「それデハ、咲っ、お願いシマス!あっ、勢いは気を付けてくだサイネ!」
「分かってるって。。。ふーっ、、行くよ!」
咲は、集中力を高めて力強く、しかし柔らかい風魔法で気球を前進させていく。
うん、この勢いならしっかりと着実に進めそう。
「ねえ、海璃和、望遠鏡とか双眼鏡とかは出せないの?」
籠から少し顔を出しながら竜が私にそう聞く。
「双眼鏡なら出せますけど何に、、そっか、下の地理から方角を割り出すんデスネ!分かりマシタ!。。双眼鏡が欲しい!」
ポンっ
「便利ね、その異能。えーっと、、おおっ、この双眼鏡凄く性能いいわね。。。」
そんな感想を漏らしつつ、首から上だけが籠の外に出るように工夫しながら竜は周囲を見渡している。
「あっ、橋が見えるわね。、、あれは立王大橋で間違いないわね。別の県まで飛んでたら話は違っちゃうけど、ここら辺でアーチが連続してある橋と言ったら立王大橋しかないわ。そして、立王大橋があるということは八島市上空ということになるわ。」
「八島市デスカー、ずいぶん飛びましたね。軽く10kmは超えてマスヨ。とりあえずは、川に沿ってもう一つ橋を見つけまショウ。咲!お願いできマスカ?」
「分かった!お安い御用だよ!」
しばらくはこうやって進むしかなさそう。
もう一つ橋が見えれば方角の検討はつくんだけど。
それっぽい形も見当たらないし、しばらくは、咲に任せますか。
状況は状況だし、色もごちゃごちゃだけど、なかなかに壮観な景色だな~。
気球に乗って川下りなんてなかなかできる事じゃない。
まあ、登ってる可能性もあるけど。
緑の空に赤い川、町は薄灰色とそれに近い色で塗られ、草木は紫、黒に染まっている。
さっきとは少し景色も変わって、緑の空の一部は黄緑に少し明るくなっている。
乗ってる気球を改めて見てみると、球皮はピンクと茶色の縞々で、籠は水色。
バーナーから出てる炎はやはり群青色だ。
そして、恒星や衛星っぽい輝きはみえない。
「どうですか竜、何か変化はありマスカ?」
「うーん、もう少し進めばあそこに見える橋っぽい影の正体が分かるかもしれないわ。」
「そうデスカ~。咲はどうですか?疲れてませんか?」
「ん~、まだ大丈夫。でも、二人じゃ気球を無理やり動かすことできないでしょ?できるだけ頑張るよ!」
「分かりマシタ。無理はしないでくださいネ。どうしてもの時は言って下サイ!うちわでも出して微力でも進ませマスカラ。」
「ありがと、ミリア。とりあえずは大丈夫だから周りの観察お願い。」
「OKデス!」
うちわで気球が進むかは置いておいて、本当に帰れるか心配だな。
咲は魔法の行使に集中してるし、竜も下の地理を確認してるしつまらない。
私と言えば気球と双眼鏡と使わなかった方位磁石を出しただけ。
、、いや、十分仕事してるか。
さて、上空の変化でも監視しますか。
えーっと、、、
「えっ!?」
「「どうしたの海璃和!」」
「あれを見てくだサイ!この前、ホノが暴走してた時に使ってた謎武器の巨大版が空に!」
「「。。。ホントだ。」」
「ちょっ、ちょっと海璃和、さっき出した方位磁石貸して!」
「えっ、あっ、はい!どうぞ!」
「、、、、、、そうね、方角は大体分かったわ。そこにある橋、立王モノレールがかかってたから日川橋で間違いないわ。そして、方位磁石とズレがないことがわかって、現在の進行方向は北西且つ、あの仄葉の暴走武器が見える方向と一致するわ。恐らくだけど、仄葉がまた暴走してるわ。なるべく早く帰らないと!」
「ほのっ、今行くからね!!」
「咲っ!落ち着いて魔法w」
ドヒュッ
咲の暴風が発動して球皮を空中に置いて、籠とバーナーだけになった四角いものが宙に飛び出す。
あーっっ!!
竜があせらせるから咲が魔法の制御をし忘れたじゃなーい!!
もうやだ!!
なんなの!
泣きたいんだけど!
「ちょっと竜!言い方どうにかならなかったの!?」
「ごごごごごっ、ごめっ、ごめめめんんんんんんっっ」
「咲も!!気持ちは分かるけどもっと落ち着けや!!このやろーっ!!」
「はい、、、、、」
物理で習った水平投射が走馬灯のように現れ、無意識にそれを解こうとしてしまうのは、現実に水平投射されていることからの逃避。
ああ、本当に短い人生だった。
お父さん、お母さん、先に逝ってるね。
ごめんなさい。
咲によって与えられた水平方向のエネルギーは今、空気抵抗によってほぼ失われ、四角いものは自由落下を始めた。確実に死ぬし、このスピードの中で何か抵抗しても無駄だと冷静な私の一部が私に告げる。
流石に、無理。
今までありがとう。
ごめんね、仄葉。
覚悟を決めて私は目を瞑った。
そして、地面に
つく寸前でやさしい力に包まれ、私たちは無事に地面に着いた。
そして。
「ねえ、君たち大丈夫!?空から降ってきたからビックリしたよ!んんんん?もしかして、金髪の君、無生物系魔法が使えるの?!凄くちょうどいい!私と契布を編んで契位魔法士になってくれないかな?」
2020/5/7
生成系魔法→無機系魔法
魔法少女→契位魔法士 に変更。
2020/5/10 色々訂正
2020/7/14 無機系魔法→無生物系魔法に変更。
2020/8/25 サブタイトル付けました。
2021/9/14 セリフが混ざってたので修正
2021/10/29 先の話と情報を一致させるため、父母の情報を削除
それ以外も色々修正