一度活動報告で書いた表面的な後書き。
あんまりあれこれ書きすぎるのも良くないと思いますが、話の裏側を知ることでより楽しめるのならば詳細なことまで書いてみようかな、と。
このストーリーはある程度ベタな自覚はあったので、そのぶん、細かいところにはそれなりに気を配ったつもりです。
ですが、主人公が気づいていないせいで割愛された部分がたくさんあります。そういったところを中心に記していきます。
「人生は一度きり」。
僕らの人生は一度きりなんです。それを、特別な力を手に入れてもう一度、果てには何度も繰り返して。その先で成功だなんて、僕には卑怯な気がします。
そのような考えが僕にあるので、ハッピーエンドにはできませんでした。
もちろん、ハッピーエンドの方がウケはいいので、どうにかそうできないか考えましたが、やはり、できませんでした。せめて最後に少し明るく終える、くらいが限界でしたね。いつかループから抜けられるといいなあ、というくらいの。
最後の方に一度ハッピーエンドっぽく見せかけてから落としたあたりは、僕の性格の悪さが出ている気もしますが、「ここは一度ミスリードさせたかった」という理由が多いですね。全体的に不穏な空気は漂わせているので、そのままバッドエンドだと流石に能がない気がして。もっとも読者の反感を買いやすい形だとは思いますが、これ以上に自分が納得できる結末は考えられませんでした。
バッドエンドということは最初から決まっていたのですが、一度ハッピーに持って行ったりエピローグを用意したりしたのは、四月くらいでしたね。(書き始めは去年の十月)
タイトルを決めたのもこのタイミングでした。まず、あのエピローグを思いついて書いて、そこからタイトルをつけました。
このタイトルは結構気に入っています。
あのタイトルの意味に、ゾッとしてもらえたらなあ、と思いながら書いていました。一瞬の吐息(恋)も、ふたりなら永遠に。
どうでしたか?
まあ、最初から言っていたように、ストーリーについては「売れること」を一切意識しなかったので、評判が良かろうが悪かろうが別に、って感じではあります。「小南かわいいなあ」くらいの感想だけあれば僕としては十分です(笑)
不安だった点はいくつかありますが、プロローグのトリックの不安は大きかったですね。作った側としては、あまりにもわかりやすいようにも、わかりにくすぎる気もして。二周目で気づいてくださればいいかな、程度ではあったのですが。
トリックというのは、「冒頭の視点は里中ではない」ということですね。そのあと、「- s × a × -」を挟んで、「後ろから押し寄せた人の肩が、彼の肩に当たった。」で視点を里中へ変える(前半も里中だと思わせる)、というものです。
要するに「- s × a × -」は「視点が変わりました」という合図でした。
でも、「4 好きになりたい。」の「- × a × p -」はまた別の合図で。
一応これらの登場をまとめてみると、
- s × a × - プロローグ真ん中
- × a × p - 「4 好きになりたい。」冒頭
- w × r × - 「8 その恋は」真ん中
- × a × p - 「9 冬の吐息のような」冒頭
- × w × p - エピローグ
となります。半分以上答えは言ったようなものですが、残り半分はあえて言わないでおきます。たぶん、わかる、かな。
ちなみにこの「実はプロローグ前半は小南視点でした」というものは、音楽でもネタバレしてたります。これ、気づいていた人いたら褒めたいですね。
ヒントは「Let's Eat Hot Things!」及びこのシーンでのピアノ妄想の描写です。
小南を表す音は、実は三種類あって。
まず、音色。「夜は嫌いだ」などに登場するキラキラしたシンセの音は、小南関連のところにしか入れてません。
そして、モチーフ。「夜は嫌いだ」のシンセ、「四月の前」の後半、「Epilogue ~ずっと~」のフレーズ。ちなみに上記したシンセの音は大抵このフレーズか、その一部を鳴らしています。
もうひとつが、上のヒントのものです。
それ以外にも仕掛けはいくつか用意してありますので、興味があればまた聞いてあげてください。
あとは、サブタイトルですね。あんなところまで勘ぐって読んでいた人はいないと思いますが、あそこにも遊びを入れています。「1−2」なんて面倒な表記をしてみたり、いちいち全角数字を使っているのも、その遊びのためです。
だからどう、というものでもないですが、ここでもネタバレしてたりします。上から読むか、下から読むか。