第11話 レアドロップ
セカンディアに着いて一週間程度が経過し、この町にも少し慣れてきた。
この町には、様々な娯楽施設が在り競馬の様なモンスターを競わせる施設やPvPをメインとした闘技場のような場所が有った。
競馬場は、障害物競争の様なルールのレースが開かれ、テイムしたモンスターを参加させることも出来るらしくプレイヤーの育てたモンスター達も走っており、意外なモンスターが障害を無効化する様な活躍を見せて賑わっていた。
勿論、結果を予想して賭けることも出来るのでレースに一喜一憂するプレイヤーやNPC達が見られた。
闘技場には、プライベート用と観戦有の二種類があり、後者では此方も結果を予想した賭博が開催されているらしく一部のプレイヤーはスターの様な扱いを受けているのを見かけた。
闘技場の壁に第一回最強武闘祭と言うポスターが貼られ来月の二週目に開催されるとあった。
ルールは、個人戦で予選をポイント形式の大人数での乱戦後、ポイント上位20名によるトーナメントで優勝を決めるらしい。
バトルロワイヤルではなくポイント制と言うことで舞台に最後まで残らなくてもポイントを稼ぐことさえ出来れば本戦に出ることが出来る。
多分、強者が徒党を組んだプレイヤーに倒されて本戦出場が出来ないなんて事にならない様にするために配慮なんだろうと思う。
それでも、完璧に防ぎることではないので後は本人の力量にかかっている。
受付はすでに始まっているとのことなので一応参加登録を済ませて闘技場を後にした。
大通りはスターティアへと続く門と次の町への門を繋ぐ様に町を二分している。
次の町への門を抜けるととても広く深い谷がありそこへ大きな橋が架かかっている。
門を抜けるには、いずれかの所属ギルドでDランク以上になっている必要があるらしく通過することが出来なかった。
調べてみるとここまで来れるプレイヤーは、普通にやっていればDランク以上は当たり前で特に止められることもなく通過していくらしい。
現在のランクは、Eランクであと一つ上げる必要がある。
新しいスキル欄に何を取得するか決めかねているが、とりあえずランクを上げることも含めて今更ながらギルドの依頼をこなしつつセカンディア周辺で活動をしていた。
谷際まで様子を見に行ったところ底の方には、川が流れているらしいが深すぎてその流れを見ることは叶わなかった。
数名の釣りプレイヤーが釣り糸を垂らしていたが、如何やら谷底まで糸が届かないらしくより長く巻くことが出来る糸とリールの開発中とのことだ。
谷の対岸までの距離は100mくらいだろうか?
そんな谷に向かって綺麗なフォームで駆け出すプレイヤーが1人。
谷ギリギリで走り幅跳びの要領で空中に飛び出したそのプレイヤーは、谷底より時折吹き上げる突風も利用して70mくらい跳躍しそのまま谷の底へと落ちて行った。
彼はいつか対岸へとたどり着くことは出来るのだろうか?
そんな事を思いながら、今回の依頼の収集物であるリザードマンの胆石と言うアイテムを集める為にリザードマンを探す。
このアイテムは、微レアアイテムらしく10%くらいの確率で落とすそうなのだが50体倒したのに1つも手に入れることが出来ずにいた。
このアイテムを5個納品すると言う依頼はEランクの中でも破格の報酬であったのだが、人気のないクエストらしく受付の人からお礼を言われた。
胆石は、露店ではかなり高い金額で取引されていて如何やら錬金や調薬などの生産スキルで使用する素材としてはかなり優秀らしく品薄らしい。
そう考えると、依頼を受けるより露店で販売した方が利益が良いと言うことが起きてしまったらしいのだ。
それにしても落ちないのは何故だ?
アイテムボックスの中はリザードマンの皮で溢れ返っている。
品質が良いと言うのは、素材の大きさにも変化があるらしく最低の物は一辺30cm程度のサイズになるにだが最高になると、一匹丸々頭から尻尾までの皮が手に入る。
やろうと思えば、リザードマンの着ぐるみを作ることも出来そうだ。
そんな皮が50枚以上、市場に流すとなるとリザードマンの皮の価値が暴落しそうだ。
そんな事を考えながら、新しいリザードマンを捕まえて止めを刺す。
やはり落とすのは皮ばかり原因は本当に運なのだろうか?
何か別の理由があるのではないだろうか?
そんな事を思いながら更に50匹のリザードマンを倒したが結局手に入れることは出来なかった。
途方にくれながら周りで同じようにリザードマンと戦っているプレイヤーを観察していると確かに10%くらいの確率で手に入れている様に見える。
彼らとの最大の違いは戦闘方法だろうか?
使用武器は様々あったが、HPを削り切るとでもいうのか一撃殺を狙った戦い方ではなく相手の耐久力をいかに削って倒すかと言った感じの戦闘を繰り返しているプレイヤーの方が入手する確率が高い様なのだ。
急所への攻撃で殺すと言う倒し方ではもしかしたら落とさないのではないだろうか?
そう思い、顔を潰したりするのではなく相手のHPを削ると言う戦闘方法に切り替えて戦ってみたところ、戦闘時間は3倍近くかかったが10匹倒したところでようやく胆石をドロップした。
そうして何とか5個の胆石を手に入れたのでギルドに戻る。
倒し方でドロップするものの品質が変わってくることは知っていたがまさか落とさないものまであるとは思わなかった。
そんな事を考えながら、受付で報告を済ませて改めてアイテムを整理しているとリザードマンの紫珠と言うアイテムを3個手に入れていた。
説明を読む限り胆石の上位版と言った感じだろうか?
胆石ばかり探していたので見落としていたようだ。
ただ納品する依頼は無い様なのでこのままアイテムボックスの肥やしになってしまうかもしれない。
試しに1つ買い取りカウンターに持って行ったら胆石と3倍近い値段になったので其れなりにレアなアイテムのようだ。
紫珠は売らないで皮を買ってもらう事にする胆石を手に入れるために手に入れた品質の低い皮を全部と結果100枚くらいになっていた高品質の皮を70枚くらい売って結構な資金を獲得することに成功したが、明日からは少し買取値段が下がるかもしれない。
さてランクを上げるのにもう少しかかりそうだし、一旦スターティアに戻って行っていない北の鉱山と南の海を見てみるのもいいかもしれない。
お読みいただきありがとうございました。
前回から間が空いてしまい申し訳ないです。
どうも展開が思いつかなくて、3週間近く経ってしまいました。




