第二十七話『兄妹』
俺が選んだ武器は、ロングソード一本と片手拳銃一丁だ。近距離と中距離両方に対応している。更にいざという時はカーディナルメイクで武器を変更できるため、二刀流でも二丁拳銃でもなくこのスタイルを選んだ。名づけるならそう、『一刀一丁流』だ。それをするためには、片手で扱える拳銃と俺の筋力でも使えるロングソードが必要になる。そのことを書いた紙と睨めっこしているミカは難しい表情をしていた。
「なるほど、なるほど。この銃、装填の時はどうするの?普通にすると片手じゃできないよ。」
「そのためのこれだ。」
俺は紙の一部分に指をさし、身体に着ける用の装備、つまり防具の機能のうちの一つを装填に使うと言った。
「そういうことね!じゃあここをこうして、あれをああして......」
ミカは素早くメモを取る。ここまで客の要望に応えることができるなら将来はこれで食っていけるだろう。そんなことを思っていると視線が集まっているような気がした。視線の出先を見てみると夏海が唯美が何やらこそこそ話していた。
「どうしたんだ?」
俺がそう聞くと唯美が答えた。
「なんかそうしていると二人は兄妹みたいですね。」
「兄妹......」
俺はミカを見つめる。確かにミカはこの世界ではあまり見かけない黒髪黒目で背は小さい。それなら兄妹に見えなくもないのだろう。そうなのか?
多分これは日本人が外国人皆同じ顔に見えると言ってるのと同じ感じなんだろう。
そう思っているとミカは上目遣いでこう言った。
「......お兄ちゃん?」
心臓にクリティカルヒットォォ!!
危ない危ない。危うく意識を失いそうになった。妹属性......良い!
まさかミカはこれを狙ってやったっていうのか!?狙ってなかったとしてもそれはとんでもないほどの天然だ。よし、人間国宝にしよう。
それにしてもたった五文字で死にかけるとは思ってもいなかった。ミカ...恐ろしい子ッ!!
***
全員の武器のデザインと機能が決定し、いよいよミカの能力の出番だ。
「みんなもうちょっと後ろ行ってくれる?」
ミカの言う通りに工房の一番後ろまで下がった。
「そこまでさがらなくてもよかったんだけど、まぁいいか。」
そう言いながらミカは壁についているボタンを押す。すると静かなこの工房にウィーンとか、カタカタとか、ヴ―のような機械音が鳴り響き、青いラインで囲まれていた床が開いた。エレベーターの扉を地面につけたような床下収納だ。なにあれカッケェ!俺の部屋にも欲しい!と一瞬は思ったもののそこまでして収納するほど物を持っていないので諦めた。
床下収納の中には工具やら、何に使うのかわからない機械、そしてバラバラな大きさの箱が幾つかあった。ミカはそのうちの一番薄い箱を取り出し、その箱の中から四枚の紙を取り出した。机の上にその紙を並べて、一番左の紙に両手を置いた。
「今から能力使うから静かにしててね。」
そう言ってミカは目を閉じる。三秒ほどすると紙が青色に光り、光が消えると設計図が完成していた。
「「「「おぉ~」」」」
俺達四人は小さく歓声を上げた。能力というかマジックに近い感じがした。紙が青色に光るからブループリントなのか。ちなみに最初にできたのは幸嗣の武器の設計図だった。
「このまま三人の分も作っちゃうね。」
「「「お願いします!」」」
同じ作業を繰り返し、三人分の設計図が完成した。幸嗣のを合わせれば四人分設計図は無事完成することができた。
設計図が完成し今日の作業は終了。あとは帰るだけだった。ここで、唯美が代表として今日のお礼を言う。
「ミカちゃん、今日はありがとうございました。」
「こちらこそありがとう。おかげ様でいいものが作れそうだよ。」
「それは良かったです!また何か手伝えることがあったら呼んでくださいね。それでは。」
「またね!」
ミカに見送られながら、俺達は寮へ帰っていった。




