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第七話 朝のお仕事と、討伐準備

 ~ 屋敷 ~


 なんだか外が騒がしい……


「ん……あふぅ……」


 あまりに鶏の鳴き声がうるさくて目が覚めた。実家はトロアとはいえ街中にあるの宿屋だったので、鶏の鳴き声で起きるのは初めての経験だ。眠い目をこすってぼーっとしながら体を起こすと、丁度ソーニャが呼びに来た。


「アリシアちゃんおはよう。顔洗ってお仕事だよ」


「はぁい……」


 顔を洗ってやっと意識がはっきりしたので、鶏小屋から卵を集めてきてお掃除。馬をブラッシングして飼い葉を上げたり掃除したり。あとは表の庭園の水遣りを。なんだろうここは畜産農家じゃないはず……?


「どうしたのアリシア?ぼーっとしちゃって」


 屋敷の窓からサラさんに声をかけられた。天気も良いので空気を換えるために全部開けてるようだ。卵が詰まった籠を肩にかけて答える。


「なんだか自分の姿に疑問が……」


「あはは、まぁすぐに慣れるわよ」


「そういえば昨日、マリーさんに外出るときはこの服のままでって言われましたけど、何かあるんですか?」


「あーマリーは説明端折るからね。この辺って高級住宅街の区画なのに門番とか居ないじゃない。その代り衛兵が凄く多いでしょう?」


「はい」


「普通の街の人が中にいたら職質されて、身元が分かるまで足止めされるのね。一回で済めばいいけど違う人に当たるたびに同じことを繰り返す羽目になるわけよ。その点この仕事着なら確実に関係者だし、衛兵も目が肥えてるから特に問題は起きないって事」


「あーなるほどー。納得いきました」


「別にいいわよー。疑問があったら遠慮せずお姉さんに聞きなさい?」


 サラさんは、あははと笑いながら部屋の奥に戻っていった。ロシェが何かあったらサラさんに聞けって言ってたのは偶々その場に居たからじゃなかったのね。まぁまずは朝の仕事終わらせないと。



「やっと終わった……」


 さて魔物退治に行くとはいっても、何準備したら良いんだろう。幸い色々と浮いたから準備にお金が足りないってのは無いと思うんだけど……。

 ロシェに聞きたいけど今日は色々と忙しいらしいし。なんでも魔物退治の件でとりあえず先に詰所の方に話を通しておくとか、城の方に顔を出しに行ってくるとか、学園に私を付き人として登録しに行ったりとか、ってあれ?最後の私ついていかなくて良いのかな?


 丁度廊下でマリーさんと話してるロシェを見つけたので聞いてみる。


「おはようございます。えっとロシェル様。明日の準備って何買えば良いの?」


「おはよう。明日?討伐の話か?」


「そうそう。流石にこういうのはしたことないから」


「俺は今日は予定が詰まってるからな。鈴鳴り亭に泊まってる知り合いに面倒見てもらえるように話してやるよ。出る準備ができたら執務室の方に来てくれ」


「本当!?何から何まですみません」


「気にするな」


 そういってロシェは執務室の中に入っていった。マリーさんと二人になる。


「アリシアさん魔物討伐に出るの?」


「はい。まぁ学園生ですし。これでも精霊魔術得意なんですよ!」


「そうなのね。そういえば精霊魔術ってチェインドレスみたいなのとか問題ないのかしら?」


「特に問題ないです。動きが阻害されるとかだと辛いですけど」


「それなら丁度いいわ。少し待っててね」


 マリーさんはそういうと執務室の中に入り、何か用意したのかすぐに戻ってきた。


「一着プレゼントしてあげるわ。南通りにある紅玉の加護店の店員にこの手紙を渡せばすぐに仕立ててくれるはずよ」


「おーーありがとうございます!」


「いえいえ。どういたしまして」


「それじゃ準備してきますね」


 使用人部屋の机から荷物を取り出すと、ロシェと二人で鈴鳴り亭に向かった。ロシェがマスターに要件を言って知り合いを呼んでもらう。冒険者というから厳つい男性なんだろうなぁと思ってると、現れたのは背の高い女性だった。ホットパンツに白衣っぽいのを着ている。なんでぽいのかと言うと腰のあたりまで背中側に長いスリットが入ってるからだ。


「おはよー。それで?その子の旅の準備だっけ?」


「はい。アリシアと言います」


「畏まらなくていいわ。私はカーナ。見ての通り薬師よ。基本的に戦った後の治療担当してるわ」


「え?見ての通り?スリットにホットパンツが?」


「スリット入ってないと馬に乗れないじゃない」


「そ、そうなんだー」


 三人で昼ご飯を食べた後、ロシェと別れてカーナと二人で買い物をしてきた。王宮前の中央広場から南門の間を南通りといい、ここで大抵の武器防具や道具類を手に入れることが出来る。

 チェインドレスは明日の朝屋敷に届けてくれるということで、最後に鈴鳴り亭に集合。ロシェも戻ってきたのでカーナと別れて屋敷に戻ろうとしていたら、大きな音を立てて、一人の男性が中に入ってきた。


「マスター!当りだ。オークとゴブリンの混合部隊だぜ」



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