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ディーと私  作者: 真月
4/18

通勤

足早にエントランスを進む。管理人さんに挨拶をして敷地を抜け歩道に出る。


駅に向かって歩き出しながら、今日の仕事の段取りを考える。


月締めは終わったばかりでさほど急ぐ案件はなかったはずだ。



思考に耽りながら歩いていると、不意に自転車のベルが鳴り響いた。


はっ、として前を見ると、ヘッドフォンをした高校生が突っ込んでくるところだった。


「きゃっ・・・」


思わず出てしまった声とともに身を捻る。


ぶつかりそうな距離でこちらを見もせず通り過ぎていく。



(なんで私が避けなきゃいけないの!?)


みっともない姿を晒した羞恥と、考え事のために周囲への注意を怠った自責の念はあるが、一番先に沸いた感情は怒りだった。


それとともに、怒っても何も出来ない自分にも更に怒りが募る。


(こんな時に守ってくれる人がいたら・・・)


きちんとエスコートしてくれて、身を呈して庇ってくれる。


騎 士(ナイト)のような人に憧れるのは、“自立した”といわれる女性にだってある願望だ。


むしろ仕事で疲弊している分、求める度合いは切実な気がする。



Trrr、Trrrr・・・


携帯の着信音が響く。


一瞬、仕事かと慌てるが、表示された名前を見て肩の力を抜く。


「はい、もしもし?」


『お、おはよー、俺だよ俺』


詐欺師かと思うような名乗りを上げたのは、私の幼なじみの脩司だ。


「おはよう。朝からどうしたの?」


『いや、アレどうなったかと思って。ちゃんと動いてる?』


「うん、順調かな。家の中のことは殆ど出来そうだよ。」


『そっかー、良かった。一応マニュアルも渡したし、室長も心配ないって言うんだけど、物が物だからさ?』


「そうだね、わかるよ。大体は室長さんに調整してもらったし、細かい所はどんどん覚えさせて、って言われたから、かなり好き勝手に使わせて貰ってる。」


『なんか厄介なこと頼んでごめんな?でもまあ、新製品のモニターみたいな感じで楽しんでくれたら助かるよ。』


「あんまり機械とか強くないし、かなり高性能だから使いこなせなさそうだけどね。」


『もともとターゲットはそういう人だから。それに美里は飲み込み早いから平気さ。』


「買いかぶりありがとう。逆にプレッシャーなんだけど?」


『大丈夫だって。とにかく、夜中でもかまわないから何かあったら必ず連絡しろよ?安全装置(リミッター)はついてるけど、なんといってもまだ試作品だからな?』


「わかった。ありがとう。ごめん、もう駅だから」


『あ、忙しいトコごめんな?じゃあまた。』



電話を切って少し晴れ晴れした気分で改札を抜ける。


そうだ、私には騎 士(ディアス)がいるじゃない―――

遅くなりました。


定期更新というのもなかなか難しいものです。


つたない書き物ですが、読んで頂けることに感謝します。

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