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服屋までナビしてもらいながら街並みをもう少し観察する。
碧海の世界とそこまで変わらないみたいだね。装飾はアンティーク系が多いかなとは思うけど、そこまで異世界って分かるようなものは無いかな?
あ、あのワンピース可愛い。全然関係ないお店だけど、ショーウィンドウに飾られたものに目を奪われた。
柄は、薄めの水色に細い白のストライプがウエストの辺りで終わり、そこから下は真っ白の生地に金色の糸で花が刺繍されている。
言い方が分からないけど、服の形はお嬢様が来てる感じの…肩の部分は丸くウエストの辺りは細く裾は膝頭の真上あたりの長さって奴。
清楚系って感じの服だね、全体的にふんわりしてる。
碧海の時はこういう系は選ばなかった気がするんだけどな。モモさんの影響?
でもこのまま着るとふんわりしすぎな気がする。濃いめの差し色の小物類でバランス取ったらいい感じ、かな。
靴とかバッグとかアクセサリーは黒系が好み、服とか帽子とかメイン系は水色が好み…碧海とモモさんが混ざってる感じがするね。
まあ、私は私。一個人と見て貰えると嬉しいかな。
さて、この店は目的地じゃないんだぃ。進もうか。
髪を切ってもらってから少し経って、只今11時56分…お昼には少し早いけど大雑把に言ったらお昼。
かるーくなんか摘みましょうか。
そんなにたっぷり食べる方ではないんでね。コンビニは無いかしら?
おっと、丁度いいところに出店がある。移動販売車的なやつはクレープ屋さんが多いよね。
「お、らっしゃい!」
この出店もクレープ屋さん。
若い人かと思ったら40位のおじさん。おっさんって言った方が合いそうだね。
「あ、メニュー見させていただきます。もう少しかかるので…」
「おう、決まったら声掛けてくれ。俺のオススメはハムチーズザンギクレープだな!」
惣菜系のクレープかー…いいね。
それにしても…ザンギって唐揚げの事だよね?確か。こっちも同じ言い方ってのが驚きだよ。
クレープの種類は定番のものからちょっと私の口には合わなそうなものまで様々。
やっぱりここはおっさんのオススメにしておこうかな。食べたいのは甘いのじゃないんだよ…
「すいません、ハムチーズザンギクレープ1つください」
「まいど!ちっと待っててくれ」
鉄板の上に生地をひき、焼けたらハムチーズザンギの順に乗せてぱぱっと包む。
おぉ〜…
「ボウズ、マヨネーズは掛けるか?」
「気持ち少なめで、お願いします」
「あいよ!…お待ちどうさん、1金5銀8銅だ」
美容院では省いたお金の説明。
小銭は金銀銅で分けられ、百十一になる。お陰でお財布ジャラジャラだよ…
まだ千円から上は出てないからまた出た時に。
「……丁度で」
「まいどありぃ!友達連れてまた来てくれな!」
ぺこりと会釈。
友達いないから連れてこれないや。ごめんね、おっさん。
んじゃ、食レポは出来ないから省略ー。
ご馳走様でした。さぁ今度こそ服屋へ行くか。
ナビによると、おっさんの出店を左に曲がるといいみたいだけど。
『目的地まであと300mです』
ん、もうそろそろだ。ネットで見た時は私の好みの物が多かったからちょっと期待。ワクワク。
お店の名前は『cineraria』。ちょっと調べてみたら花の名前みたいだよ。
結構綺麗な花で、花弁の真ん中が白いなって印象があるね。花言葉はいつも快活、愉快なんだそうな。お見舞いには向かない名前らしいから注意、だって。
そんなこんなでお店に到着。
天井と床が黒で重い感じに見えそうだけど、壁に花の模様があってそこだけ光ってる。灯りは少し大人しめで、神秘的な雰囲気。
会計棚の少し奥にスペースがあって、試着室とアドバイスをしてもらえる場所になってる。
服の種類は結構多い。インナーからアウター、靴下に帽子にアクセサリーまである…派手すぎず地味すぎず、な位置の柄や色は私の好みにぴったりな気がする。
しかも、店員さんがオシャレだし愛想いいし。いい所あったね。よく見つけれたよ…
「いらっしゃいませ!なにかお探しですか?」
キョロキョロ見てたらかわいい系のお姉さんに話しかけられた。
髪はキャラメル色のボブを巻いて、肩につくかつかないかの所をフワフワしている。
月を歩く感じの名前がついた振り付けのダンスとか、スリルありそうな名前の曲とか歌ったマ〇〇ルが被ってそうな帽子を、女性用に可愛くしたハットが良く似合う。例えが長いな…
それに合うように白味が強い灰色のVネックなインナーに黒のカーディガン、白のスキニーパンツ。小物類はよく分からないから省略…
「そうですね…最近着れない服を処分したらほとんど無くなってしまって。何着かまとめて買おうと思うんですけど…」
まだ整理してないけど、もう着ないだろうしモモさんが前から持ってた服たち、売るか捨てるかしようと思うんだよね。
「そうですねぇ…今の時期は寒くなったり暖かくなったりと大変ですからね。何点か見繕いましょうか?」
「お願いします。希望は特にないんでお任せしてもいいですか?」
ちなみに今の時期は春になって直ぐ。雪は溶けてきたけどまだ肌寒いよって感じるかな。がっつり防寒したら暑いけどカーディガン1枚は寒いかな、っていう季節の変わり目。
それよりも、私はセンスとか無いしなにが流行ってるかわかんないし、店員さんにお任せしたいんだけど。出来るかな?こういうの迷惑?
「かしこまりました!ご用意できましたらお持ちしますので、少々お待ちください」
「それじゃあお願いします。このブース辺りを見てますんで」
本当にいい人がいて良かった。笑顔で言ってくれたお姉さんは店内に消えていく。
んじゃ、私は宣言通り小物類ブースにいようか。
勝手に動いたらお姉さんの仕事増やしちゃうし、なるべく動かないようにしないとね。
今まで小物類に興味なかったけど、こうして並べられたら多いんだね。
まずはイヤリング&ピアス。
ピアスの開ける奴から清掃道具まであるし、透明なのまであるんだね。へー…って私も空いてるんだからこういうの知っとかなきゃ。こういうの部屋になかった気がするしお金には余裕はあるから買っていこ。
蝶や桜とか和風な物も十字架やハートとか洋風な物も、カラフルで綺麗。
あ、ちゃんとピアスの注意書きも置いてある。イヤリングからピアスにも出来るし、その逆も出来るんだ。ハイテクー。
次はネックレス&チョーカー。
首から吊るす部分は布系と金属系があるんだね。
さっき同様、たくさんの種類がある。頭からそのまま通す奴とか、一般的な首の後ろで止める奴とかかなり長い奴とか。
これも布系→金属系、金属系→布系ができるって。店員さんの仕事多いね。
言う事だいぶ無いけどブレスレット&アンクレット。
元から複数ついてるやつもバラで売れるって。自分好みの組み合わせに出来るのが評判いいみたい。