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影について。

 ここから深層に向かっていきます。



 まず、影が語る「この能力は使えば使うほど死が歪になる」というもの。ここについては不透明なまま終わってしまったかな、と思います。

 話を作り始めたときはこれの本当の意味をオチとしていたのですが、「恋愛ものでその終わり方はないな」と思って、カットしました。その代わり、里中にはより一層ひどい目に合わせてしまいましたがw


 では、本題に。

 この能力は使えば使うほど歪になるので、「歪な死」の終点はどこになるのか。

 僕が思うに、「死ぬことすらできない」じゃないですかね。

 つまり、永遠に同じ人生を繰り返す。


(表向きの真相はここまで。ここからは「誰がそこまで考えるんだ」という細かい考察)


 とはいうものの、僕個人としては、「いつかこのループから抜けてほしいな」とも思います。きっと、できるんじゃないかな。

 それができないと今お前が言っただろ、とお思いかもしれませんが、そうとも限りません。作中でも、

 その後、社会人になり、後悔だけが残る。そんな彼に影は語りかける。人生をやり直さないか、と。そして彼はやり直し、一見うまくいったような軌跡をたどる。だが、その先にあるのは小南の事故。またやり直しても別の何かが起こり、それを繰り返すうちに彼は諦めることを決意し、記憶を消して大人しく一人で社会人になる道を選ぶ。すると、後悔だけが残る。そこに影が現れる。

 そして繰り返す——。

 とあります。作中で起きたこと以外でも輪廻の中で様々な悪夢に襲われた可能性を示唆したものですが、所詮これは里中の推測にすぎません。


 もし、影が嘘をついていたら?

「この能力は使えば使うほど死が歪になる」というものがそもそも嘘だとしたら?


 現に小南の事故死のように「死が歪になる」という事象は起きているものの、裏付けるには少し弱い。ラストに小南が過去に戻るとき(最初の人生。影のいうことを信じるのではあれば)にはその代償の話はされた様子もありません。

 結果として「死が歪になっている」ように見える、と影が解釈して勝手にそんなことを言っている可能性もあります。



 そもそも影の目的はなんだろう?

 作者としての表向きの設定は、「里中の幸せを願っている」というものになります。里中が最初の人生に戻るときに影が彼を止めたり、決意した彼に「残念だよ」と囁いたあたりにその感情が現れていると思います。影は里中そのものですし。(これも影が勝手に「俺はお前だ」と言ってるだけで確証はないが。ただ、ここは本当だと思う)

 影の性格は、里中が「本来はこうありたい」と思うもの。要するに、「なれなかった自分」。そして、自身の夢の中でしか現れない、自分しか知らない自分。外に出られなかった自分。

 だから、影は里中にしか見えない。あるいは、里中にしか見えないからこそ、あの性格を表すことができている。他の人にも見えるのだとしたら、影は里中自身と全く同じだったかもしれませんね。

 少し話は逸れましたが、影は「里中の幸せを願っている」わりに、決してそのことを口にしません。具体的なアドバイスもしません。最後には「よお。また会えたな、相棒。まあ、こうなるのはずっと前から知ってたけどな。ずっと、ずっと前からな」と、「幸せを願っている」ことを思わせないことまで言います。

 ただ、ここの地の文はあえて「それは、里中の声だった。」だけにして、影の声色などについては伏せてます。要するに、文字に起こせば例のごとく「里中をバカにして楽しんでいる」ようにも見えますが、本当は泣きそうなのかもしれない。悔しさを噛み締めて強がっているだけなのかもしれない。この前提で小南の事故のシーンを見てみると、少し、影の印象が変わるかも。


 つまるところ、影はツンデレかもしれない。自分の本心を隠すために「べ、べつにあんたのためじゃないんだからね!」と嘘をつくツンデレキャラ、かもしれない。笑

 序盤の方では里中は本心を表に出すことを怖がっている節があるので、そこもその裏付けになるかもしれません。小南への気持ちを誰にも明かしていないところがその典型例。自分を知られることが怖い。


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