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個性ハラスメント

作者: 伊古元亜美

 人間が人間らしくあるための権利を認められるようになってから、はや数百年が経とうとしている。人権の拡大はやがて「個性の尊重」へと繋がる。一人ひとりの違いを認め受け入れることは、多様性を認めることに他ならないからだ。しかし現代において、個性を重視するあまり、あらゆる人間に個性を強要する「個性ハラスメント」が巷では社会問題となっている。


「あなたならではの強みはなんですか?」「誰にも負けない特技はありますか?」

 うるせえ!そんなものがあったらお前のとこなんかわざわざ来ないんだよ!

 そんな本音を飲み込んで、俺は日々個性の強要に耐えている。

 人権が個性を包括するものだとすれば、個性の欠如は人権の欠如といっても差し支えないのかもしれない。


 そもそも学校という画一化装置によって、とげを奪い丸めるだけ丸めてしまう場所を通しておきながら、最後に再び個性を求めるのはどういう用件なのだろう。ある種の通過儀礼なのであろうか。かといって、終生まで個性が求められるわけではない。奪われ、与えられ、その繰り返しだ。


 ゆえに俺の主張はこうだ。「個性無き個性を個性と認めよ」と。

 俺はあらゆる個性ハラスメントに異議を申し立てる。個性は尊重すべきものであって、強要すべきものではないのだ。

 ところで、俺が無個性であるというわけでは決してない。

 俺の個性?そんなの働かずに金だけ欲しいに決まってるだろ。

 こういう本音が個性と認められる社会になってほしいものだと、心より願う。


~とある就活生の手記より~


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