出会
『ホントは契約した後じゃないといけないんだけどね~』
なんとも軽いノリで、研究棟のセキュリティを抜け一際奥まった一室に案内された。
そこに立っていたのが、彼、だった。
高いけれど、見上げるほどではない身長。
男らしいけれど、どこか中性的な容貌。
あまり厚くはない、しかしはっきりとわかる胸筋。
綺麗に引き締まった腹筋。
あくまでも真っ直ぐ伸びた足。
起動されていないため、閉ざされたままの瞼には嫌みにならないくらいの睫。
どんな素材を使っているのか、見たことがないほど自然な質感を持った肌。
身体に添えられた両手には、人と同じような血管までうっすらと浮き出ていて・・・
計算された結果だとわかっていても、衝撃的だった―――あまりにも、理想どおりで。
絶句する私の前で、脩司が機能について細かい説明をする。
だけど半分も頭の中に入ってこない。
これが、機械?・・・本当に?
これと、暮らすの?・・・本当に!?
軽くパニックになっている私に、後ろから囁きかける人影があった。
「格好いいでしょ?脩司君、他に参考意見がないからってあなたが好きな俳優さんとかの特徴全部取り入れたらしいわよ・・・気に入った?」
更に衝撃的な真実を暴露され、思わず室長さんの顔を凝視する。
「彼は人の、特に女性の様々な要望を満たすために作られてる。あなたにやって欲しいのは出来るだけ多くの要望を彼に提供すること。でも、難しく考えないで。必要なのは 」
うっすらと笑いながら、真っ白になりつつある私に放たれた一言は――――
「彼の、恋人になってあげて。とんでもなく我が儘で、世話が焼けて、手の掛かる恋人に。
彼はあなたを、絶対に、―――嫌わないわ。」
この言葉に抗える女性がいるだろうか?
パソコンの不調で話のストックが消えてしまいました。
しばらく燃え尽きてましたが、漸く立ち直りつつあります。