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握力特化のバカが行く  作者: 溶ける男


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第4話 双丘

さてと今日は、現在の握力がスキルによってどの程度の力を持っているのかを調べようと思います。

え?あの後、森でどうなったかって?

もちろん!死に戻りしましたよ。

ゴブリンを倒した後、木に背中を預けて休憩してたら、いつの間にかオオカミに囲まれていた。

一応抵抗して一匹掴んだんだけど毛皮がゴワゴワしてるわりに以外と触り心地が良くて、きょっと出来心で撫でてたら別の個体に喉に噛みつかれて仰向けに倒され美味しく頂かれちゃいました。


それはさておき、デスペナルティの間に食材などを扱う市場に行ってきた。

このゲームには、握力計なんて存在しないので目安に使えそうな果物を買って来てみた。

確か、リンゴを握り潰すのに80kg前後必要とか聞いた事がある。

市場で見つけた、アプルンと言うまんまリンゴのような見た目の果物を一つ右手に持ちこぼれた果汁が勿体ないと言うことで買ってきた器の上で思いっきり握り込む。

ギリギリではあるがアプルンジュースを作るくらいの握力はある様だ。

現実での握力がたしか40後半くらいだったと思うので大体30~40くらいは強化されてるのかな?

まぁ他のプレイヤーの握力なんか分からないし、コレが強いのか弱いのかを調べる為の目安が無いのでこれ以上分かることはないかな。

自分の中で取りあえず決着をつけて出来上がったアプルンジュースを飲む。

クラッシュされた果肉の触感もよく、独特の酸味が気に入った。

一気に飲み干し、この後について考えることにした。

装備の新調もそうだが、先ずは今の戦闘方法の確立を目指して練習する場所なんかないだろうか?

先のオオカミ戦でも複数を相手にした時どうしても隙が出来てしまう。

一対多を可能にする体捌きを憶えるとともにより確実に相手を倒せるようになりたい。


考えていても解決策が出てこなかったので、とりあえず冒険者ギルドに来てみた。


「すいません」

「はい、本日はどういった御用でしょうか?」


ギルドの受付で練習が出来る様な場所はないか、あと出来れば格闘スキルの教官なんかが居てくれると助かると言うことを伝えると、修練場を案内された。

修練場は、スキルに慣れるための場所の様でLv5以上に上がることは無いが動きの確認や新たに手に入れたスキルの練習などに使うことが出来るそうだ。

更にお金を払えばスキルに対応した教官も用意してもらえると言うのでお願いした。

これで手持ちのお金は殆ど無くなってしまった。

修練場は壁に練習用と思われる木刀などが立て掛けて奥の方には案山子の様なものが立っていた。

余り利用者はいないのか、プレイヤーらしき人は居なかった。


「あんたが、今日の生徒かい?」

「はい、ニギルと言います。よろしくお願いします」


きょろきょろしながら観察していると小麦色に肌にタンクトップの女性に声を掛けられた。

タンクトップから零れそうな胸に思わず目がいきそうになって慌てて挨拶をする。


「はは、な~に緊張してるんだい。

 あたいは、ライラだ。ここのギルド職員でアンタみたいな新人の教育係だ」

「ライラさんですか」

「う~ん、まぁいいや。

 それで、格闘を教えてほしいってことで良かったかい?」

「はい、ただちょっと変なスキル構成をしているのでその辺も含めて教えてもらったりできませんか?」

「変な?…ちょっとスキル構成を見せてもらってもいい?」

「構いませんよ。こんな感じです」


そう言ってステータス画面を可視状態にしてライラさんに挿し出す。


「なるほどね。確かに変なスキル構成してるね、これでどんな格闘をしようっていうんだい?」

「最終目標は、どんなモンスター相手でもアイアンクローで倒すって感じなんですけど」


それを聞いたライラさんは少しのあいだ豪快に笑った後


「いいね、久しぶりに笑わせてもらったよ」

「そんなに変ですか?」

「ああ、変だね。でも変えるつもりはないんだろ?」

「はい、そのためにここに来ました」

「いいね、最近はここに来る奴が少なくなったし、あんたみたいに生きの良さそうなのは久しぶりだ。ビシバシ鍛えてやるから覚悟しな!」

「はい、よろしくお願いします」


それから地獄の特訓?が始まった。

先ずは、格闘の基本的な動きと接近する時の心構えなどを徹底的に叩き込まれた後は実践訓練となった。

ライラさんはどんな武器でも使えるそうで様々な武器に持ち変えては、僕を打ち負かした。

何とか攻撃を掻い潜りライラさんを捕まえればこちらの勝ちなのだが、一回も触れることすら出来なかった。


バシャ!


いつの間にか気絶していたらしく、ライラさんがバケツを持って立ったいた。

ずぶ濡れの状況を見るに起こすために水を掛けられたのだろう。


「気が付いたみたいだね。

 もう少し相手の動きを見た方が良いね、こっちも一応訓練だから近づける様に隙を作ってやってるんだ。

 それと、避けるだけじゃなく攻撃を弾いて隙を作り出すとか色々やれることはあるはずだよ」

「はい、もう一本お願いします」


フラフラする頭を頬を両側から何度か叩きはっきりとさせると、ライラさんと対峙する。

今回の武器は槍のようだ。

槍の攻撃は、メインは突くか払うかだがライラさんが使うともはや別の生き物の様に迫ってくる。

突き一つとってもヘビの様に弾こうとした腕に巻き付くかのように絡め取られて逆に弾かれる。

本当に隙なんかあるんだろうか?

そんな疑問を持ってしまったせいか動きに精細さを欠いてしまった。

ライラさんがそんな隙を見逃すことは無く正確無比な攻撃がアゴ先を掠めて脳を揺らす。

足が無くなってしまったのではないかと錯覚するぐらい感覚が無くなり膝から崩れ落ちた。


「今日はここまでに、しとこうかね」

「ありがとうございました。ところで質問を良いですか?」

「なんだい?」

「他の人にもこんなハードモードで教えてるんですか?」

「いいや、あたいだって人を見て合わせてるよ」

「じゃあ、僕がハードモードな理由は?」

「そうだね、先ず一つ目はそれだけあんたが目標としてることは難しいってことさ。あれくらいの攻撃を掻い潜れないようじゃ近いうちに躓いてしまうよ」

「そうですね、じゃあ二つ目は?」

「…それはね」

「それは?」

「あたいを見た時に、顔より先に胸を見たからさ」

「すいませんでしたぁぁぁ!」


如何やらバレバレだったみたいです。

模擬戦中もラッキースケベ的なものを期待していなかったと言ったら嘘になるくらいには見てました。

ライラさんは、思わず土下座居て謝った僕を見ながら豪快に笑った後


「冗談さ、コレは視線誘導も兼ねて着てるからねそういう視線には慣れてるよ。

 でもね、モンスターの中には見た目だけじゃなく魅了なんかを使ってくる奴もいるから、惑わされない様に気を付けな」

「はい」

「ほら、そろそろ顔を上げなって…って」


言われるままに顔を上げると双丘を見上げる形になり、その見事な形に見とれていると思いっきり顔を蹴られて本日何度目かの気絶をした。

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