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次は髪留め類に行こうと思ったけど、丁度お姉さんが帰ってきた。
「お渡せしました〜。3着程の組み合わせをご用意しましたので、試着室までご案内致します」
そう言ったお姉さんの後ろについて行く。さっき見えた試着室は店内とは違って明るい。
しっかりと服の色味とか確認できるから、店内で見たまま買わない方がオススメらしい。
で、用意された服を確認。
お姉さんの趣味なのか、黒系が多い。好きだからいいけど。しっかり全身コーデしてくれたみたいで靴も置いてあった。
「左から順に、清潔さ、可愛さ、男らしさ、をテーマに勝手ながら私の好みで揃えてみました。如何でしょう?」
お姉さんが説明してくれた通りに言うと
左は、白のTシャツに前で止めれない黒のカーディガン(恐らく)とテーパードパンツ、靴底のゴムの部分?が白の黒いスニーカー。大きさはぴったりできっちりしているように見えると思うよ。アクセサリーは銀類の物が纏められている。
真ん中は、白のYシャツに前をボタンで止める薄い桜色のカーディガン(恐らく)と焦げ茶色のカーゴパンツ、なんか薄い靴。大きさは少し大きめでモフッと着れる。アクセサリーは茶色の皮系が多いかな。
右は、白のボートネック…だっけ?丸首の鎖骨が見えるくらい大きいヤツに、最初のヤツとは違う黒の止めれないカーディガン(恐らく)と青みのジーパン。白のソックスにつま先が尖った黒の革…だと思う靴。大きさは少し小さめで、くるぶしとか手首が少し見える。アクセサリーはない。
「とてもいいと思います」
知らないのばっかだし、せっかく選んでくれた物に不満言えないし、そもそも不満なんてない。
とりあえず、これしか感想が出てこないから語彙力の無さがバレる。
ただ、可愛い系は似合わないと思うよ?
でも腕とか首とか、男性の特徴が出るとこは隠しときたいからな…それに当てはめると可愛い系しか無いんだよね。どうしよう。
まあ試着してみましょう。
服がどんなに素敵でも似合わなければ意味がない、ってどっかで聞いた気がするしね。
うーん。3着来てみたけどしっくりこなかったな…
お姉さんは『お似合いですー』しか言わないし…そんなものだけどさ。
うーむ…碧海の趣味でいくとパーカーがもりもり増える事になるし、モモさんの趣味でいくとゆるふわが増えることになるし。
どうしようもないんだけど。
一層の事、パーカーでいいかな?今どきのパーカーって結構良い奴あるし。
…私の好きな乙女ゲームの中で新選組を題材に鬼を入れた物語のやつがあるんだけど、攻略対象キャラに年がら年中、襟巻き付けてる寡黙系がいたからそれを目指そうかな。
うむ、方向性は寡黙系キャラでいいか。
あんまり喋らないで居ればとりあえずは大丈夫かな、とか安直に思ってみる。
服はイメージカラーを取り入れたいかなぁ。
私のカラーなんだろう?大体、髪とか目の色なんだけど……って、なんで攻略対象側の話になってんだろ?危ない危ない…
「…お気に召しませんでしたか?」
おっと。
黙り込んでたからお姉さんが心配して声を掛けてきた。
まあ…気に入るかどうかで言われたら、気に入らないよね。似合ってるかどうかも微妙だし。
「いや…正直、似合ってない気がしまして。こんな素敵な服にはわ……僕の顔が地味すぎて」
「地味だなんてとんでもない!とても素敵です!…あ、取り乱しました。申し訳ありません」
深く頭を下げるお姉さん。
とても素敵って褒めてもらえたんだよね?
元はモモさんの体だしそんなにまじまじ見てないし、覚えてないや。泣きボクロはあったよね、って程度なら分かるけど。
結局クール系を買うことにして、それを題材に自分で探す。いつまでもお姉さんの仕事を邪魔しちゃ悪いから。
お姉さんが選んだ服を入れて、五種類のフルコーデを揃えることが出来た。頑張ったよ…
これで一応、身体の入学準備は終わったかな。
足りなかったらまた買いに来よう。
ちなみにお姉さんの名前は桜道さんで、店員さん達には『サクさん』って呼ばれてた。
仲良くなれたら私もそう呼びたいな。
ようやく学校に行けるかな?ってとこまで来ました…
ダラダラと進んでいきますが、なるべく省略しないようにして行きたいので完結までかなり長いと思います。