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異世界の放浪記   作者: owl
23/121

雨の中の討伐です

その日は朝から雨が降っていた。

俺たちは支度をするとキラーエイプのいるという魔の森に入る。

森の中はうっそうとしていて、深い緑に覆われ朝だというのに暗い。

雨のせいか足元はぬかるんでいて少し進むだけでも大変である。


森に入って二時間ほどでキラーエイプの群れに遭遇した。

統制され組織化された慣れした動きに翻弄される冒険者たち。

木の上から人の頭ほどの石や巨大な実を落し、

爪や牙でひっかいてくる。


弓を使うも、木の枝に阻まれ思うように当たらない。

それにこの雨。足場が悪ければ視界も悪い。

けが人も少しずつ出始めている。

一匹も仕留められていない。


一言でいえば戦いずらいのだ。

木々を縫うように移動し、ヒットアンドアウェイの繰り返し。

群れを一匹とするならレッドベアと同じぐらいの討伐難易度はあるかもしれない。


「今日は撤退か。こりゃ長期戦になるな」

そう指揮官がつぶやく。

その呟きは後方支援で待機していた俺の耳にも入ってきた。

冗談じゃない。俺はこんなところで足止めを食うわけにはいかない。


「どうした兄ちゃん」

俺は撤退しようとする冒険者をかき分け前にでる。

セリアが心配だった。

宿に一人残してきたことに多少の後悔していた。

あまりここで時間を食うわけにもいかない。今回は出し惜しみなしだ。

とっとと終わらせて帰らせてもらう。


「魔石の回収は任せる」

俺は周囲にそう言い残すと手にした石を投げつける。

ポンとキラーエイプの頭がはじけ飛ぶ。

正確無比で銃火器並みの破壊力。

かなりチートな能力だと思う。

「すげえ」

「まじかよ…」

一緒の冒険者は信じられないと言った様子だ。

手を止めることなく俺は石を持ち投げつける。

俺はキラーエイプの頭部に狙いをつけ正確に打ち抜く。

ただ淡々と、機械のようにその作業を行っていく。

キラーエイプは仲間の死に興奮してるのだろうか、ひるまずにこちらに向かってくる。

こちらにとってはありがたい。


何匹倒したかわからない。

目の前から標的が消え去り、集中を解くと森は惨劇現場になっていた。

足元はキラーエイプの頭がない死体と血で埋め尽くされている。

昨日さんざん俺を妬んでいた冒険者の表情は恐怖に変わってるし、

オズマは神を見るような表情で俺を見ている。

少しやっちまった感があるが今回は気にしてられない。


メキメキ…。

木が折れる音とともに森の奥から一際大きな猿が出てきた。

巨大な体躯に、大きな木を脇に抱えている。

こいつが群れの主だろうか。


「…なんだあの個体は…」

背後の冒険者が顔をひきつらせている。

後で聞いたがキラーエイプの変異種らしい。

猿と言うよりはすでにゴリラと言ってもいい大きさである。

しかし、猿からゴリラが生まれるとはどういう生態系をしているのだろうか。

森に満ちた魔素が原因らしいが詳しいことはわからん。


仲間を殺されたことに怒っているのであろう。

目を充血させ、唾を垂らし続けていた。

大きな木を振り回しながらこちらに一直線に向かってくる。

冒険者たちは恐怖し、一斉に敗走をはじめる。


石を投げてみるも手にした木に撃ち落される。

相手もそれなりに考えているらしい。

負ける気はしないがちょっと厄介である。


「ユウ殿ここは私にお任せを」

槍を構えたオズマが俺の前に出る。

オズマと巨大なキラーエイプの戦いがはじまる。


それからの戦いは凄いとしか言いようがなかった。

オズマの流麗で鮮やかな槍裁き。

無駄がなく、だがそれでいて力強く、洗練されていた。

巨大な木が空を切る轟音の中、ひらりひらりと交わしながら確実に傷を与えていく。

その巨体が倒れるまでのそれほどの時間はかからなかった。

俺も冒険者たちもその華麗ともいえる技に言葉を失っていた。


一際大きなキラーエイプの体が沈むと周囲から歓声が上がる。

こうしてキラーエイプ討伐は終わりを告げたのだった。


また一つ人間社会で生きづらくなってしまった感があるがどうでもいい。

ただ今は残してきたセリアのことしか頭になかった。


冒険者たちは手際よく魔物を解体し、すべてが終わるころには辺りは夜になっていた。


指揮官の男はその夜にキラーエイプの討伐終了を宣言した。

キラーエイプの討伐が一日で終わることは異例中の異例だという。

通常では、早くて二三日、多くて一週間ほどかかるという。

冒険者たちの俺への妬みの眼差しも尊敬や畏怖の眼差しに代わっていた。

浮かれて酒盛りをしようと言う意見も出たが、反対多数の意見で却下された。

魔の森は近くであるということは冒険者にとっては見逃すことのできない脅威らしい。


問題はその夜引き起こされた。

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