第二話 『異世界生活一日目にして詰んだ』
異世界に望んでもないのに強制的に転生され、何も分からない俺はとりあえずこういう時の定番でもある荷物確認をしていた。学校の帰りだったが背負っていたリュックサックは見当たらず、あったのはポケットに入っていた財布とスマホだけだった。財布の中身は三千円しかもこの世界で使えるかすら怪しい。さらに言えば日本語も通じるか分からない。スマホは圏内で問題なく使える。だが元の世界には電話、メールなどを送ることはできず、現状誰とも連絡はできない状態だ。まぁ死人から電話が掛かってきてもただのトラウマだし...そもそも連絡できるような人いないし......これ詰んでね?
確認を終えホーム画面に戻すと見慣れないアイコンが堂々と真ん中に出現していた。そのアプリには名前もなく、アイコンは黒い四角のなかに水色の電流が流れているようなデザインだった。そのデザイン的にこの世界に関係しているものだろう。少しでも今の状況の助けになるようなものだと嬉しいなと思いながらそのアプリを開く。
開くといきなり何かをダウンロードし始めた。すぐにダウンロードは終わり、画面が一気に明るくなる。
真っ白な画面に文字が映し出される。
今これを読めているということは転生に成功したんだね。
まずはこのアプリの説明、このアプリは君のスマホをこの世界に対応させるためのアプリだよ。この状態ならMAPなどの色々な機能が使えるようになったからうまく使ってね。
次にもう1つアプリをダウンロードさせてもらったんだけど、そっちには君が今いる世界の説明書的なものが入ってるからそっちも活用してね。
最後に君のためにその世界で住めるところを用意しているからMAP使ってたどり着いてね。
そこの名前は『第五高校学生寮』だから。
まぁ頑張って。 by神
と、まぁ拠点が見つかったのは神様に感謝。説明書も神様に感謝。だがこれだけは言わせて欲しい、学生寮ってどうなってんだ!!まさか死に損ねた挙句異世界で高校に通わさせられるってどんな生き地獄だよ。ってか文章からして神様のやる気のなさが伝わってきちゃいますよ。しかし俺は他に頼れるものもないため、深いため息をつきとぼとぼ寮へ歩き始める。
寮へ着き手続きだの色々した(させられた)俺はまるでマンションのような寮のベッドで横になっていた。一人一部屋な制度だったらしくその点に関してはとても助かった。準備ができていなくて登校は一週間後ということで少し余裕ができた。お金も殆どは学校側が負担してくれるため問題ない。
明日は何をしようか。この世界について調べるか学校生活に備えて準備をするかとりあえず一日休む。こんなところだろうか。まぁ明日考えればいいか。
そんなことを考えながら俺はいつの間にか眠りについていた。
こうして俺の異世界生活一日目が幕を閉じた。