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異世界の放浪記   作者: owl
26/121

帰ってきました

その日の朝、俺とオズマはしれっと盗賊団二十三名を連れてリバルフィードに戻ってきた。

馬車は冒険者の皆さんが帰るのにすべて使われてしまったので

俺はオズマに元の姿に戻ってもらい、ガルダ盗賊団の一味は指輪に収納し、その背中に乗ってきたのだ。


今回は例の指輪のチェックも兼ねさせてもらっている。

ゲヘルの話よれば長い間生物を収納すると精神と肉体が乖離し、

最悪死んでしまうこともあると言っていた。

今回の移動時間はおおよそ一時間ほど。

少しだけ心配だったが指輪から出した盗賊の身柄に全く異常は見られない。

このぐらいならば問題はないことがわかった。


盗賊団の身柄はリバルフィードにつくなりギルドに引き渡した。

手続きが時間がかかりそうだったので、焦っているとオズマが引き受けてくれる言ってくれた。

正直なところまだ文字には不慣れなのだ。

ギルドでのやり取りはオズマに任せて俺は一足先に宿に戻らせてもらった。


セリアが心配だったためだ。

人気のない路地に入るとそのまま跳躍して屋根の上に飛ぶ。

尾行を振り切るためだ。

実際数人は俺の後をついてきていた。

一直線で北の門にある『ペッケトッケの宿』に向かう。


俺は部屋のドアを開ける。

「セリア…無事か?」

俺はセリアの姿を確認し胸をなでおろす。


セリアはこちらを見つけるなりいきなり無言で抱きついてきた。

不意をつかれた格好となり、俺はそのまま床に尻餅をついた。

心細かったのだろうか。

「もう大丈夫だ」

俺はそう言ってセリアの髪を撫でる。

「…次は絶対ついていくから」

耳元でそうささやかれる。

「…ああ」

いつもの彼女に少しだけ安堵する。

俺はしばらく彼女のされるがままになった。



夕方になるとオズマが宿にやってきた。

「オズマ、全部任せてしまってすまない」

俺はねぎらいの言葉をかけた。

頼りになるよ、ほんと。

オズマを選んでくれたラーベさんに感謝。


「ユウ殿、気になさらず。こういうのは慣れておりますので」

笑みを浮かべながらオズマ。

オズマはここまで来る途中、十数名に絡まれ全員返り討ちにしたらしい。

間違いなく領主の手の者だろう。

領主、かなり必死っぽい。

そろそろ実力行使してきそうだ。私兵とかかなり持ってるみたいだし。


「それじゃ、どうなったか教えてもらえるか」

オズマからもたらされた情報は大方予想通りの内容だった。


同行した冒険者たちは皆無事だったようだ。

あの夜、『ルプスティラント』(オズマの真の姿)を見た冒険者は

馬車に乗って一目散にリバルフィードに逃げ帰ってきていたそうな。

負傷者は多かったが死亡者は奇跡的にいなかったとのこと。


命からがら逃げ戻った冒険者たちは当惑していた。

それと言うのもキラーエイプの魔石を野営地に忘れてきてしまったためだ。

だが『ルプスティラント』がいるために誰一人として戻りたくない。


そんな中俺たちが盗賊を引き連れ戻ってきた。

俺の持っていったキラーエイプの魔石は盗賊と一緒にギルドに渡され、キラーエイプの討伐の証拠になった。

その結果、報酬は討伐者全員に配られることになった。

(もちろん俺たちの報酬も支払われた)

オズマによれば冒険者たちに俺たちは相当感謝されていたらしい。

置いて行かれたことに対しては不満はあるが無事で何よりだ。

現在、『ルプスティラノス』出現により魔の森周辺は立ち入り禁止になっている。

テント等はそのままなので誰か撤収してこなくてはならないが、

それはギルドの方にまかせることにしよう。

実際はいないし。


次に俺たちの捕まえた盗賊の件だが、体にあった刺青からガルダ盗賊団だと判明したらしい。

ダーシュの言った通りだったわけだ。

今日の午後、続々と衛兵が隣街から護送車で到着し、王立裁判所に身柄を移送させられたという。

これは間違いなくダーシュの手によるものだろう。

これで領主はガルダ盗賊団に手を出せなくなった

ダーシュの迅速な動きには脱帽する。


最後に宿の件だ。

始めに宿泊していた宿の方は領主の私兵に荒らされていたという。

俺たちのいない間にセリアを探しに来たのだろう。

ダーシの言うとおり宿を移動させていて本当に良かったと思う。

俺は明日にでも出向き宿の主人に修理代として少し多めの金を手渡すことにしよう。


これで俺から最後の情けは完全に消え去った。

領主バルマ・ボールダー、そっちがその気なら徹底的にやってやる。

先に手を出してきたのはそっちだからな。


すべて滞りなく終わったかに見えたが一つだけ大きな誤算があった。

これはかなり後で気づくことなんだが、

ガルダ盗賊団の捕縛の一件が俺の名前で登録されていたらしい。

これに関してはオズマに指示してなかった俺が悪い。

あの時はセリアのことが心配でそれどころではなかったのである。

後でちょっと…いやかなり後悔するのだが…。

それはちょっと先の話になる。



その夜更け、俺とオズマは崖の上から領主の屋敷を見下ろしていた。

バルマ・ボールダーは領主の地位をはく奪され、私兵を集め自身の屋敷に引きこもっているとのこと。

領主でなくなった今、私兵を隠すつもりがないのだろうか、

屋敷の庭にはところどころ私兵が立っている。

屋敷の中はもっといるのだろうな。


これならばまあ…死にはしないだろう。


ちょっと眠いが始めるとしようか。

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