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プロローグ 『選択』

 十三歳のころとある事がきっかけでやっと気付いたことがある。この世界は俺に見えているほど優しくはなく、残酷や理不尽で溢れている。目の前の物に縋り付いていくしかないこの状況で生きているこの姿を自分はとても愚かだと思ったのだ。俺が通ろうとしている道に希望や光はなく、待っているのは絶望と闇と死のみだと。それが分かっていてもだらだら無意味な生を引き延ばしている。そしてこんな愚かな生き方をしている自分に嫌気が差して、もういっそ死んだ方が楽なのではないかと気付いた。人に裏切られ、運に見放され、神にさえ裏切られ、生きる場所もない。そんな俺は死んだ方が良い。


 では死ぬ理由は何か。人間が死ぬにはそれなりに理由が必要だ。親に貰った生命を簡単に捨ててはいけない。そんなことを言っているが俺にはその親もいない。両親は物心ついた時にはもうこの世にいなかった。親より先に死ぬことが一番の親不孝だと言うのなら、親がもう死んでいるなら良いのではないだろうか。その他にも自殺者が出てもおかしくないような経験を何度もしてきた。当然の事かしれないが俺を引き取ってくれた叔母は酷い仕打ちを繰り返した。何度も殴られ、蹴られ、切り付けられた。その傷は今でも残っている。俺は必死にその痛みに耐え続け、いつしか痛覚は仕事をしなくなった。振り返ってみると色々な事があった。苦しい事、辛い事、悲しい事俺の人生の大半はそれらで埋め尽くされていた。俺の人生を一言で表すならそれは『絶望』だ。


『人生は選択の連続である』


 確か有名な作家の座右の銘だ。この言葉が本当だとしたら俺は選択を間違え続けたのだろう。どこから間違えていたのだろうか。それは中学校入学時からでもなく、小学校卒業時からでもなく、俺は生まれた時からでもなく、俺は生まれる前から選択を間違えた。その結果がこれだろう。いつからか神を信じなくなり、こんな世の中から希望も無くなった。何の罪もない人々を憎んだ。そして生き続ける意味すらもどこか遠くへ消えてしまった。

 大体は決まっているのだ。人生は生まれる前の選択によって幸福か不幸か決まっているのだ。その後いくら正解を選択し続けたところで最終的な結末に変わりはない。

 だがもしも生まれる前の選択肢からリスタートできるのなら結末は変わるのだろうか。

誰も予測できないリセットボタンが何らかの拍子に押されたとしたら、どんな人生を歩むことができるのだろうか。他の人達のように楽しく笑って暮らせるだろうか。たいして今と変わらない生活だろうか。それとももっと酷い人生だろうか。


答えはまだ分からない。

だからこそ俺は進み続ける。その先に希望があると信じて.......

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