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…ハッ。起きてる。

いつの間に目を開けたんだ?ってくらい気づかないうちに、起きてました。おはようございまーす。


寝てる時に碧海(あおい)とモモさんと話してたことあったんだけど、最後の記憶が薄れてるなぁ。大丈夫?これ。


今何時?チラッと確認。

うむ、六時前。早起きしたね。


とりあえず起き上がって準備しようか。今日はお出かけだもんねー、楽しみ。


でもいきなり男装しだしたら頭おかしくなったと思われるかな?引きこもりすぎて厨二に目覚めた!みたいな。

それは困るなぁ。というか面倒いな。


学校全寮制じゃなかったっけ?とか少しの期待を込めてパンフレットを広げる。


ふむふむ…お。あるじゃーん、学生寮。

てか、こうして見ると学校遠くね?家から通える範囲じゃないんだけど。


よし、これは父親に言って了承得ないとね。

母親はまだあったことないのよ。家に帰って来なすぎじゃねーとか思う。


まあどうでもいいさ。

それよりも、帽子かなんか被っていきたいなぁ。ガサゴソ…ガサゴソ…


うーん、無いね。買わなきゃダメか…

お財布と学生服を持って、音を立てないように部屋を出る。まだ家族寝てるかもだし。


コソコソと洗面所に行って、顔を洗ったり歯を磨いたり着替えたりなんだりして、準備完了。


さて、忘れ物は無いかしらー?

あ、美容室探すの忘れてた。外出てから探すか…


家の鍵持った、お財布持った、携帯持った…大丈夫かな?

よし、行きますか!


とか意気込むけど、コソコソとドアを開けて出ていくから、泥棒になった気分だよね。それか家出を企む少年少女。


さあ初めての外は…普通だね。

一応異世界だし、剣と魔法の世界みたいなの想像したけど、普通の日本みたいだし。

ちょっとがっかりしたけど、まあ当たり前だよね。家の家具とか見てたけど、アレで魔法とかある訳ないわな。


いつまでも家の前にいたら邪魔になるし変に見られるから歩きますか。

さて、携帯で近場の美容室はっと…


お、あった。

早速ナビしてもらいましょー。


向かってる間に景色観察。

本日は晴天なり〜。って思い浮かんだけどなんだ?元ネタ。


お、通行人のおばあちゃんと目が合った。ぺこりーっと会釈。

目が合ったら挨拶、大事だよね。たまに無視されるけど、悲しくないよ。グスン…


『この先、左方向です。目的地まで残り100m』

む、ナビか…思いのほか近かったなー。

早速美容室の扉をガチャッと。こんな朝早いのに開いてるんだね。


カランカラン…とベルの音が鳴る。


「いらっしゃいませー。ご予約されてますかー」


明るい茶色の髪をした若い男性が、カウンターから言う。

ちょっと間延びした言い方からまだ眠いんだろうなーってのが伝わる。分かるけど客の前で出しちゃダメじゃね?


「してないです」


おお、早速モモさんとの接続が切れたのか思った通りに口が動く。いいねぇ…やっと今回の体が自分の体って認識できそう。


「そうですかー。少々お待ちください…あ、えっと、そちらの椅子に座ってお待ちください」


一瞬カウンター前で放置かと思ったけど、気づいて言い直した。


失礼しました、って言えてないところを見ると、慣れてない人なのか。まあ朝早くに来といて予約してないって客に会うなんてそうそう無いからね。仕方ない。


家のソファとかベッドとかに比べたらまだまだだけど、一般的な物と比べるとしたらかなり上等なソファに座って待つ。


それから数分後。


暇だし、さっきの若い男性がちょこまか動き回ってるのを目で追う。時間は6時50分…そこそこ時間が経ったね。


そのまた数分後。


さっきの若い男性は視界に映るたびに荷物が増えていく。手ぶらだったはずが片手に大きめの書類ファイル、片手に中くらいのダンボール…

時々忘れられてるんじゃ、って思うぐらい店内はバタバタしてる。時間は7時30分…まだなのかな?


眠くなり始めた頃。


「大変お待たせいたしました!こちらの紙に太枠で囲われた部分を書いて頂けますか?」

「こちらの方こそすみませんでした。こんな時間に押しかけたわた……僕の方に非がありますから気にしないでください」


そんなこと言いながら紙を受け取る。

あぶね…私って言う所だった。まあ可笑しくはないと思うけど一応、ね。


敬語なんて日常で使わないからおかしくないか不安。大丈夫かな…


…今鏡に写ってるからどんな表情してるかわかるんだけど、笑わないな。

モモさんの性格的に表情筋は生きてるはずなんだけど、動いてない。何故に?


あ、書類書かなきゃだった。えーと…

名前・性別・年齢・住所・電話番号などなど…普通のプロフィールだね。

名前…やっべ。漢字忘れた…あきってどんな漢字だっけ?


ぐぬぬ…思い出せない。仕方ないからそれっぽいのでいこう…

これ、政府とかそういう偉い所で確認されないよね?されたら終わりなんだけど…


名前(フリガナ):桃内(モモウチ) (アキ)

性別:

年齢:15


性別どうしようか…

今更だけど、嘘書いて捕まったりしないかな…?怖いなぁ…


あ、でも偽名で登録とかテレビで見たことある気がする。それにこの世界、ゲームが題材らしいし細かいところは碧海の世界と違うよね?

なら大丈夫な気がしてきた。


男で登録して、残りの太枠を書いて…よし、完成。


「あ、書きました」


丁度さっきの若い男性が近くを通ったから声をかける。本当はカウンターまで持ってった方がいいんだと思うけど。


「ああ、ではカウンターまでお越しください」


やっぱり。忙しいのに仕事増やさせちゃった…

落ち込んだ雰囲気を醸し出しながら、カウンターまでついていく。


男性が紙を見ながらレジに何かを打ち込む。数分待っていると、なにかが機械音を立てはじめて驚いた。何事。


男性がしゃがんでカウンターから見えなくなる。また数分待っていると、一枚のカードを持って立ち上がった。


「お待たせしました、こちらがお客様のカードになります。お手数おかけしますが、予約してない方に必ず作ってもらうものですので、破棄する際はご自分でしてください。」

「あ、はい…」

「こちらがカードの詳細を記したものになります。お時間がございます時にお読みください。」


…なんか貰った。


カードはクレジットカードとか、そういう良くあるカードと同じ大きさ。

表面にお店の名前、でこぼこする文字で15桁程の数字がある。裏面はさっき書いた紙の内容が書いてある。メンバーズカードってこういうのを言うのかな?

説明書は思いのほか小さい、手に収まるサイズ。スマートフォンくらいの厚さがあるから結構大事なカード何だろうね。


問答無用で作るって…無料でしょ?違うの?

破棄は自分でって個人情報書いてるからだよね。この人私が質問する前にペラペラと喋ったから、クレームとかよく来るんだろうか。


「それでは、カット入りますか?」


やっと切ってもらえる…

ここまでくるのに1時間半くらい経ってるんじゃない?

長かったー…


「ああ、お願いします。その、適当に切っちゃって…」

「あー…じゃあ長さ揃えていく感じですかね。カラーやシャンプー等のご希望はございますか?」

「いえ、特には…」

「かしこまりました。では一番奥の椅子に座ってお待ちください。」


新規1名様入りまーす、って大きな声で言う男性。それに応えるようにお店のいろんな所からありがとうございまーす、って聞こえてくる。チームワークって感じするわー…


碧海の時は自分で髪切ってたから美容室ってどんな感じか知らないけど、ここは綺麗な場所だね。

うん、鏡に面したこの椅子もふかふかしてる。


首にタオルとカッパみたいな物を巻いてもらう。

改めて髪の乱雑さを見るとやばいね。ガタガタになってるし案の定跳ねてるし。

これがプロの手にかかるとどう変身するのか、楽しみだね。


そこからは特に言うこともないし、省略するよ。





うん、サッパリした。切りそろえてもらって来ましたー。

触覚として残ってた髪も、耳下で切られた髪も全部ハサミ入れられた。

前髪もパッツンから直してもらえたし、なんも文句ないね。


いやー、あのお兄さんいい仕事するね。

『整えてください』って言っただけなのにこんなに綺麗にしてくれるなんて。今度からもここに来ようかな。


お会計も済まして、次は服を買いに行こうかな。

あのお兄さんの名前も教えて貰ったし、次から指名してみよう。ちなみに、一松(いちまつ)さんだって。


服屋も調べてたんだよねーってことでナビ開始。

まだ10時前だしゆっくり歩いて行こうかな。



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