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ディーと私  作者: 真月
9/18

仕事

開き直ってしまえば、それはそれで楽なものだ。


私は自分勝手。何の文句がある。嫌なら近づかなければいい。




…不思議なもので、腹を括った途端に絵里子に飲みに行こうと誘われた。


別に友達でもなく偶々(たまたま)そこにいたから、という理由だったが、久しく飲み会に縁の無かった私にはありがたい誘いだった。


元彼は自分がお酒に弱いせいか、女性の飲酒に非常に厳しい目を向ける人だった。


そればかりか飲み会に出ること自体を嫌悪し、私は会社はおろか友人との付き合いも殆ど出来ず、それが余計に鬱屈とした期間を長引かせることになった。


幸いなことに、絵里子は『何でもいいから飲みに行きたい!』とその時目についた人に声をかけていたため、その日の飲み会は全員が顔見知り程度だった。


そのためいつもの面子による内輪の雰囲気、などという新参者に居心地の悪いことにはならず、ついでにほぼ全員が酒豪または飲み会大好きなメンバーだった。


お酒が決して嫌いではない私は、こうして大層気楽な飲み仲間を得ることが出来たのだ。






「おはようございまーす。」


階段室から事務フロアに直に入れるドアを開く。


この社屋は事務フロアに入るのにエレベーターからは廊下を挟むが、階段室はドア一枚で直接入れる。


…もし元彼がいても、近くのフロアに入ってしまえばすぐ逃げられる。姑息かもしれないが、背に腹は代えられない。



自席につきながら周囲と挨拶を交わし、パソコンを立ち上げる。


起動画面から切り替わる間、雑談をしながらカフェオレを飲む。


始業5分前になり、課内朝礼が始まる。


上司の予定、連絡事項等の報告があり、多少の質問や補足の遣り取り。


散会した後、パソコンの画面で新規の社内掲示板と社内メールに眼を通していく。


月曜日だからか、量は多いが重要なものは少ない。せいぜいが提出期限の確認や会議の出欠確認だ。


既にルーチンワークと化した一連の作業で、頭が仕事モードに切り替わっていく。


卓上のカレンダーで今月の予定をざっと確認して、頭の中で仕事の段取りを組み立てながら、書類に手を伸ばす・・・


日常の雑務を淡々と処理していく内に、朝の出来事がだんだんと遠くなっていった。


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