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第六話 『風』

 このままではマズい。ガスマスクは取られ、さらにもう既に貧血気味だ。そのため新しくガスマスクを作るにはそれなりのリスクがある。短い時間で最善の手を考えるため頭をフル回転させる。回転させている時ある言葉を思い出した。「リスクなしで戦い勝利することはできない。勝者は必ずリスクを抱えている。それが大きいか小さいかの話だ。」まだ続きがあったと思うが思い出せない。誰の言葉か忘れてしまったがこの言葉で決意した。


「カーディナルメイクッ!!」


 新たに傷を作り、能力を発動する。作ったガスマスクはイメージが崩れていたのか少し形が歪だったが性能的には問題ない、今は使えれば良い。早速ガスマスクを着け、戦闘体勢に入ると犯人は少し驚いた顔をした後、今までの薄気味悪い笑みに戻る。


「頑張るねぇ君。もうあきらめちゃってもいいんだよ。」

「まだ諦めるわけにはいかない!」


俺の一言から戦闘が再開した。人々が避難して静かなショッピングモールにナイフとナイフがぶつかった甲高い音が響く。切っては避け、切っては避けを繰り返すヒットアンドアウェイ戦法で挑んでいるが犯人も多少の体術は持ち合わせていたのか、俺の攻撃は一向に当たらない。攻撃と攻撃の間に犯人も攻撃を繰り出す。その攻撃を避けるのに精一杯で手数が増やせない。......なら

 犯人のナイフが真上から振りかざされる。左腕を盾替わりに攻撃を受けとめ、俺の渾身の一撃が決まる。更に血を流したことにより新たにナイフを作り出せる。攻撃の直前に作れば不意打ちが狙える。これで決まれば一番良いのだが予想通り傷は浅かった。どうやら直前で反応できたようだった。この反射神経元軍隊か何かですか?そんなくだらないことを言っている暇はない。また次の攻撃をする体勢になろうとした時、急に体に力が入らなくなりそのまま床に倒れ込んだ。よく考えれば血を出し過ぎていた。痛覚に(うと) いため血が出ていてもあまり気になっていなかった。それを思ったと同時に察した。

――――――俺はここで死ぬのか。

 その時倒れている俺の上に風が吹いた。自然に生まれる風とは比べものにならない速度で風は望を切りつけようとしていた犯人を吹き飛ばす。朦朧(もうろう)とした意識で後ろを見ると、風が紫の毒ガスを一点に集め、ボールのように丸くしたそこには金髪翠眼(すいがん)の男が立っていた。


「ここまでよく頑張った。後は任せろ。」


 状況はよくわからないが、風を操る金髪が犯人を圧倒していくのを見て安心した。その直後、俺の意識は闇に飲まれた。

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