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あなたの一度の口づけで、どうにか生きてる私の話  作者: 桜井ゆきな


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6

私が妹の桜ちゃんを無視したのは、出会った最初の一回だけだ。

次の日に「おはよう」って話しかけたら、ビックリした後で、でも嬉しそうに答えてくれた。

「おっ、おはようございます。おっ、お姉ちゃん。」

きっと世間一般的にみたら地味な顔をしている桜ちゃんだけど、はにかんで嬉しそうに笑う顔はとても可愛らしかった。

こんな出会いじゃなかったら、きっと、もっとちゃんと本当の姉妹になれたかもしれないのに。


「龍の好きな人はどんな人?」

いつものようにすべて終わって隣で寝ている龍に私はこっそり話しかけた。

「‥‥‥お前には関係ねぇよ。」

寝ていると思っていた龍が目を開けて冷たい目で私を見つめた。


キスをした後で、恥ずかしくて私たちはその事には触れず、帰りの車のなかでも私ははしゃぎすぎて寝たフリをしていた。

だけど、途中で我慢できなくなって、

「先生が大好き。」

って、呟いてた。

先生はいつもみたいに優しく私に微笑んでくれるだろうか?と目を開けて見あげてみたら、先生は、顔を真っ赤にしていて、私を好きだと言ってくれた。

嬉しくて、苦しくて、幸せで、そのまま死んでもいいとさえ願った。


「真琴が待っていると思うと桜ちゃんが集中できないからご飯は先に食べてちょうだい。」

桜ちゃんが家に来て、2週間後には私はお母さんにそう言われた。

今までさすがにご飯はお母さんと食べていたけど、中学2年のその日から私は、夕飯を毎日一人ぼっちで食べている。

桜ちゃんのピアノは、防音室のおかげで実は6年経った今でもまだ一度も聞いたことはない。


「ごめん。寝てると思ったの。」

私はなんだか居たたまれなくなって、言い訳みたいに龍に言った。

「別にどうでもいい。」

龍は心底興味が無さそうに言った。

「私だって、龍の好きな人なんて本当はどうだってっ!!」

なんだかカッとして私は龍に自分でもよくわからない感情をぶつけた。

「‥‥‥お前にはあの人は相応しくねぇよ。」

龍の言葉に私はフリーズした。


『中村真琴は教師Xと付き合ってる』

そんな怪文書が高校にばらまかれてた。

高校でも友だちが出来なかった私には庇ってくれる人なんていなくて、中学の自殺未遂の噂で経験はあったけど、私は皆から遠巻きに噂をされて針のむしろ状態だった。

だけど、そんなことはどうでも良くて、私のことはどうでも良くて、私はただただ先生のことが心配だった。

担任にはすぐに呼び出されて、担任の後ろには副担任である愛しい先生もいた。

「中村、このビラに書かれていることは本当か?」

担任は厳しい目で私を見つめた。

「嘘です。」

私は担任をしっかりと見つめて答えた。

「だろうな。分かった。」

あっさりと担任は答えた。私は絶対そんなに信頼なんてされてなかったから、ただ単に問題を大きくしたくなかっただけだろうけど。それでも先生に迷惑がかからなそうだと思って、私はほっとした。

「だけどこんなビラ、書かれるほうにも問題があるんだから気を付けろよ。まったくお前の母親は三者面談もまともに来れないもんな。」

担任は吐き捨てるように言った。

担任に侮蔑されるくらい私にはどうでも良いことだったのに、先生が突然怒鳴った。

「まこっ、中村さんは被害者なんですよ!?そんな言い方許されませんっ!謝ってください!」

私は突然のことに呆然としてしまい、担任も一瞬ポカンとしていたけどすぐに持ち直して、

「中村は教室に戻りなさい。」

と冷たく私に告げた。

私はどうすることも出来ずそのまま会議室から出ることしか出来なかった。


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